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クリエイティブ町内会のはじまり

はじめまして、クリエイティブ町内会の髙橋と申します。

全国各地で衰退の一途を辿っている、地域の最小単位のコミュニティ「町内会」
その価値を再発掘し、アップデートすることで、自分の地域を面白いものにできないかという思いからこの活動をスタートさせました。

クリエイティブ町内会の活動については、次回以降に触れていきたいと思いますが、今日はなぜ私が町内会というものに興味を持つに至ったかを書いてみたいと思います。

まず、クリエイティブ町内会というものを発足した約1年前の2018年12月、私は前職の不動産会社で市街地再開発事業を所管する部署に所属していました。
業界の方からはお叱りを受けるかもしれませんが、至極簡単な言葉でいうと「古い市街地を高層ビルに建て替える事業」を行っていました。

さらに、さかのぼること大学時代。私は奈良という世界遺産に囲まれたまちに暮らし、景観デザイン(ランドスケープデザイン)を専門としていました。奈良の歴史や文化のレイヤーが重なりあって作られる風景や街並みがとても好きでした。
飲み会の帰りに東大寺の二月堂に上って酔い覚ましをしたり、120ヘクタールの平城宮跡をランニングコースとして走ったり。大学のフィールドワークで、世界遺産や原生林などを題材に研究を行うことも多々ありました。
1つ1つ振り返っても、東京に住んでいたらできないような体験をした6年間だったと思いますし、現在も「その地域しかない地形や文化を大切にしたい」という思いをもってまちづくりの仕事をしたいと思ったのは、そこでの経験があったからだと思います。

ここで1つの矛盾を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
「その地域しかない地形や文化を大切にしたい」のであれば、再開発事業は違うのではないか、私はそれが正解でもあり、間違いでもあると思っています。

まちに対して、社会情勢は常に変化し、時は経過していく。そういった点から、まちはいつまでも同じままでいることはできません。
その時の再開発事業は、そこにあった風景を一変させる一方で、住民の高齢化や建物等の老朽化によって衰退する街のハードを更新する策としては有効であることに間違いはないのだと思います。

ただ、現状は街を更新する方法がそれ以外にない。それが今のまちづくりが直面している問題なのだろうと思うようになりました。

実際、再開発事業に携わる中でその問題意識は確信に近いものとなり、まちに対して選択肢が増やせるような仕組みは考えられないのかと考えるようになったタイミングで、「町内会」というものに興味を持つようになりました。

冒頭にも書いたように「町内会」は地域の最小単位のコミュニティです。
町内会は、地域の声を行政に届ける窓口や、お祭りなどを通じた文化継承、災害時の物資などを支給するためのライフラインとしての役割を持っており、個人と地域や社会をつなぐ中継地点であり、地域運営のソフトウェアとして必要とされてきました。

しかし現在の町内会は新たな担い手が減少し、衰退の危機に直面しています。
そこでふと思ったのです。ハードを更新するのが市街地再開発ならば、ソフトを更新するものは何なのか?

まちを更新する方法が乏しい現在、地域運営のソフトウェアを更新するというアプローチであれば、何か新しいまちづくりができるのではないかと思ったのが、「クリエイティブ町内会」を立ち上げようと思った最初のきっかけです。

自分事として町内会をとらえたとき、私もご多分に漏れず、「町内会ってなんか面倒くさそう」と思っていました。
当時、具体に何かを考えていたわけではなかったのですが、町内会にポジティブな印象を与えたくて、「クリエイティブ町内会」という言葉が生まれました。

クリエイティブ町内会の立ち上げメンバーである権藤さんとは、まちづくりの手法に対する問題意識について頻繁に議論をしていたので、そこから新しいアプローチの可能性について議論をするのにそこまで時間はかかりませんでした。

ここまでが、私が町内会に興味を持った経緯と、クリエイティブ町内会という言葉が生まれた流れです。

次回はクリエイティブ町内会の活動内容や目指すものについてお話できればと思います。

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