自分の愛犬(保護犬)を災害救助犬にしたい。#2保護犬のスーちゃん
「初めましてー!ゆかりちゃん?」
この日は日が暮れてから軽自動車で渋沢方面へ向かった。
正直もうどの場所で待ち合わせしたのかは覚えていないけど、暗がりの中、山田さんが声をかけてきて、真っ黒い犬を私に見せてくれた。
「結構引っ張りも強いから、心配やねんけど、大丈夫?」
ハキハキとした気持ちの良い関西弁で、スーちゃんの様子を教えてくれた。
とにかく興奮しやすくて、車や人、すべての動くものがまるで獲物かのように飛びかかっていくらしい。大型犬だらけのシェルターの中で、1番引っ張りが強かったという。確かに、体のサイズは17、8、キロの中型犬だが、ムキムキの筋肉をまとっていて鉄球みたいに中身が詰まっている感じだった。
ただ、私にとってはそんなに気にならなかった。
刺激がなければ犬はひとまず落ち着く。
軽井沢の別荘ならば、住宅の多いこの辺りよりも散歩も楽だろう。
そんな風に簡単に考えていたが、それは後々間違っていたということになるのだけれど。