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35年目の結婚記念日は珊瑚婚なんですって

3月15日は結婚記念日です。
ばかぞくは、記念日を大切にする。
誕生日と結婚記念日は必須のイベントだ。

私たちはデキ婚だった。22歳の歳だったけど、双方の家族が大反対した。
当時はデキ婚って、親たちの世代にとって「恥さらし」な感じ。
そして、宗教問題もあった。

当時の私は母性に目覚め、生まれてくる子を「守る」事しか考えてなかった。
「なんで20歳すぎてるのに、親にとやかく言われねばいけないのか!」と、
子猫を守る母猫が近づくものを「シャー!!!」と威嚇するようだったと旦那は言う。

その時に、若い私たちに寄り添ってくれたのは、地域の兄貴分イマイさんだった。
イマイさんは、旦那に「誠意を貫く」ことを説いてくれた。

イマイさんがリーダーを務める旦那を取り囲む地域の男子たちが、小さなパーティーを企画してくれた。ホテルの料理人をしていた方がケーキを手作りしてくれて、指輪職人が結婚指輪を作ってくれた。
頼るべき親族に見放されたような気分の私には、とても温かくありがたかったのを覚えている。

イマイさんから
「いいか、記念日は大事にしろ!普段何もしなくてもいい、記念日には花束を買って行くんだ!」
と言われた言葉を、旦那は35年間守っている。
誕生日と結婚記念日には必ず花をくれる。

イマイさんは、当時ガンを患っていて、私たちの結婚式後2ヶ月で夭逝された。
奥さんと二人の幼な子を残して・・・。
記念日の花束はイマイさんの遺言になった。

周囲から反対された私は、自分の意思決定「結婚」を絶対に失敗にしたくなかった。これまで、いろんなことがあった、貧乏だったし(今も貧乏だけど)、病気もあったし、ホントにたくさん泣いたし、辛い目もあった。
でも、どんな境遇も誰かのせいにせずに、自分毎と捉えられたのは、根を上げたら「そらみたことか」と言われるのが嫌だったから・・・という意地と信仰だった。
私自身がどんな時でも幸せを感じて、過ごしていける姿を通して、結婚も信仰も証明したいと言う妙な意地を張って生きてきたんだな・・・。

35年の時間で、あれほど反対していたことが嘘のように、親族は何かあれば結集して事に当たるようになっているし、あれほど反対していた宗教なのに、義兄の葬儀では旦那が導師で見送ったし、法要も頼まれるようになった。
人って変わるし、変われるのが人の良さなのだ。

それもこれも、イマイさんの教えを守って、誠意を尽くした旦那の努力があったのだけど・・・。

まあ、そんなわけで、私たち夫婦は、あれこれを乗り越えながらばかぞくを作ってきたのだ。

2011年3月11日東日本大震災の年、結婚記念日を忘れて奔走していた。
でも、ふと、当日思い出し「そうだ!今日は結婚記念日だった!ケーキくらい買って帰ろうか・・・」とケーキを買って帰ったら・・・。

旦那も、娘も同じようにケーキを買ってきていた・・・。
しかも、ご丁寧に全員「24」のローソクもつけて・・・。
恐るべし一卵性家族!ばかぞく!

流石に、3個のホールケーキは食べられない・・・。
近所に、全く同じ結婚記念日のうちがある。電話をした。
「今日は結婚記念日ですが、ケーキは準備しましたか?」
「え?今日って結婚記念日だったか!忘れてた!」
「それでは、ケーキをお届けします!」
・・・とケーキを届けに行った。
あともう一つはどうしたかな?とにかくどこかへ届けたのだ。
記念日のお祝いの前に、ケーキデリバリーをして、密やかに祝ったのを覚えている。

今年は、35周年「珊瑚婚」と言うらしい。
旦那が、花束と珊瑚のネックレスをくれた。

娘がケーキを買ってきてくれた。

私は、旦那の好きな「肉」を奮発して、日本酒をジャケ買いした。

どんな事件も、なぜか、笑い話に変わるばかぞく。
35年間の意地でつくった家族は、なかなか楽しい家族になっていると思う。



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