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ソース原理におけるソースの継承とは?父から家業と共にソースを継承した体験を振り返る

先日、『すべては1人から始まる(原題:Work with Source)』著者のトム・ニクソン氏がゲストとして登壇したイベントに参加し、その中で久しぶりにトムと再会しました。

トムとは昨年2022年の夏、まだ『すべては1人から始まる』の出版前に来日していた時に初めて出会い、我が家にも仲間たちと共に足を運んでくれたことがありました。

あれから約一年。

最近では『すべては1人から始まる』が日本の人事部「HRアワード2023」に入賞するなど、少しずつ『ソース原理(Source Principle)』の知見は世の中に広まりつつあるように思います。

先日参加したイベントの大きなテーマには、『ソースの継承』というものがありました。

このテーマは、私の人生にとって本当に大切なテーマであります。今回は、先日のイベントをきっかけに改めて思い返した私自身の『ソースの継承』をケースとして振り返ってみようと思います。


ソース原理(Source Principle)とは?

ソース原理(Source Principle』とは、イギリス人経営コンサルタント、コーチであるピーター・カーニック氏(Peter Koenig)によって提唱された、人の創造性の源泉、創造性の源泉に伴う権威影響力創造的なコラボレーションに関する洞察を体系化した知見です。

不動産業界で成功したビジネスマンとしてキャリアを進んでいたピーター・カーニック氏は、クライアントたちとの交渉の中で相手側が不合理な判断・意思決定を行う場面を目にしてきたといいます。

このことをさらに突き詰めていくと、『お金と人の関係』がビジネスにおける成功、人生の充実に大きく影響していることに気づき、ピーターによる『お金と人の関係』の調査が始まりました。

その後、お金に対する価値観・投影ついて診断・介入できるシステムであるマネーワーク('moneywork')が体系化され、その過程でソースワーク(Source Work)が副産物的に生まれてきたとのことです。

マネーワーク('moneywork')は自身の内面を扱うインナーワークに比重が置かれており、ソースワーク(Source Work)はアイデアを実現するためのアウターワークに比重が置かれていると言います。

ピーターの「人とお金の関係」の研究及びマネーワークについては、以下のインタビュー記事もご覧ください。

ソース原理(Source Principle)の広がり

日本においてのソース(source)の概念の広がりは、『ティール組織(Reinventing Otganizations)』著者のフレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって初めて組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となっています。

2019年の来日時、『ティール組織』著者フレデリック・ラルー氏によって組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となって初めて知られることとなったソース原理(Source Principle)。

フレデリック・ラルー氏もまた、ピーター・カーニック氏との出会い、学びを通じて、2016年出版のイラスト解説版『Reinventing Organizations』の注釈部分で記載している他、『新しい組織におけるリーダーの役割』と題した動画内で、このソース原理(Source Principle)について言及したということもあり、国内で注目が集まりつつありました。

その注目度の高さは、本邦初のソース原理に関する書籍の出版前、昨年8月にトム・ニクソン氏の来日が実現する、といったことからも見てとれます。(オンラインでのウェビナーの他、北海道・美瑛町、東京、京都三重屋久島など全国各地でトムを招いての催しが開催されました)

2022年10月、ピーター・カーニック氏に学んだトム・ニクソン氏によるすべては1人から始まる―ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力が出版されて以降も、ソース原理(Source Principle)に関連したさまざまな取り組みが国内で展開されています。

今年4月にはソース原理提唱者であるピーター・カーニック氏の来日企画が実現し、システム思考・学習する組織の第一人者である小田理一郎さんや、インテグラル理論・成人発達理論の研究者である鈴木規夫さんとの対談、企画の参加者との交流が活発に行われました。

日本での流れに先立ち、ソース原理(Source Principle)が世界で初めて書籍化されたのは、2019年にステファン・メルケルバッハ(Stefan Merckelbach)A little red book about source』のフランス語版が出版された時でした。

その後、この『A little red book about source』は2020年に英訳出版され、2021年3月に『すべては1人から始まる』の原著であるトム・ニクソン著Work with Sourceが出版され、本書が『すべては1人から始まる』として日本語訳され、英治出版から出版されました。

『すべては1人から始まる』は日本の人事部「HRアワード2023」の入賞も果たし、ビジネスの領域においての注目も高まっていることが見て取れます。
このような背景と経緯の中、ソース原理(Source Principle)の知見は少しずつ世の中に広まりつつあります。

ソース(Source)とは?

トム・ニクソン『Work with Source(邦題:すべては1人から始まる)』を参照すると、ソース(Source)とは、あるアイデアを実現するために、最初の個人がリスクを取り、最初の無防備な一歩を踏み出したときに自然に生まれる役割を意味しています。

The role emerges naturally when the first individual takes the first vulnerable step to invest herself in the realisation of an idea.

Tom Nixon「Work with Source」p20

また、本書中の用語解説では、『脆弱なリスクを取って、ビジョンの実現に向けて自らを投資することで、率先して行動する個人のこと』と説明されています。

An individual who takes the initiative by taking a vulnerable risk to invest herself in the realisation of a vision.

Tom Nixon「Work with Source」p249

ステファン・メルケルバッハ氏の書籍においては、この役割を担うことになった人について、特に「ソース・パーソン(source person)」と呼んでいます。

A source is a person who has taken an initiative and through that has become the source of something: we can call this a "source person".

Stefan Merckelbach「A little red book about source」p17
Stefan Merckelbach「A little red book about source」
Tom Nixon「Work with Source」

トム、ステファンの両者に共通しているのは、ソース(Source)は特別な人だけがなれる役割ではなく、誰もがソース(Source)である、というものです。

アイデアを実現するために一歩踏み出すことは、社会を変えるような大きなプロジェクトの立ち上げに限りません。

自身の研究課題を決めること、就職を思い立つこと、ランチを作ること、休暇の予定を立てること、パートナーシップを築いていくこと等、日常生活の様々な場で誰しもが何かのソース(Source)として生きていることを両者は強調しています。

This applies not only to the major initiatives that are our life’s work. Every day we start or join initiatives to meet our needs, big and small.[…]Whether it’s making a sandwich or transitioning to a zero-carbon economy, we start or join initiatives to realise ideas.

Tom Nixon「Work with Source」p30

We take initiatives all the time: deciding on a particular course of study, going after a certain job, starting up a business, planning a special dinner. I can initiate a friendship or partnership, change my housing situation, make holiday plans, decide to have a child. Or I might step forward to join a project sourced by someone else.

Stefan Merckelbach「A little red book about source」p17

ソース(Source)とクリエイティブ・フィールド(creative field)

ソース原理(Source Principle)のレンズで会社組織を眺めた場合、会社組織もまた、ソース(Source)である個人が、アイデアを実現するためにリスクを取って一歩を踏み出して始めた「イニシアティブ(initiative)」の一つの形と考えられます。

イニシアティブ(initiative)はプロジェクト、会社、社会運動、芸術作品、ゼロカーボン経済への移行、サンドウィッチを作ることといった大小様々な形で展開されるものであり、ソース(Source)は世界のあらゆる場所に存在し、富裕層から貧困層まで、あらゆる階層の人々がソース(Source)として存在しています。

Yuki Omori【読書記録】前編:Work with Source

また、アイデアの実現に関しては、組織のより深い側面 、つまり、ビジョンを実現するための基本的なプロセスを推進する基盤となる層を見ることができます。ソース原理(Source Principle)ではこれを「クリエイティブ ・フィールド(creative field)」と呼んでいます。

Yet when it comes to idea realisation, we can learn to see a deeper dimension of our organisations, a foundational layer that drives the underlying process of realising a vision. We call this the creative field.

Tom Nixon「Work with Source」p47

クリエイティブ・フィールド(creative field)」とは、『ビジョンを実現するために必要な人やその他のリソースを引き寄せ 、努力を束ねることで一貫性を生み出す魅力的なフィールドのことを指し、ソース(Source)イニシアティブ(initiative)を取ることで確立されるものです』

Creative field
The field of attraction that draws in the people and other resources needed to realise a vision and creates coherence by binding an effort together. Established when a source takes the initiative.

Tom Nixon「Work with Source」p249

すべての組織およびイニシアティブ(initiative)の根底には、「クリエイティブ・フィールド(creative field)」が存在し、「クリエイティブ・フィールド(creative field)」はビジョンを実現するために必要な人材やリソースを引き寄せ、努力を束ねて一貫性を生み出す重力場と、ビジョンの実現に向けて人々が一緒に行動できる草原のような物理的な空間の両方の性質が備わっています。

Underpinning all organisations there is something we’ll call a creative field. Think of this as being analogous to both a gravitational field that attracts the people and resources needed to realise a vision, and that creates coherence by binding an effort together; and a physical space, like a meadow, where people can be together as they work on realising a vision.

Tom Nixon「Work with Source」p21

ソース(Source)の継承(succession)

すべては一人から始まる(Work with Source)の中で、トムはクリエイティブ・フィールド(creative field)にライフサイクルが存在することと併せて、ソース(Source)の役割の継承(succession)というテーマを紹介しています。

このソースの継承について、トムは以下のように語っています。

『私は、ソースという役割が常に存在していることを理解してもらうよう勧めています。誰が最初にリスクを取ったかには注意を払わないことにしてもいいのですが、ソースの役割から得られる視点は、権力闘争、混乱、責任の欠如、長期にわたる創造的ビジョンの水増しなど、人間の努力に現れうる厄介な問題を新たに明確にしてくれるのです。』

『また、創業者が事業から離れたとき、その創業者がソース(Source)であるかどうかを知ることは非常に重要です。継承のプロセスに適切な配慮がなされないまま創業者が去った場合、イニシアティブは予測可能な方法で崩壊する可能性があります。同様に、イニシアティブが何らかの形で統合される場合、ソース(Source)の役割に注意を払うことで、物事がスムーズに進み、イニシアティブが予測可能な別の一連の問題を回避するのに役立ちます。』

I encourage them to see how the role of source is always present. We can choose not to pay attention to who took the first risk, but the perspective offered by the role of source brings new clarity to the gnarly problems that can emerge in human endeavours, like power struggles, confusion, a lack of responsibility, and the watering down of a creative vision over the long term.[…]
This acknowledgement also matters a great deal because, when a founder leaves an endeavour, it is important to know whether that founder is the source. Initiatives can unravel, in predictable ways, if a source leaves without the right care going into a succession process. Similarly, when initiatives merge in some way, paying attention to the role of source can help things to go smoothly and can help the initiative to avoid another set of predictable problems.

Tom Nixon「Work with Source」p36

私自身のソースの継承について

ソースの継承を行うまでの私

私が父から継いだソースは、家や田んぼといった自然、それらに囲まれるように建っている地域のコミュニティとしての我が家のソース……だったと考えています。

現在、私は地元・三重県伊賀市の米農家と組織支援を兼業しながら、二拠点生活を営んでいます。

しかし、数年前までは京都を拠点とするNPOに所属しながら、企業・団体を対象に組織変革のためのファシリテーションやワークショップの実施を生業とし、『ティール組織(Reinventing Organizations)』と呼ばれる新たな組織コンセプトについての探求を進めていました。

しかし、父が大病を患い、余命幾許もないと知った時から、私の人生は大きく転換していくこととなりました。

トムから問われた『ソースの継承』のきっかけ

ソースの継承』に関する話のきっかけはトムからの、

ソースの継承を感じる瞬間はあったのかな?それは一瞬だったかもしれないけど、どんな瞬間だったんだろう?

という問いでした。


他ならぬ、『ソース原理(Source Principle)』を日本に初めて伝えんとしている実践者であり、尊敬できる同志であるトムからそう尋ねられ、私自身もその瞬間のことを丁寧に振り返ろうと考えました。

田舎の長男として生まれたものの地元を離れて仕事をしていたわけですが、父が病気を患ったことで彼が愛着を持っていた田んぼでの作業が難しくなってしまいました。

入退院を繰り返す中で、少しずつ身辺整理を進めていた父。

父が亡くなる2週間ほど前に、私は父と二人で話す機会を持つことができました。

初め、母が気を利かせて病室から退室して父と2人で残されたものの、2人ともどこか気まずい空気を感じていました。それでも、お互いに『残された時間は少ない』と自覚していたように思います。

そして私は、家や田んぼを継いでいきたい、ということを父に伝えたのです。父に面と向かって何かを宣言することや、そもそも家族として過ごしてきてこれほど率直に互いの考えを交わし合ったことも初めてのことでした。

その際、父は『大変やぞ?できるんか?』とからかうような調子だったのですが、その後私は父の友人たちに指導されながら田んぼを耕し、母がその様子を写真で父に伝えるなどしていました。

ある日の病院からの帰り道、母が私に父のことを伝えてきました。

田んぼの写真を見せるとじ〜っと眺めていてね。それで、ふと涙が出てきたのよお父さん。嬉しかったんじゃないかな

結果的に、父が亡くなる2週間前が、最も親子の対話をできた時間となり、母が伝えてくれたことも含めて忘れられない出来事となりました。

継いでいくという宣言の後、病室に通うたびに父はせっせと手書きの地図や機械の操作の仕方を伝えようとしてくれ、今思うと継承が始まっていたように感じます。

地元に向き合うためにそれまでの仕事を手放したことをはじめ、多くのリスクや未知への恐れもありましたが、私自身、父が愛していたように土地や田んぼ、家、集落の景色に愛着があり、守っていきたいと感じていました。

今年の田植えを終えた我が家の田んぼと、それを見守る神社

彼がやったままをそのままの形で実践するのは難しいかも知れませんが、受け継いだ私なりに、父が大切にしたかった営みや景色を守ろうと試行錯誤を続けつつ、現在は4年目の収穫に向けて取り組んでいます。

このようなことを、トムに伝えることができました。

そうなんだね。ソースの継承において、最も深い部分、価値観(value)のレベルで継承が行われたように聞こえたよ。聞かせてくれてありがとう。

トムのそんなふうにかけてくれた言葉が、今も忘れられません。

トムとパートナーのアグネス(Agnes Otzelberger)
そして、2人とのご縁を繋いでくれた仲間たち

父からソースを継いでからの日々

2023年現在の今、改めてそれ以来の日々を振り返ってみると、決して順風満帆とは言えない日々がありました。

地域のコミュニティに30代の若者として、Uターン者として改めて参加していくことや、残された家族一人ひとりが抱えていた葛藤や家族システムに向き合ってきたこと、最愛のパートナーとの関係や先の見えない恐怖……。

確信よりも迷いの方が多いような日々でしたが、それでもできることをがむしゃらにやってきたような日々でした。

すべては、

この土地に生まれ育ってきたご先祖さまたちの遺志、父の生き様といったものを受け継いだ自分が、この景色を次の世代に繋いでいくために何ができるのか?

という問いを拠り所として始まっていました。

それがいつ、どのような形で始まったのか、どのような行動や選択が功を奏したのかはわからない部分もありますが、3年目を過ぎた頃から、家族は父のいない日々を受け入れ、現在の自分たちなりにできることや幸せをめざす道をそれぞれに探索し始めました。

そして、私自身もまた自分自身がパートナーと共に幸せに向かっていくための行動と選択に100%振り切ることができるだけの余裕を持つことができるようになってきました。

現在は、

この土地に生まれ育ってきたご先祖さまたちの遺志、父の生き様といったものを受け継いだ自分が、この景色を次の世代に繋いでいくために何ができるのか?

という問いに加え、

この土地に生まれた自分が、人や組織の関係性や構造を探求し、一人ひとりのポテンシャルが発揮できる環境づくりを行ってきたことに、どのような意味があるのか?

これら2つの問いを内包することとなった自分は、これから何を成していくのか?世界からは、何を求められているのか?

このような問いに向き合いながら、日々の活動を続けています。上記3つの問いの答えの一つの回答であり仮説が、以下の私のサイトにある『大切にしていること』です。

今も人生の旅路の途中ではありますが、稀有な経験を経てこのような考えを持つことができるようになりました。

そして、この経験から得たものは残さず役立ててくれる誰かのために伝えたり、提供していきたいと考えられるようになりました。

詳細なディテールを記述するとキリがなくなってしまうためこのような形で書き記してきましたが、自身の中に起こった大きな価値観の変容、文脈や状況の再解釈については十分に書き切れたように思います。

極めて個人的な体験ではあったのですが、このようなものに限らず、人生の移り変わりや変遷は、誰しもが経験しうるものです。

だとすれば、私自身は一人ひとりが自分のやってみたいこと、そのために一歩踏み出そうという姿勢、その後直面するだろう迷いや恐れに寄り添えるような、そんな人間でありたいと考えるようになりました。

そうしていくことが、私が『ソース原理(Source Principle)』を知り、実践を試み、体感してきたことに意味をもたらすのではないか?

そのようなことを、今は考えています。

ソース原理の関係者一覧(抜粋)

2022年10月の『すべては1人から始まる』出版をきっかけに、ソース原理(Source Principle)の海外の実践者と日本の実践者が交流する機会が増えました。

2023年12月現在でも、『すべては1人から始まる』著者であるトム・ニクソン、ソース原理(Source Principle)提唱者ピーター・カーニック氏の2名以外にもさまざまな実践者との企画が実施され、また、日本語による情報発信が行われてきました。

そこで一度、2023年12月現在で確認できる、ソース原理(Source Principle)の関係者を以下に簡単に整理したいと思います。

ピーター・カーニック氏(Peter Koenig)

ピーター・カーニック氏は、先述の通りソース原理(Source Principle)の提唱者です。

人が無意識にお金に投影している意識の研究と、お金に投影している意識を自らに取り戻す方法・システムである『マネーワーク(moneywork)』を開発され、そのプロセスの中でソース原理(Source Principle)ソースワーク(source work)が生まれました。

Forbes Japan2023年8月号にはピーターのインタビューが掲載されており、「お金と人の関係」の研究およびマネーワーク開発の経緯についても述べられています。

今年2023年4月には、お金に関する研究をまとめた著書『30 Lies About Money』のプレ出版企画(4/54/7〜9)が開催され、その際に初来日となりました。

また、12月にはパートナーであるバーバラ・クンツ氏と共に再来日され、有限会社人事・労務主催での招聘企画が実施されています。よろしければ以下のまとめもご覧ください。

ピーターには、世界に何人ものサブソース、スペシフィックソースが存在します。

ソース原理においては、ソースが活動を始めると、サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)という役割を担う人が現れます。

サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)とは、あるソースのビジョンや価値観に共鳴し、あるソースの活動の特定の部分において、ソースへの深いリスペクトをしつつ、創造的に取り組むようになったパートナーと言える存在です。

サブソースまたはスペシフィック・ソースは、イニシアチブの大元であるグローバルソースによる指名、もしくは立候補のどちらでも生まれうるものであり、その質感は伝播(Transmitting)するものと言います。

以下に紹介する4人は、ピーターのイニシアチブにおいてサブソースとして活動を共にしているパートナーたちです。

トム・ニクソン氏(Tom Nixon)

トム・ニクソン氏は、『すべては1人から始まる(原題:Work with Source)』の著者です。

2022年10月の邦訳出版に先立って8月に来日し、プレ出版企画として日本を縦断していました。(8/8〜108/118/178/188/22〜25

また、来日後は次世代型組織の実践に関する国際カンファレンス・ネットワークである『Teal Around The World2023』にて登壇した他、

Forbes Japanの2023年5月号にて、令三社代表の山田裕嗣さんとのソース原理に関する対談が掲載されています。

また、9月には『すべては1人から始まる』のHRアワード受賞記念企画が開催され、改めてトムからソース原理(Source Principle)とは何か?を紹介してもらいました。

アレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)

アレクサンダー・インチボルト氏は、ソース原理(Source Principle)を自身の活動の中に取り入れながら活動しているエクストリーム・アーティストであり、創造と革新を専門としたリーダーシップコーチである人物です。

アレクサンダーもまた、ピーターの人生の目的である活動Create love in business等においては彼のサブソース(sub source/specific source)として活動する傍ら、アレクサンダー自身が立ち上げたイニシアティブである #Masterpieceにおいては、ピーターが逆に彼のサブソースとなる形で共同し、コラボレーションしています。

2020年以降、アレクサンダーはオンラインまたはリアルで日本と縁を持つようになり、一度は富士山の絵を描いたこともあるとのことです。

今年2023年3月には、彼の提唱する #Masterpiece について学ぶ招聘企画が『すべては1人から始まる』翻訳・監修のお一人である青野英明さん主催で実施されました。

さらに、2023年6月には日本人の実践者を対象にギリシャでJ.Creationというプログラムが開催されました。

このプログラムには、ピーター・カーニック氏だけではなく、日本からも吉原史郎さん嘉村賢州さんが、コーチとして参加されていました。

ステファン・メルケルバッハ氏(Stefan Merckelbach)

A little red book about source』の著者であるステファン・メルケルバッハ氏は、スイスに拠点を置くオーディナータ社(Ordinata)を2001年に起業したソース原理(Source Principle)の実践者です。

オランダに生まれ、スイスのフリブールで育ったステファンはフリブール大学、ジュネーブ大学で哲学を研究しており、このことは現在の彼の肩書きである「哲学する経営者(philosopher-manager)」にも通じています。

現在、ステファンはコーチング、コンサルティングを行うオーディナータ社(Ordinata)において、ソシオクラシー(Sociocracy)をルーツに持つ組織運営体系参加型ダイナミックス(participatory dynamics)』の提供を企業やチームに行うとともに、トム・ニクソン氏の立ち上げた情報ポータルサイトworkwithsource.comにも名前を連ねています。

また、上記の活動に並行して小学校の設立に携わり、校長としても活動していた教育者としての顔も持っています。

ステファンがソース原理、ピーター・カーニック氏に初めて出会ったのは、2013年のことでした。

"The Source Person" training dayと題されたその日のトレーニングでの出会いをきっかけに、自社の提供する企業を対象としたトレーニングやプログラムにおいてソースの概念は欠かせないものになったと、ステファンは書籍の中で述べています。

Curious about the title of "The Source Person" training day, on 25 September 2013 I innocently turned up, completely clueless as to just how much this experience would transform my professional life and my organization. Although only three participants were registered, Peter John Koenig, the moderator, surprised us by deciding to hold the day-long workshop anyway. A stroke of luck for us, as we got his full attention—just as he had ours. (…). Based on what I discovered that day I signed up for a longer program, a master class he organized the next year to transmit his findings. Since then the notion of source has become integral to the support and training we provide at Ordinata, a company I started in 2001.

Stefan Merckelbach「A little red book about source」p11-12

ナジェシュダ・タランチェフスキ氏(Nadjeschda Taranczewski)

ナーディア(Nadja)ことナジェシュダ・タランチェフスキ氏(Nadjeschda Taranczewski)は、心理学修士号、国際コーチ連盟(ICF)のマスター認定コーチ資格を持つ、『Conscious You: Become The Hero of Your Own Story』の著者です。

また、自身の組織であるConsciousUにて、パートナーであるオルガ・タランチェフスキ氏(Olga Taranczewski)らと共に世界中のCEO、創業者、コーチ、ファシリテーターをサポートし、組織やコミュニティにConscious Tribe(コンシャス・トライブ)を広げる活動に取り組んでいます。

ソース原理(Source Principle)に関連しては、2014年にピーター・カーニック氏の提唱した概念を初めて論文(Whose Idea Was it Anyway? The Role of Source in Organizations)で紹介した人物でもあります。

ConsciousUのYouTubeでは、ナーディアとピーターによるお金に関する対話の動画がYouTube上でも公開されており、以下のようなテーマも対話の中で扱われています。

・『moneywork(マネーワーク)』とは何か?
・なぜ私たちは人生で本当にやりたいことをやらないのか?
・お金に投影する3つのタイプとは?
・どのようにすれば、投影したものを取り戻すことができるのか?

CU*money: A conversation with Peter Koenig about money

また、2024年3月〜4月にかけてナーディアの来日企画が開催され、彼女の著書である『Conscious You: Become The Hero of Your Own Story』及びマネーワークの知見が紹介されました。

参考リンク

変革はたった「ひとり」から始まる――「ソース原理」が後継者不足に悩む日本にもたらすものとは?

マネー現代に掲載された『Source Principle(ソース・プリンシプル / ソース原理)』に関する記事です。

英治出版:すべては1人から始まる-ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力

『すべては1人から始まる』の出版社である英治出版のページです。アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎(ABD)という読書会用のゲラ提供リンクも掲載されています。

「ソース原理」は、組織の主語を個人に移し、ビジョンの実現に近づくレンズ。

『すべては1人から始まる』の翻訳・監修を行った令三社・山田裕嗣さん、青野英明さん、嘉村賢州さんへのソース原理に関するインタビュー記事です。

ソースプリンシプル(ソース原理)まとめページ【決定版】

JUNKANグローバル探究コミュニティ・吉原史郎さんによるトム・ニクソン、ピーター・カーニック両氏へのインタビューを行った内容を記事化したまとめページです。

提唱者が語る! 人間らしい自然なビジョンの創作を可能にする「ソースプリンシプル」&「マネーワーク」

上記のピーター・カーニック氏の来日企画を開催したJUNKANグローバル探究コミュニティ吉原史郎さん・小野義直さんによる連載記事です。


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大森 雄貴 / Yuki Omori
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