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80歳で家移りするばばあずの話1

ばばあずとは

2人合わせて168歳の手づくり姉妹ユニットだ。
私の母と叔母は、昔から工作とか手芸とか大好きな人たちで、隠居生活するようになって、着物の生地で小物を作って、私ら娘姉妹が、イベントやらECサイトやらで販売して、社会活動に参加している。
姉がUTASANで、妹がAYASANだ。

傘寿の宣言

毎週土曜日の生存確認の宴。
7月の第一土曜日は、7月生まれの誕生会だった。
7日がAYASAN傘寿
8日が柴犬ののりこ1歳
9日が私の還暦だ。

その日にAYASANは宣言した。
「私は脱出します!」
「何を?」
「この生活を!海が見えるとこに引っ越します!」
折しも、南海トラフ地震への懸念が報道される中、
「海って…地震が来たらどうすんの?」
「いいのよ、その時は流されるだけだから…」
とのたまう。
「ムスコはなんて言ってるの?」
「なんも言わないよ」
ホントかよ…?

着々と準備を進める

それから毎週、AYASANは物件リストを持ってくる。
くる前に現地に見学に行き、
「坂道が急でダメだった」
「売れちゃった」
等々と、リストを更新していく。

どうも、買い手を姉で設定するらしい。
80歳のおばあちゃんじゃ、買うのが難しいのかな?

さて、その前にやらねばならぬことがある。
いとこの意向確認だ。
AYASANは、ムスコには
「決まってから言うからいい」
と言うが、そうはいかない。
家族の同意なしに、勝手に

当社は熱海あたりで探していたけど、めぼしい物件がなかったらしく、検索範囲を千葉に広げたらしく、私らも一緒に物件を見に行く事になった。

現地見学

平日に休みを取って、姉と娘と連れ立って、AYASANと東京駅京葉線ホームで待ち合わせて、わかしおに乗り込んだ。

駅弁食べて約2時間電車に揺られ、安房鴨川駅に降り立った。
イオンが駅前にあるが、人の気配は無い。
駅前ロータリーには、迎えの不動産屋の車だけ。

担当さんは、運転しながら、町には何も無いことを強調していた。

最寄り駅を見る。
郵便局員が駅員を兼ねる駅。
ほぼ無人駅。

現地マンションは牛小屋の隣。
マンションの前にはビーチがあった。
全てのベランダには青いネットが張られている。
聞けば鳩避けだそうだ。
確かに、空を見上げると、鳩の群れが空中で円を描いて飛んでいる。

AYASANの希望は、寝ながら海が見える部屋。
確かに、ココならそれは叶えられそうだ。
ただ、湿気がすごいのと、マンション塩害でボロい。

スーパーは徒歩10分くらいと言うが、日陰のない、ガードレールの無い歩道を歩いて辿り着く前に、干からびそうだ。

ベランダには鳩避けの網が必須らしい

うーむ。
見晴らしが良いが、どうだろう?
不動産やも積極的に進めるでもなく。

バス少な!
海岸のカフェでひと休み
帰りは東京駅まで高速バス

うーむ遠い。

果たしてAYASANは、まんざらでもない様子。

さてはてどうなることやら。

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