体験はプライスレス……か?
まずはこちらをご覧いただこう。
低気圧のヤツが頼みもしないのににじり寄ってくる6月の上旬、その日は朝から鈍色の雲が空を覆い、立ち並ぶ家々まで圧し潰さんとしているような、どんよりとした天気だった。湿った空気が身体に重くのしかかり、趣味も作業もほとんどやる気が起きない。雨が降っている最中より、降り出す直前までの方が陰鬱な気分になるのはまったく不思議なものだ。
このままではせっかくの休日をほぼ寝て過ごす羽目になってしまう、そればかりは避けたい……と、とりあえず検索してみたのが☝の動画だ。常々『折り紙で簡単に作れるパーツがあれば、それを組み合わせて好きなものを作れる』とは思っていた。紙なんて滅多に折らないし、普段は他にやることも多いので後回しにしていたが、その日ばかりは『他』に対するやる気が全然出なかったせいもあって、久々の紙工作に興じることにした。ちょうど散らかり気味のデスク周りが気になってきたところだし、適当に小物入れでも……と。
とりあえず動画を参考に1枚折ってみる。うん、悪くない。
入れたい小物の大きさから完成形をなんとなく決め、なんとなく数を折っていたところで、ふと考える。何枚くらい必要になるのだろう、と。
まあそれなりに沢山使うんだろうなぁ、程度に考えていた。しかしいざ数えてみると、完成するには同様のパーツを20枚作らねばならないとわかった。
にじゅうまい ( Д ) ゚ ゚
なんということだろう。スキマ時間でどうにかできる数ではなかった。しかしせっかく折り始めたものを途中で投げ出すのわけにもいかず、仕方がないのでとにかく折り進めた。
『折り紙』と言ったものの、実際に使っていたのはフツーの折り紙ではなく『クラフトペーパー』とかいう名前の紙だ。確か。買ったのが数年前なので名前はうろ覚えだ。枚数が多いからと、折り紙を使う前の練習用素材として買った記憶がある。
折り紙よりもやや柔らかい紙で、表と裏がほぼ区別されず同じ色のため、折りすじがものすごく見づらい。小さなズレが後の大きなズレにつながるため、位置をしっかり合わせ、しっかり折りすじを付け、などとやっているとずいぶん時間がかかってしまった。5枚折るのに小一時間とか。始める前はまさかそんなに時間かかるとは思わないじゃない? 折り紙。
枚数が揃ったら、ようやく組み立て。
のり付け箇所の多さとか組み方などで、組み立てにも結構な時間を使いつつ……。
ようやく完成。実に作り始めた日からさらに2日ほどもかかってしまった。正直もうちょっとこう、サッと作るつもりでいたが甘かった。まあ、作っている間は夢中になったり無心になったりできることと思うので、チャレンジしてみたい人はぜひやってみてほしい。
……いや、取り掛かる前から考えちゃいけないよ、そんなことは。
新しい体験のためには、目を瞑っておいた方がいい事実というのも、少しはあるってもんだ。
100円ショップで買った方が圧倒的に早い、なんてことはさ……。