こんにちは。
わたしは様々な種類の動物たちと働く日本猿。
会社に日本人はひとりだが、もうその環境にも慣れてきた。最近は日本からわたしの事業を助けてくれる日本猿を募集して面接などをしてみているのだが、日本から一歩も出たことがない日本猿はなかなか最後決め切れない。
言語や環境に不安を感じているようだ。
アドバイスできる程でもないが、
わたしは崖から飛び降りるのが得意だ。決断したら簡単に飛び降りる。
周りに反対されたり一般的に難しいと言われるものでも、やりたかったらやってみる。もちろん転ぶことも怪我することもあるが、この生き方が自分らしいとしっくり来ている。
マントヒヒの恋について早く続きが読みたいと急かされているので、続きを書いていこうと思う。
マントヒヒが私たちの動物園に参加してからというもの、事件が絶えない。
とは言え、わたしはもう彼を解雇もしくはもしも心改めてしっかりと業務をこなすのならばグループ会社の別店舗へ移動させると決めていた。危なっかしすぎる。うちには置いてはおけない。
同じ店舗で働くマネージャーのリスも、もうお手上げだった。
ただ、彼を外すには誰か代わりを入れなければならない。立て続けに2店舗をオープンさせた為、わたしの稼働時間も限界ギリギリだった。
ある時ギャルなスーパーバイザーのバンビがマントヒヒのいる店舗へパートタイマーが来るまでの間、シフトの人数が足りない為ヘルプへ入っていた。
あの時間があってからふたりの間には不穏な空気が流れていた。バンビはあんなことを言われ、すごく怒っていたが、もう相手にできないのでその気持ちは傍へ置いといて気持ちは仕事へむかっていた。
パートタイマーが出勤してきたので、バンビはじゃあわたしは別店舗へ戻るね、と言って交代して店を出た。
駅へ向かって歩いていると、
後ろから誰かが追いかけてくるのを感じた。
マントヒヒだ。
はあはあはあ、
と息を切らしたマントヒヒは、先を歩いているバンビに後ろから声をかける。
おい、
バンビ!
え?なに?
あのさ….
あの時は本当にごめん
俺がわるかった。
は?それで?
なに?
バンビが言葉を返す。
俺さ、
俺お前のこと好きなんや
マントヒヒは17さいの等身大の想いをぶつけた。
は?なにそれ?
仕事しなよ
バンビはスタスタと立ち去った。
マントヒヒの儚い恋は終わりをつげた。
それと同時に馬がマントヒヒのグループ会社の別店舗への移動を通知した。うちのグループで言う、通称、島流しだ。気性が荒すぎるスタッフは揚げ物が多いブランドへ移動を命じられる。揚げ場の仕事は体力がいる。一日働こうものなら身体中が油臭くなり、あついので体力を消耗される。
マントヒヒのようなアグレッシブなスタッフにはぴったりの環境だ。
マントヒヒの短く若い恋が、終わった。
続く。