日本の未熟さを露呈するセクハラ問題

私は男性に欲望を向けられることがとても苦手でした。

高校生くらいから20代の始めのころまで、混んだ電車に乗ったときに、なんども痴漢に遭ったからです。お尻や股間などを指で触られ、逃げても追いかけてくる。

その場で声をあげられるようになったのは、何度も何度も何度も被害に遭った後のことです。

最初は、勘違いなのかなと思いました。でも、執拗に繰り返す指使いはどう考えてもおかしい。どうしてそんなところを触られるのかもわかりませんでした。

それが痴漢行為だと気づくと、激しい怒りが湧いてきました。自分を単なる肉の入れ物だと虐げられた屈辱や、赤の他人の欲求を解消するために自分が犠牲になったことに対して。

レイプ被害やセクハラ被害を公にできる女性たちの怒りの大きさと勇気はいかばかりかと想像します。それは決して反射神経的な怒りの行動ではないはずです。すべてを冷静に考えて、未来を見据えた行動でしょう。

福田事務次官は「はめられた」などと言っているようですが、セクハラを告発して、彼をはめて何がしたいのかの理由がわかりません……。はめられるような悪事でも働いていたのかしら?

女性の中にも「セクハラ騒ぎはやり過ぎだ」という意見があるようです。一方で、性に正面から向きあっている女性たち……風俗で働く女性たちやAV女優、水商売の方などは、こうした線引きにと手も敏感で、セクハラ問題に敏感なように感じます。

バブル時代に大人だった人たちは、基本的にセクハラという概念を持たずに育った世代です。
オフィスで女子社員のお尻を撫でて、「いやーん、エッチ!」などと言われることがおかしくもなんともなかった、女たちもそうやってかわして男に迎合しろと言われていた時代です。

この世代の(稼ぎのよい)男性たちは、ご飯をごちそうし、家や駅まで送り届け、女性たちを丁重に扱うことも多いです。

でもそれがそのまま女性蔑視や軽視に繋がるのは、日本社会がまだまだ未熟だと感じざるを得ません。

男性思考に染まった女性たちが、同じ女性たちの行動を非難するのも悲しいことです。

「うるさく言われたら、言いたいことも言えなくなる」と危惧する男性擁護の方の意見も聞きました。

「おっぱい大きいよね」「まだ結婚しないの? 男から相手にされなくなっちゃうよ」というような代表的なセクハラ発言って、ひっくり返したら「ちんこ大きそうですよね」「まだ結婚しないの? 稼ぎが少ないからじゃない?」とかってことですよね。「仕事中に何いってんだこのババア?」「うるせえな黙れよ」って思いませんか。

既婚者の高齢女性クライアントから「イケメンよねえ、好きになっちゃいそう」って執拗に言われたら、恐くないですか。

女性が声をあげるのは大切なことです。男性たち(とくにバブル以前)は、少しくらい相手の気持ちを想像したり、相手を尊重するくらいがちょうどいいんじゃないの? と思っています。


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