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翻訳者のつぶやき なんで私が『臓器収奪ー消える人々』を... その12

今回は、第二章から始まる法輪功についてです。
(...実に物騒な書籍の翻訳者になってしまいました。その経緯と本書の内容に関わる逸話や情報をお伝えできればと、ブログを書いています。)

(12)平穏な王国

【法輪功】

臓器収奪の第一章でウイグルのひどい話を読んだ後、第二章では舞台がいきなり、1992年の中国・長春となる。法輪功の始まりが記述されている。

ガットマンは1999年7月の法輪功迫害が始まった時、現場に居合わせていた。中国共産党政権と法輪功との対立を掘り下げなければ、現代中国を真に理解することはできないというスタンスから、「法輪功とは何か?」「なぜ中共と対立するのか?」という問題を追跡し、実際に法輪功コミュニティーに入り、潜伏調査を始めた。

【臓器収奪問題への転換】

当初は法輪功の迫害に的を絞った本を書き上げる予定だった。途中で方向転換し、臓器収奪をテーマにする。法輪功以前のウイグルからの臓器収奪を取り上げた第一章から始まる現在の構成になったわけだ。すでにマタス弁護士とキルガー元閣僚大臣による『中国臓器狩り』が出版されてはいたが、多くの者同様、「まさか、そんなひどいことが」と、ガットマン自身も100%信じていなかった。法輪功修煉者との面談で、臓器収奪に対する懐疑心が取れた瞬間を、ガットマンはドキュメンタリー『知られざる事実』でこう語っている。

善良そうな56歳の女性が体験を語り始めました… 彼女の臓器の状態だけを調べているようでした…最も強烈な事実は目の検査でした。目に光はあてられたけれど、視覚テストはなかった。視力に関する検査はなかった。角膜だけを調べていたのです。背中がぞくっとしました。声には出しませんでしたが、「本当だったか」と寒気がしました。

Copyright Swoop Films 2015.

本書『臓器収奪ー消える人々』では、法輪功の中国本土での広がり、中国共産党内部の動き、1999年4月25日の法輪功修煉者による陳情、同年7月の迫害開始、逮捕・拷問、加害者の証言、法輪功側の非暴力の抵抗が章を重ねながら織り込まれていく。

そして、究極の迫害が、臓器収奪という位置づけだろう。さらに最後の章は人体展で締めくくられている。

【文献】

『臓器収奪ー消える人々』のアマゾンサイトに、このようなレビューも寄せていただいた。

あくまで法輪功についてがメインであるが、内容は現状ではこれ以上知る事は困難だと思うほど深く切り込んでいる。法輪功信者の虐殺の経緯がよく分かる。

「理解の及ばない世界」Hanaoka

法輪功迫害に関する書籍としては、『かつてなき邪悪な迫害』(博大出版)という専門家によるエッセイ集があるが、一人の著者が法輪功をテーマに著述した本は日本語ではないと思う。しかし、英語圏では法輪功を課題とした研究書がある。第二章の執筆にあたって「法輪功」に関する文献リスト5冊を参照したことが脚注に明記されている(邦訳版ではp. 411 の「脚注について」のセクションに掲載)。

第二章は、これらの研究書とインタビューを合わせたもので、ガットマンの私見も入っている。何も鵜呑みにする必要はない。ただこのおぞましい迫害を直視するにあたって、読者が自分なりに法輪功への理解を構築する基盤を提供していると思う。

北東からの淡い朝日にぼんやりと映し出される人民解放軍の兵士。
長春の文化広場で法輪功の煉功をしている。(出典:新唐人テレビ)本書p.58

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本書『消える人々』のアマゾン・リンクはこちらへ。

ワニブックスのニュースクランチで、本書 第一章を紹介しています。覗いてみてください。
第4回 ウイグル人医師「政治犯は右胸を撃たれ、臓器は官僚に移植された」


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