自己評価が低く自分の強みが分からない人の心の中で起こっている2つのこと
「自分には良いところがない(少ない)」ことが前提である、という現状を疑うというか、根本のところを紐解いていくことがすごく重要で。
逆に言うと、ここに向き合って整理しないままでいたら、いくらお金をかけて診断テストを受けても、周りの人に強みを分析してもらってアドバイスされても、「でも私なんて…」と素直に受け取れず、いつまで経っても自分探しの迷路から抜け出せません。
自己評価が低く、必要以上に周りの人と比べて欠点に目が向きやすい人は、どうしたって「自分らしさ」「自分の強み」を認識しにくい。
だからこそまずは、自己評価の低さが前提になっているという現状に気づく。そして、その前提を作り出している背景にじっくり向き合うことが欠かせません。
今回は、「自己評価を低く見積もってしまう背景とは何か」についてお伝えします。
自己理解とは鏡に映る自分を直視する作業である
「自分らしさ」や「自分の強み」を知るということは、「鏡に映る自分を直視すること」じゃないかとイメージしています。
性格や外見や能力に関係なく誰もがひとりひとつ、自分を映し出せる鏡を持っています。
診断テストを受けたり質問ワークの解説を読むだけですんなり自分の良さを理解できる人は、その鏡にくっきり映る自分を眺められる人です。
一方で、自己評価が低くて自分に自信がない人は、鏡に映る自分を見ることができません。その理由は2つあります。
自己評価が低くなる理由①鏡が曇っていて自分の姿がよく映らない
気持ちがどんよりしていると、それが反映する形で鏡が曇ったり汚れたりします。気分が悪い、苦しい、力が入って緊張している…そんな状態が慢性的に続いていたら、いくら鏡を眺めても自分の本来の姿は見えません。
落ち込んだりネガティブな気持ちになることそのものは決して悪くありません。心臓が動いていると心電図が上下に触れるように、感情に波があるのはごくごく自然なことです。
ですが、長時間ネガティブな気持ちが続いたり、慢性的にどんよりした気分だと、物事を卑屈に考えてしまいますよね。たとえば、自分が穏やかな気持ちなら、外で吠えている犬の鳴き声も可愛く感じられますが、機嫌が悪かったりモヤモヤしていたら「うるさいなぁ」とイライラしてしまうかもしれません。
このように、気分によって状況の解釈(=現実)は簡単に変わってしまいます。鏡の曇りの正体は、「慢性的な気分の悪さ」です。
無理してポジティブ人間になる必要はありません。でも、感情の波が降下したときに、その気持ちに気づいて調整できる自分でいることが大切です。
気分の悪さを和らげる術を知っておく。(紙に書き出してリストアップするのがおすすめ!)
日常生活の中で、できるだけ気分の悪い時間を減らす工夫をする。
それは、手軽なほどいいと思ってます。背伸びをするとか、コーヒーを飲むとか、5分間ぼーっとするとか。
気分のチューニングをして自分の機嫌を取り続けることで、鏡の曇りが晴れて、そのままの自分がくっきり視界に入るようになります。
自己評価が低くなる理由②鏡を覗き込むことができない
気分のチューニングをして鏡の曇りが取れてきたにも関わらず、鏡に映る自分を直視できない人も実はけっこう多いと思っていて。
自分を見たくない。自分の顔を見るのが怖い。見たって仕方がない。そんな不安や諦めや恐怖が、自己理解の大きな壁になります。
・私は○○な人間である
・○○できて当然だ
・みんな当たり前に○○している
・○○しなくてはいけない
・○○してはいけない
例)
「内向的な部分を直して外向型にならないといけない」
「社交的な人がうらやましい」
「この会社で働くならコミュニケーション能力が絶対に必要だ」
「私にはこれといった強みがない」
私たちはそれぞれ、自分が正しいと信じている価値観を持っています。この価値観たちが複雑なのは、正しいと思っているからといって、心から納得しているとは限らない、幸せや安心感を感じるとは限らない、ということです。
「しなきゃ」「しちゃダメ」「こうあるべき」「どうせ私は」といった強制・制限・恐怖・不安のニュアンスを含む価値観に縛られるほど、自己評価が低くなり自分を受け入れにくくなります。モヤモヤして苦しいから鏡を見るのが怖くなって、目を背けたくなるのです。
自分を苦しめるのにも関わらず信じて疑わない価値観を、私は「ファンデーション」と呼んでいます。
「内向的な部分を直して外向型にならないといけない」「社交的な人がうらやましい(社交的になれない自分はダメだ)」といった思い込みが増えるたび、深く深く信じるたび、ファンデーションを顔に重ねづけしていきます。肌は呼吸ができなくなるし、首の色と合ってなくて白浮きしてしまうかもしれない。しまいには、塗りたくったファンデーションが崩れるのが怖くて、さらに厚塗りをしてしまう。
本当は怖くて辛くてやめたいけれど、その価値観を採用せざるを得ない理由があるから、ファンデーションをなかなか手放せません。もっと言うと、怖くて辛いという本当の気持ちも、価値観を採用している理由も、ファンデーションを塗りたくっている状態にも本人が気づいていない場合がほとんどなのです。なんとなく嫌だから…と鏡を見ないから、厚化粧になっていることにすら気づかないんですね。
不安だからファンデーションを塗り続けてさらに鏡から遠のいてしまう…というループに陥ると、どんどんすっぴんの状態(素の自分)を思い出せなくなっていきます。
ファンデーションは本来、肌をきれいに見せてくれる道具です。ファンデーションを塗るとかわいくなれるし、仕事モードのスイッチが入る人もいるでしょう。
でも、必要じゃないのに何度も塗ったり素肌に合わない色を選んだりして、不自然でちぐはぐな自分を作り上げてしまうと、自己評価が歪んでそのままの自分を直視できなくなります。
「内向的な部分を直して外向型にならないといけない」というファンデーションを塗って「外向型になれない自分は劣っている」と思い込む。「社交的な人がうらやましい」というファンデーションを塗って「社交的になれない自分はダメだ」と烙印を押す。
ファンデーションを握りしめていたら、自分らしさや強みがわからないのも仕方がありません。
「しなきゃ」「しちゃダメ」「こうあるべき」「どうせ私は」といった強制・制限・恐怖・不安のニュアンスを含む価値観(「ファンデーション」)を持っていて、厚化粧になっていることに気づく。その価値観を言語化する。過去の記憶を辿って、その価値観を採用せざるを得なかった理由を紐解いていく。そうすれば、少しずつ少しずつ、鏡に映る自分と自然と目を合わせられるようになります。
まとめ
・「自分らしさ」や「自分の強み」を知るということは、「鏡に映る自分を直視すること」
・自己評価が低くて自分に自信がない人は、鏡に映る自分を見ることができない
・自己評価が低くなる理由①鏡が曇っていて自分の姿がよく映らない(長時間ネガティブな気持ちが続いたり、慢性的にどんよりした気分だと、物事を卑屈に考えがち)
→気分のチューニングをしよう
・自己評価が低くなる理由②鏡を覗き込むことができない(強制・制限・恐怖・不安のニュアンスを含む価値観に縛られている)
→まずは縛られていることに気づく。そして過去の記憶を辿って、その価値観を採用せざるを得なかった理由を紐解こう
次回は、自分を苦しめる価値観(ファンデーション)との向き合い方についてお話します。