テクノロジーが生む言語格差:日本語の優位性はこの先も続くか?
近頃業務で英語を使うために、いろんな支援ツールを活用しているのですが。
とにかく英語に対するテクノロジーの支援レベルが凄まじいのです。
これだけの差があれば使用する言語によって人間の生産性が恐ろしいほど変わってしまうのではないか。
そして、日本語はテクノロジー支援を受けられず淘汰される側に回りかねないのではないか。
今回はそんな未来を想像してしまった話です。
英語の手厚いテクノロジー支援
直近で使っているテクノロジーはだいたい下記のようなものなのですが。
ちょっとしたスペルミスや文法間違いならGrammarlyがサクサク修正
英語のカンファレンススピーチ視聴時はChromeの自動字幕生成機能でリスニング力不足をカバー
音声文字入力のおかげで高速かつ高精度な文書を作成
英語学習中でも圧倒的な恩恵を感じます。日本語の精度とは雲泥の差です。
ここまで日本語との性能差があることを考えると
おそらくAmazon Alexa やGoogle Home等、音声で操作するAIの性能も英語の方が圧倒的なのだろうと想像せざるを得ません。
テクノロジー支援のない言語を想像する
日本語の場合、【数年待てば英語と同レベルの支援が手に入る】と多くの人が無自覚に考えています。
でももし、いつまで経っても英語と同レベルのテクノロジー支援が受けられなかったらどうなるでしょうか?
例えば
【英語であればほぼ完璧に会議の議事録を自動作成してくれるツール】
が当たり前になった世界。
きっと社内言語が英語の会社はあらゆる会議が文書でも保存され、後から参照可能になり、従来に比べて極めて効率的な組織運営ができるようになるでしょう。
でも、社内言語が英語ではない会社は今まで通り、議事録を残したければ人力で対応する必要があります。
英語で議事録を自動作成できる会社に比べ、英語ではない会社が圧倒的な生産性の差が発生してしまいます。
議事録に限らず、使用言語の差で、社内のあらゆるところでテクノロジーの支援を受けられる/受けられないかが変わってくるでしょう。
言い換えれば、どの社内言語を採用するかで組織のパフォーマンスにダイレクトに効いてくる世界が現実になりつつあります。
本来、人類が世界各地で生み出したそれぞれの言語間に貴賤はありません。
白人様が話す英語やヨーロッパ諸語が素晴らしく完成度の高い言語で、野蛮な有色人種が話すその他大勢の言語に価値はない…などと今の時代に言い放す輩がいれば袋叩きです。
ただ現実では、こういったテクノロジーの支援有無の差により、特定の言語を学ぶモチベーションの方が高く、それ以外の言語を学ぶ意欲が薄れがち。
最終的にそれはテクノロジー支援されなかった言語の消滅・淘汰に繋がる可能性があります。
日本語での支援が受けられなくなる日
そうは言っても、【この話は世界のどこか知らない言語の問題であって、日本語には関係ない話】だと思ってしまうかもしれません。
日本がものづくりで技術強国だった昭和時代の名残もあってか、確かに近年でも最新テクノロジーの日本語支援は続いています。
内心、この優先順位が永遠に続いていくと疑いすらしない人は多いと思います。
でも、この【当たり前】は本当にこれから先も続くのでしょうか。
日本語は主に日本でしか話されない言語。
なので、日本の少子化は絶対的な日本語話者数の減少を意味します。
また昭和の時代と違ってソフトウェアが主流になった平成以降、決して優れた日本語話者のソフトウェアエンジニアを数多く輩出してる状況とは言い難い状態です。
(結果として、日本発Web企業が英語話者エンジニア採用に走る動きが過去10年で活発になってきました)
日本のソフトウェアエンジニアの育成環境不足で、日本語を理解し日本語支援ツールを開発できる開発者が減り。
日本語圏の少子化によってユーザーとなる日本語話者も減り。
近い将来、何年待っても日本語が最新テクノロジーの支援を受けられなくなる日が来る可能性は十分あります。
その際には、テクノロジー支援の有無で発生する圧倒的な生産性の差を埋めるため、支援を受けられる言語に乗り換えざるを得ない人が出てくるでしょう。
乗り換え先の言語はおそらく英語、場合によっては中国語かもしれません。
英語に対するテクノロジー支援の圧倒的な進化を見るに、こんな日本語話者減少へ負のループに陥ってしまう可能性を考えてしまったのでした・・・。
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