見出し画像

季節はずれのすいかに

妊娠3ヶ月目が過ぎた。
つわりは依然として終わらない。

自分が何をおいしいと思うのか、何なら食べた後に気持ち悪くならないか、なかなか見当がつかない日々である。
まとまった量を食べられず、こんにゃくゼリーとかお煎餅をちまちま食べて、寝ていたらすぐに暴力的な空腹に襲われて、胃を紛らわすためにポカリをガブガブ(といっても、4口くらい)のんで…という毎日を繰り返している。

何度も何度も、リアルな友達がいるTwitterで「つわりいつ終わるんだ…?」と呟こうとした。
出産して子育てしてる友達は、きっとこの切実な苦しさをわかってくれるんじゃないか。経験者からの励ましが欲しい、うう… という弱った気持ちで文字を打ち込んで、でも「投稿」を押す勇気がどうしても出ないでいる。

思い返すと、今育児の大変さを逐一つぶやいてる友達も、旦那の育児協力のなさを愚痴ってる友達も、娘かわいさを投稿してる知り合いも、誰も妊娠期間なにも言っていなかった。
彼女らの我が子は、ある日当然のように日常に登場してた。妊娠中の苦しさとか、出産の不安とかは丸ごとなかったように。

たしかに出産って、産まれるまで何が起こるか本当にわからない。せめて安定期まで、もっというと臨月になってもリスクはゼロにはならない。
それに、これは本当に30超えて実感したことだけど、妊娠出産に関して事情や複雑な思いを抱えている人は本当にたくさんいる。

多分みんな、そんな色々を踏まえた上で、産まれるまでSNS上では平静をたもって通常運転の投稿を続けているんだろう…みんな、なんて大人なんだろ。

それに、ツイッター上にいる、濃い友達はともかくうすい知り合いにまで妊娠を伝えて、その後何かあったら 事情を話すチャンスなどないぞ?

そんな、色んな思いがかけめぐって、夜中のつわり辛い助けてツイートを すんでのところで削除するのだった。
みんなこうして、悩ましい夜を過ごしてたのかな。



特に食べたいものがピンとこない、と書いたけど、先日一つだけはっきり頭に浮かんだものがあった。すいかだった。

旦那さんは、スーパーでは売ってない季節外れのすいかを、果物屋で見つけて買ってきてくれた。小ぶりのもので1玉2000円…なかなかの贅沢だ。

冷やしたすいかをかじった瞬間、とてもとても久しぶりに、「おいしい」と思った。
みずみずしくて、甘くて冷たくて、からだにどんどん染み渡っていくようだった。夢中で3切れも食べた。
旅行先で、ちょっと良いレストランで、友人の結婚式で、美味しいものはまあまあ食べてきたと思うけど、こんなにからだ全部で「おいしい」を感じたのってなかなかないことだった。

私、つわりが終わったら、1食1食真剣勝負するから。おいしいものを美味しく食べれるコンディションで食べ物と向き合うからね。と、お腹に向かって宣言した。


ここ1ヶ月半ほど、土日はほとんど家から出ずに、こたつか布団の上で過ごしてる。
この土日は、育児エッセイとか色々読んだ。

何度も読んでるのは、川上未映子さんの「君は赤ちゃん」
彼女のつわりの過酷さと、つわり明けてからのご飯爆裂においしい期の到来、その後の出産編と とにかく壮絶でリアルで、このあと訪れる自分の未来ではあるのだけど 「ほぇー…」と圧倒されてしまう。
ご飯爆裂美味しい期、私にも早くこないかな…と心待ちにしている。

彼女はすごく正直。出生前診断を受けた時の気持ちの描写が特に印象に残る。「生まれてくる命を、ありのまま受け止める、という態度をとらなかったことは、後悔や後ろめたさではないけど点のような空白として自分の中に残っている」というところ。


あと、はるな檸檬さんの「れもん、うむもん!」も電子書籍で購入。
彼女のエッセイマンガでは、むしろ産んでからの過酷さ…満身創痍の中の授乳とか、寝不足と孤独とか、そんなことがありありと描かれていた。これを、私も今からするのか…できるのか?いや、するしかないのだ…

なんか、妊娠も出産も多くの人がしてて、なんなら親も友達もしてて、
こんな過酷で信じらんないようなことがごく身近で起こってたのに、自分の身に関係ない時は全然見えてなかったなぁ。
出産報告のLINEとか、「おめでとう♡かわいいーっ♡」ってテンションで返してたけど、全然それだけじゃないよなぁ、というか。


あとは、アラサーちゃんを読み返したり、&という漫画を読み返したり、ひたすらオモコロチャンネルを見て過ごした。ありがとうオモコロチャンネル…

明日からまた月曜日か。
やることはいっぱいあってドキドキするけど、できなそうなときは早めに白旗をあげよう。

自分に厳しくしてしまいそうなとき、
自分を許さないことは、後に続く後輩も許せなくなるってことだよ。って自分に言い聞かせるようにしてる。具合が悪い後輩に「それしなくて良いよ」って言ってあげたいことは、自分にも言ってあげられるようにしたい。

来週つわりが終わると良いな。

いいなと思ったら応援しよう!