ブランドパーパスとパブリックリレーションに学ぶ、おぶられず並走するためにすべきこと
働くにしても、何かを売るしても、個人で情報を発信するにしても
「買ってください!」「フォローしてください!」「いいね押してください!」
その言葉に応えてもらったところで、得られるのは「1回きりの付き合いで」の行動であり、あなたが提供するものに対してその人が真に価値や魅力を感じてくれたとは言いがたいですね。
「どうか、どうか1回だけ」とか「あの輝く場所まで連れてって-」そんな押し売りや、おんぶにだっこではなく、共創するパートナーとして並走するために必要なことってなんなんでしょうか。
「ブランドパーパス」と「パブリックリレーション」から考えてみましょう。そんな会でした。
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マーケティングとブランドパーパスとは
マーケティング1.0
・大量生産・大量販売
・製造業が強い時代
・多くの産業が未熟で新しい物そのものに価値があった
・物質的なニーズを満たす「機能的価値」(製品・サービスの機能や性能が提供する価値)
マーケティング2.0
・競合と異なる価値を提供する
・競合関係の中で買って選ばれようという時代
・セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングへの理解の深化
・物質的なニーズ外に生活者のハートを掴む「情緒的価値」
→「ブランディング」という概念の誕生
機能的価値と情緒的価値の両方でマーケティングを行う
マーケティング3.0
・「価値主導のマーケティング」byフィリップ・コトラー
・企業として社会貢献を目指す(より大きなミッション・ビジョン)
・社会問題に対するソリューションの提供
・生活者も企業活動を支持する価値があるか考える方向性へ
→高い次元で企業と生活者が共感・共創する潮流
ブランドパーパスとは
ブランドの思い・ルーツを振り返り、現在の生活ニーズや社会変化を網羅的・俯瞰的に捉える
→ブランドとして社会や生活にどう貢献できるかというブランドの存在意義を捉え直すためのアプローチ
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伝統芸能とブランドパーパス
ルイ・ヴィトンと日本の工芸品。全く違うようにも思えますが、実は「職人技を残す」という点では同じなんですね。
ルイ・ヴィトンと革職人
・馬具は売れなくなっても、職人の技術は売れる
・需要がない馬具→かばんへ(高くても売れるもの)
・少しだけ矛先を変えて、活用できる形に
日本の伝統工芸
・昔ながらの良いものとして昔ながらの形のまま残そうとする
・職人技、伝統工芸という文化の継承のために
→職人の技術をハイブランドに取り入れてもらうためのアプローチをするという取り組み
ものを作りさえすれば売れたマーケティング1.0の時代から月日は流れ、「良いものを作ってさえいればそれだけで価値がある」そんな、製造が花形だった時代は、終わりを告げてしまいました。
その時代の変化に合わせ、「職人の技」を活かすために「作るもの」を変えて、提供する「価値」を新たに生み出したのがルイ・ヴィトン。
馴染みのない人にとっては掴みどころのない、「マーケティング」という言葉ですが、
「マーケティングがわかる」ということは「アプローチのしかたを設計できる」ということであり、「もしこうなったらいいのに…」といつか誰かが気がついてくれる夢のような日を待ち望むのではなく、「それを実現させるためには相手にどのような価値を提供できればいいか」、という視点で考え実績を作れるということなんです。
PR(パブリックリレーション)
PRとは、一番わかりやすいものを挙げるなら「ニュース」です。
PRとは客観的な事実を中立的に伝えるコミュニケーション
・情報発信者、情報を伝えるメディア、情報を受け取る生活者という三者の仲立ちをしながら情報をフェアに扱う
・その情報をどう捉えるかを受け手に委ねる
この2点で、広告、宣伝などと大きく違います。
では、どうすればPRしてもらえるのでしょうか
・報道機関はどんな情報なら拡散する?=TV局の報道の人たちはどんな情報を欲しがっている?
・どういう情報の打ち出し方をすれば、マスコミが好意的に記事にしてくれる?=視聴者はどんな情報を欲している?
答えは、これらを考えること、です。
マスメディアには、皆が見たことの無いこと、知らないこと、誰もやったことがないことなどは取り上げなければいけないという責務があります。
例えば、「世界初」「日本初」などですね。
「マーケティングが分かる」ということは、「パブリック誰に賛同してもらったらどういう効果があるかを考えられる」ということであり、「自分がどれだけ頑張っているか」をただアピールするのではなく、「相手は何を知りたがっているのか」を掴んで、報道のちからをうまく味方につけらるということなんです。
3C+1
ここで、3C分析について考えてみましょう。
3C分析とは
・STP分析の中のP(ポジショニング)を考える上で役に立つ考え方
・戦略立案を支援するためのフレームワーク
のことで
STP分析→向き合うニーズを決める
3C分析→提供する価値を見つける
ためのフレームワークです。
3C分析は、外部要因である顧客・競合の分析から自社の勝ち筋を探索するフレームワークで、使い方しだいでポジショニングを考える道具として活かスことができます。
「立場」を考える道具としての3C
・Customer(顧客)
・Company(自社)
・Competiter(競合)
この3者で三角形を描くとき、以下の2通りの置き方ができます。
①上から目線の3C
自社を3角形の頂点に位置づけ、顧客と競合を見下ろす構図
=外部要因では無く内部要因から考える:自社都合を最優先して提供価値を考えるタイプ
・顧客軽視になりがち
・ニーズと向き合うマーケティングでなく、自社都合で売りたい商品を押し売りする「セリング」
・激しい競争下で成果を出すことが難しい
②下から目線の3C
顧客を戦略立案の起点とする
・顧客のニーズに対して競合が満たせていない未充足のニーズへの寄り添い方を検討
・未充足ニーズに対して自社が独自に提供できる価値はないかを探る
・マーケティング志向
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これに加えて、「チャレンジングなマーケターが使うもう一つのC」という物があります。
4つ目のC:Critical Question(批判的な問)
「競合が見立てる未来」止まりでいいのか?という問を持ち続けること
時間軸を加味して、見立てる未来を見据えた価値提供をする、いわば「動的なポジショニング」です。
見立て=その企業独自の未来観や人間観といった「哲学」そのものであり、
・先進的な起業のマーケティング担当者は経営層と目線を合わせ「企業哲学」を更新するために奮闘している
・これからの時代における自社/自社商品の存在意義(パーパス)を考える
という点で、一歩抜きん出た価値提供を目指す。
この辺の話が件の「ブランドパーパス」の話に繋がってきます。
おぶられず並走する
伝統工芸品の価値を失わせないためにも、報道機関に取り上げてもらえるプレスリリースを打つにも、「自分たち起点の話」だけをするのでは、うまくはいきません。
職人技や文化を継承すること、ニュースで取り上げられたり取材依頼をされるところがゴールであり、ただ作り続ければいい、ただ発信すればいいわけではないからです。
「自分がどうなりたいか」ではなく「どうあれば相手にとって価値があるか」を考えること。
相手に提供したいその「なにか」がある未来では、どんなワクワクする体験ができるのかを想像してもらうこと。
「〇〇してください」と頼まずして「〇〇したい」と思ってもらうこと。
「いつかそうなったらいいなぁ」ではなくその未来にたどり着くための道筋を描くこと。
誰かが見つけてくれるときを夢見てじっと待つのではなく、同じ未来を見る人と共に自らの足で走ること、それこそが、これからの時代に個々が持つべき力です。