冷蔵庫故障に学ぶITシステム改修投資の難しさ
ITエンジニアとして仕事をしていると、よく聞く話が
なんて嘆き。
結果、専門知識がある人から見れば、いつ止まるかもしれないボロボロのITシステムを使い続けてる恐ろしい光景、世間ではよく見かけます。
ところが、そういう経営層って必ずしも全員が改修投資を渋るケチなだけの人…というわけでもなかったり。
案外分かりやすく目に見えてボロボロになった機械の改修投資へは、ちゃんと投資判断を出してくれる人も多い。
ソフトウェアの持つ影響力の大きさゆえに“software is eating the world.” などと言われる時代に、そんなITシステムという一種のソフトウェアへの改修投資軽視っぷり、世知辛いなぁと常々思っていました。
・・・で。
全然話が変わるのですが、先日
上京以来8年以上お世話になっていた我が家の冷蔵庫が壊れました。
実は最近、値上げの波に備えて各種家電の購入を進めていたんですね。
ですが、冷蔵庫への投資(買い替え)は後回しにした結果、長期不在の間に発生した想定外の故障により、冷蔵庫の中身は大惨事に😇
(ミステリ作家とホラー作家のみなさん、食肉という名の死体を数日常温で放置すれば、執筆の糧になりそうな【臨場感のある死体現場】を追体験できますよ…あっはっはっは😂)
この冷蔵庫故障に至るまでの自分の意思決定が、世の中でITシステムへの投資が軽視されがちな経緯と、まんま同じだったと気付きました。
自戒の意を込めて、冷蔵庫故障から学んだITシステムへの改修投資が軽視されがちな二つのポイントをまとめたいと思います。
キーワードは「機能の新規性」と「事前の機能劣化の有無」です。
投資が難しいポイント1:機能の新規性
冷蔵庫より先に、私は食洗機を購入していました。
理由は「もともと家に無かったから」「手荒れを解消したかったから」
導入したところ、ものの一ヶ月で手荒れがほぼ解消。
「買って良かった!!」とこんなに喜んだ製品は久々。
方や冷蔵庫。元々私が持っていたのは容量350Lと、一人暮らし用としては快適な大きさ。
そして冷蔵庫って、前の機種を買ったのと同じ相場の機種を買っても、ほとんど新しい機能がないんですよ。
倍くらいの値段を出せは便利解凍機能とか節電能力とかが手に入りますが、そこまで出してまで買い替えたいものだとは思えませんでした。
ITシステムにしても、新規システムの導入であれば「導入することでこんなに便利になる!」という魅力があれば、比較的すんなり予算が下りることが多い。
方や既存システムの改修。
ソフトウェアアップデートという名の買い替えを求められることが多いですが、正直買い替えたところで魅力的な機能の追加などないことはしばしば。
(はっきり言って私もWindows10をWindows11に上げたいと思う強い理由など見つからない…)
買い替えたいと思うほどの新機能がない冷蔵庫。
世の中で多くの人がITシステムの改修に対して感じるのは、これと似たようなものなんでしょう。
投資が難しいポイント2:事前の機能劣化の有無
食洗機の次、冷蔵庫より先に買い換えていたのは洗濯機でした。
なぜなら一度で綺麗に洗濯可能な量が昔に比べて明確に減っていたり、ドラムが回る音が明らかにうるさくなっていたりと、機能の劣化が明確だったのです。
さて冷蔵庫はといえは、ゴン!とかいう高い音がときどき鳴るのが何年間か前から常態化。最近、その音を聞く回数が増えたなーとも思ってはいました。
が、洗濯機に比べて何か機能の劣化が見えたわけではなかったのです。
猛暑だったこの夏でさえ、冷房機能はつつがなく仕事してくれていました。
もし冷蔵庫が夏の暑さに応じて徐々にでも庫内の温度が上がっていれば、切迫感を持って冷蔵庫の買い替えを検討できたはずです、が・・・
ITシステムもその特性上、改修が必要なほど劣化が進んでいたとしても、直前の直前まで今まで通りの処理を行える例は多いです。
これが物理的な機械であれば、目に見えて
「そろそろボロボロになってきた」「最近動きが悪くなってきた」
などの「そろそろ買い替えが必要そう」といった肌感覚を掴みやすい。
ところが多くのITシステムにはそれがない。
分かりやすく風化する外見も、落ちる処理能力も、故障する直前の直前までなかったりする。
冷蔵庫自体は物理的な機械ですが、故障するまでの予兆のなさという観点ではITシステムと似た性質があったのだと思います。
それゆえの改修(買い替え)タイミングの難しさも…
教訓:大事なシステムには定期改修(買い替え)投資をちゃんと投下しよう
家電のような機械にせよITシステムにせよ、統計的に見れば明らかに
一定期間使い続ければ使い続けるほど、トラブルの発生頻度は上がるのが常。
それを避けるには、家電なら定期的に新しいものに買い替えておくなり、ITシステムならシステム更改をしたりと、
改修(買い替え)への投資をちゃんとしておくことが唯一の対策。
「買い替えても魅力的な新機能がないから」「まだ使えるから」と投資を渋りたく気持ちは分かります。つーか前述の通り今回私もやらかしました。
「壊れてから買い替えればいいや」程度の重要度のモノならそれでもいいでしょう。
ただ、そこそこ自炊をする一般家庭における冷蔵庫のように。
会社における重要基幹システムのように。
【ひとたび壊れてしまえば多大なダメージを受けることが予想されるモノ】
に対して投資を渋るのは、とても得策とは言えません。
一般的には、「まだ動くからもったいない」と、専門家か見ればいつ壊れてもおかしくない古いモノを使い続ける精神は美徳とされることも多いです。
が、世の中には、特に技術系の世界でこそ
【もったいない精神という美徳のつもりで投資を渋ると悪いことが起きる】
そんな場面があること、あたらめて認識されてほしいなぁと思った出来事でした。
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