2回目の大学入学
30代半ばにして大学に入学した。
通信制の大学だったので、受講しているメンバーは20代から60代と年齢層が幅広く、浮くことはなかった。
その時は、「芸大に行きたい」という気持ちだけで、あえてその先のことは考えないようにした。
昔から立体的なアートやディスプレイ、インテリアが好きだったので、空間演出デザインというコースにした。
入学してみると、ものすごい膨大な課題、課題、課題。
入学したことを後悔してしまうくらいの課題の量だった。
仕事帰りカフェに行き勉強、土日は図書館で勉強。
そんな毎日を続けていくと、不思議と課題をこなすことが習慣になっていった。
通信の大学といえどもスクーリングという対面授業もある。
スクーリングでは他の受講生の制作物を見ることができて刺激になるが、落ち込むことのほうが圧倒的に多かった。他の受講生の発想力、スキルについつい嫉妬してしまう自分やふがいない自分を責めながら教室を後にすることもしばしばだった。
それでも辞めようという気持ちにはならなかった。
自分でお金を出しているからということもあるかもしれないが、途中でやめることが悔しかった。
どちらかといえば、授業は建築やプロダクトよりでだんだんと私がやりたいと思うことと違うのではないかと感じるようになった。
そんな時、友人がイラストを描いているというので見せてもらった。
イラストレーターになれるレベルでものすごく上手だった。
その時、ふと、昔絵を描くことが夢だったことを思い出した。
「わたしも絵を描いてみようかな。」
課題の隙間時間に絵を描くことにした。
イラストに加えて抽象画も書くことにした。
ストレス解消になった。
SNSに投稿も始めた。すると、有難いことにギャラリーさんから出店依頼や個人の方からの制作依頼もきた。
絵でこんなに喜んでもらえるなら自分に出来ることで、誰かを感動させたい。
そう思うようになった。
やりたいことがわかったのは大学の2年目後半だった。
大学の授業はやりたいこととは違ったけど、
ここまで課題をこなしたのに大学を辞めることはなんだかもったいない気がした。
遠回りだけど、大学は最後までいってみることにした。