「ベトナムに来て、歴史を知ることって大事だと思った」青年海外協力隊になる前、2か月間1人旅した話⑨
↓前回(バスで中国・南寧からベトナム・ハノイへ)
ハノイは見どころが多くて、書きたいことがたくさんある。
ハノイ滞在初日は、旧市街、ホアンキエム湖、ベトナム女性博物館、ホアロー収容所、ハノイ大教会、タンロン水上人形劇場へ行った。
さすがに全部は書ききれないので、今回はベトナム女性博物館とホアロー収容所のことを中心に書こうと思う。
実は、私が1人旅を好きな理由の1つに「自分が興味のある博物館とか美術館へ行けて、自分のペースで見て回れるから」ということがある。
正直、博物館や美術館って、友達とはあまり行くことがないと思う。
こういうところって盛り上がる場所じゃないから友達との旅行だと計画から外されがちだし、
もし一緒に行けたとしても、私は展示の説明書きを翻訳して考えごとをしながら見て回るのでめちゃくちゃ時間がかかってしまい、相手に申し訳ない気持ちでいっぱいになる・・・。
でも、旅行で訪れた国の博物館へ行くと、その国のことが深く理解できるし、博物館へ行く前と後ではその国の見方が変わってくる。だから行きたい。
その好い例が「ベトナム女性博物館」と、「ホアロー収容所」へ行ったことだ(これらに加えて首都ホーチミン市にあるベトナム戦争博物館も、ベトナムに対する私の見方を変えてくれた。それはまたホーチミン編で書きたい)。
まずベトナム女性博物館は何がおもしろいのかっていうと、ベトナムの「女性」に焦点を当ててベトナムの冠婚葬祭などの文化や様々な民族の民族衣装、独立戦争について幅広く展示をしているところだ。
歴史的に見ると女性の方が家庭に深く関わることが多いので、その女性を軸にすることでその国の昔の生活や、戦時中の生活、文化などがよりリアルに感じられる。
そして、展示品に対する説明書きも工夫されていた。
例えば、昔の道具ひとつひとつに「〇〇市の□□さんが使っていたもの」という書き方がされていて、
かつてその道具を使っていた女性が確実に存在したことが分かり、その人がその道具を使っていた瞬間が目に浮かぶようだった。
それから、ベトナムでは朝から晩まで物売りをする女性をよく見かけるのだけれど、このような女性を題材にした映画が放映されていた。
インタビューを受けた物売りの女性の1人が「本当はやりたくないのだけれど、子供たちを大学まで行かせたいからやっている」と言っていた。
この言葉を知らないままだったら、私は道端で彼女たちを見ても何も思わないか、「『私を写真撮っていいよ』って話しかけられて撮ったらお金とられるから近づかないでおこう…(ハノイあるある)」と思うくらいだ。
この博物館に行ったことで、ベトナムの文化だけじゃなくて、ベトナム人女性の強さや逞しさの秘密が分かった気がした。
ベトナム女性博物館のあとは、お昼ご飯を食べてホアロー収容所へ。
ホアロー収容所は19世紀末にフランスが造った収容所で、フランス統治時代はフランスの支配に抵抗するベトナム人が、ベトナム戦争中はベトナム人民軍の捕虜(アメリカ人)が収容されていたそうだ。
収容所の中に入ると、脱走できないようにガラスの破片がびっしりついた高い塀や、当時のベトナム人捕虜の様子を再現した蠟人形、ギロチン、ベトナム人捕虜が脱走しようとして掘った穴などがある。
見ていると確実に暗い気持ちになるのだけれど、楽しい観光をするだけじゃ知りえないベトナムが持っている暗い側面や独立への強い思いを知ることができる。
それから、この収容所にはベトナム人だけではなく、欧米人や他のアジア各国の人々が観光に訪れていた。
その光景を見て、ここに色んな国の人が来て、1つの国の負の歴史を知って、それを共有することに意味があるんじゃないかと思った。
*おまけ
ハノイはフランス植民地時代の影響か、いたるところにカフェがあった。
しかもおしゃれで安くて美味しい。
ハノイ名物のエッグコーヒー(コーヒーというよりティラミスに近い飲み物)、コーヒーの苦さとカスタードの甘さが絶妙に合っていておいしかったな…。もう一度飲みたい…。