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9ヶ月の娘との、何の変哲もない夏の1日の記録

未来の自分が読みたい気がしたので、特に何が起きたわけでもない1日の記録を残しておこうと思う。

朝、9カ月になる娘が寝ている私によじ登ってきて、目が覚める。
目をひらくと、生え始めた2本の前歯がよく見える笑顔でニコーっと笑いかけてくれる。

昨日も4時頃夜泣きでおっぱいをあげてたから眠い。しばらく目を開けたり閉じたりしながら、体に登り降りされるがまま「起きたの、おはよう」ってあいさつ。
私が目を開けるたびに、ご機嫌の娘はうれしそうに笑ってくれる。たまに髪を引っ張られる。メガネも盗られる。9ヶ月のくせに、めっちゃ力強い。

なんとか起き上がって、朝ごはんをつくる。
娘には、りんごジャムを塗ったパンと、ベビーフードのグラタンと、ゆでたブロッコリーと、桃。大人は切り落としたパンの耳と、適当に色々。最近は、娘のごはんのほうが品数が多くて豪華である。

つかみ食べ練習中の娘だけど、手のなかにパンのほとんどを握りこんでしまってうまく食べれず困って、ずっと手をちゅーちゅーとねぶる。
ブロッコリーはぶぶぶ、と飛ばして、桃は前のめりで食べる。一丁前に好みがあるのだ。
たくさん食べてすごいねえ!って父母ともども拍手すると、娘もパチパチと拍手して、自分自身を讃える。

午前中はファミリーサポートの登録をするべく、夫に娘を見てもらって久々に1人で外出。
途中で、新しいパジャマを着せた写真を旦那さんが送ってくれて、かわいすぎてニヤニヤしてしまう。推しって概念、よく分かってなかったけど、君が推しだよ。

ジェーンスー の 相談は踊る のポッドキャストを聴きながら、夏休みの宿題のさせ方に悩んでる人多いんだろうなぁなんて感じつつ、暑い中たくさん歩いて電車を乗り継いで帰宅。

帰ってきて、3時間ぶりくらいの娘と、もうずいぶん長いこと離れていた気分になる。パパにお利口に抱っこされてた娘は、すぐにママに手を伸ばしてくれる。彼女はひときわ可愛くなっていて、だきしめてママ帰ってきたよー-!と大げさに再会を喜びあう。

お昼休みの旦那さんが、「カンガルーたぬきでぴょんぴょこポン♪」っていう ジャンプを織り交ぜたオリジナル抱っこをして遊ぶと、娘はゲ、ゲゲ、と笑ってとても喜ぶ。大人の体に負担がかかる遊びほど、子は喜ぶのだ。ラクをしようとすると、鋭く見抜いて許してくれない。


午後は、絵本がたくさんある子育て広場に娘を連れていく。
夏休み中なので、館内は元気な子どもたちでごった返していた。

娘は展示してある絵本や、文房具が入ってる銀のトレーや、サインペンなど、興味があるものめがけてハイハイで突進していく。
頭ぶつけないでね、備品のペンなめないでね、絵本破らないでね、お友達の髪引っ張らないでね、など、ハラハラ要素が尽きないので、1秒たりとも気が抜けずぴったり後ろをくっついて歩く。
受付でレンタルした知育ツミキにはほとんど興味を示さずスルー。
全50巻くらいあるジョジョの漫画を気がすむまで引っ張り出したあと、備え付けの空気清浄機のロゴの出っぱりを興味深そうにさわっていた。

夕方、娘が退屈でぐずぐずしだしたので、近所の公園にお散歩へ行く。
風が気持ちよく、セミが鳴いていて、娘はすぐご機嫌を直してくれた。
下を見ると、抱っこ紐の中からニコニコして私を見ている。
あーあ、なんて幸せなんだろうって思う。かわいくてかわいくて、かわいいという言葉じゃ足りない。
この子が笑うと、愛しい気持ちがおなかの中からくすくすと湧き上がってきて、その気持ちの大きさをどうしようかと思う。

公園について、抱っこ紐のままブランコに乗ると、娘はこわいのか表情を固くしてぎゅーっとしがみついてくる。大胆に大きい段差を降りようとしたりはするくせに、変なところで慎重派なのだ。
仕方ないので早々にブランコを降りて、骨伝導イヤホンで聴くくるりのリラックマの曲に合わせて、ステップを踏んで公園中を歩き回る。
娘がいい顔で上を見上げてるので、つられて上を見ると、葉っぱが生い茂った木と空があって、気持ちいい。

帰り道は、空に鱗雲が広がっていて、少し涼しい風が吹いていた。

夕飯を終えてお風呂に入る前にはもうくたくたで、くたくただよー、って旦那さんにハグを求めようとしたら、娘がすかさず割り込んで抱きついてきて、3人で家族ハグをした。
安心安心、この3人が家族だよー、と噛み締める。

そして、なんとか1日が終わっていく。



毎日、この今を覚えておきたい、って素敵な瞬間が、いくつも訪れる。娘が笑ったこと、可愛かったこと、面白かったこと。
でも、数秒後には日常に押し流されて、忘れ去ってしまう。
1日の最後に書き留めておこうと思っても、ヘトヘトで添い乳したまま起き上がれず、寝落ちしてしまう。そして、どんどん日々が更新されていく。

なので今日は、ちょっと頑張って書き残してみた。
何か特別なことが起きたわけでもない、ごく普通の日常の1日。
でも、数年後の自分が読みたい気がして。

たとえば娘が5歳になった時、私はこれを読んだらどう思うんだろうな。懐かしいな、可愛かったなぁって、公園の帰り道の情景を思い出せるのかしら。


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