私はブラを捨てない
ランジェリーデザイナーをやっててよく受ける質問トップ3;
①ランジェリーにトレンドとか流行ってあるの?
②自分でデザインしたものをいっつも着てるの?
③ブラの捨てどき/買い替え時っていつなの?
それに対する答え;
①あります。
下着関係者以外にはおそらくあまり知られてないけど年2回、「パリ国際ランジェリー展」というものがあってそこが1年後のトレンドを発表する場になっている。
…という話をすると「へ〜!ちなみに今流行ってるのってどんな感じ?」とかの会話になるので楽しい。確かにこれは専門家に聞かないとわからない事だしね。
②私は着ます。
私は元々ランジェリーが好きで国内外いろんなブランドのを持ってるからいっつもではないけどね。
…という話をすると「じゃ今日着てるのはどんな感じ?」という急に親密ゾーンに踏み込んだ会話になったりすることもあるが、まあ相手とシーンによってはそれはそれで楽しい。うふ。
③ハァ??????????
結論から言うと「自分で決めな」。
…というのが私の持論だが、それだと納得してもらえないので企業に所属しているときはブランドとして下着を買い替える目安はこれですよ、見た目はこうなって、着けた時にこうなって〜みたいなオフィシャルにアナウンスしている内容でお答えしていた。一応。気持ち的には↑だったけど何かしら具体的に言わないとね、みなさんがうるさいので(大谷翔平)。
でも本当に疑問だった。
お洋服やバッグや靴を「いつ捨てたらいいかわからない」「買い替え時はいつですか?」って聞く人はあまり見たことがない。
なんでブラになると不要だと思うタイミングが自分で決められないのか。お洋服を捨てるタイミングは大体みんな自分で判断出来てるだろうに。
ブラだって一緒だよ。
SNSでもブラの買い替え時を示唆する情報が増えて、それを見てるのか見てないのか知らないけどここ数年でブラの捨て時や買い替え時を気にする人が本当に増えたと思う。
みんな曖昧な情報より具体化された情報を好むので、着用回数や着用期間を一つの目安として提示したりするけど、素材によっても耐久性は違うし、手洗いか洗濯機か、ゆるめに着けてるかしっかりめに着けてるか、そもそもサイズが合ってるか合ってないかなど条件は全員違うわけだし、何回着たかを数えてる人なんてほとんどいないと思うので(いたらごめん)本当に目安の一つでしかない。
それよりは自分の感覚で判断すべきだし、判断できるようになったほうがいい。
そしてそれは自分がお洋服の処分を考える基準と一緒で良いと私は思う。
トレンドに合ってないとか、体型に合ってないとか、もう飽きたとか、クローゼットに収まりきらないとか、あんたそんな毛玉だらけの服で来たの?って指摘されたとか、着心地が悪くなったとか、これ着てる時に誰かに会いたくないなとか、まあとにかくこれ着てたらやばいな、っていうシンプルな違和感で。
ブラも原材料はお洋服と一緒で糸から作られた布やレースを使っている。唯一特殊なものとしたらワイヤーやサイドボーンといった金属や樹脂から作られているもの。
ワイヤーが変形したら買い替え時です、とか書いてあるのもよく見るけど、そんなもん目で見るより先になんかこれ変、って着た瞬間から違和感を感じるはずだ。
違和感を感じるようなブラは着けるべきではない。我慢して着けるものではない。
逆に言えば、違和感を感じないならずっと着続けてていいと思う。
ブラなんて基本的には無差別的に人の目に触れるものではない。どれだけ長い期間や回数多く着けてても捨てるべきだと自分で感じないのだったら捨てなくていいと思う。無理に買い替えなんてしなくてもいいと思う。
そんなに好きなものだったら捨てなくていいじゃん。
私はブラを捨てない。
私はそもそもブラやランジェリーを消耗品として買い替えるものという概念を持っていない。
捨てない、というだけでずっと着続けるわけではない。もちろん繊維や素材は確実に劣化していくので着なくなっていくものはあるけど、それはお洋服や靴やバッグも一緒だ。
使いこんでいくと素材が弱くなったりサイズが合わなくなったりどこかほころんできたり、ああもうこれ着てスタイル良く見えないしテンションもあがんないわ、これ着てる時に死んだらやだな、こういうのいっつも着てる人なんだって思われたらやだな、と思ったら着るのをやめる。
ブラだけ捨て時が特別なことなんて何もないと私は思っている。だから捨て時とか買い替え時の決め方なんてそれで良いんじゃないの?自分の好きなタイミングで。