見出し画像

Armored Defender

 風が迫っている。気象情報が更新されるたびに微妙に予想進路が変わりながらも、四国も大きな被害を受けることになりそうだ。人の手で如何ともしがたい自然現象を安全にやり過ごすためには何かしらの備えが必要である。食料や防災グッズもさることながら、もうちょっと基本的な家屋の防御機能もまた、必要なときに自在に使えるようにしておかなければならない。ということで、自室の雨戸を点検しておくことにした。大きな雨風がなければ数年はほったらかしの装備である。いざ引っ張り出したときにすぐさま効力を発揮できなければ、そのぶん危険にさらされる時間が長引いてしまう。

 故そんな心配までしなきゃなんないのかといえば、実際にこの数年ほったらかしになっていた結果、仕舞われた雨戸のスキマに蜂の巣を作られる事態が発生しているからだ。想像してみるとよい。雨戸に手を掛けたが最後、室内になだれ込む蜂の群れの姿を。とてもじゃないが防災どころではない。ここ2年ほど初夏から梅雨の時期にかけて集合住宅を作られかかっていて、その度に撃退はしてきたが、もしかして虫ケア用品の効果を免れた生き残りがいないとも限らない。careと言いながら絶命させられるにとってはいい迷惑だろうが……とまあ、それはともかく。

 の外側、壁の側面に取り付けられた戸袋からアルミ製の引き込み戸をとりあえず引っぱり出す。蜂が飛びだしてくる様子もなく胸を撫で下ろしたのはいいが、屋内側にあたる雨戸のウラの上部の端に、2~3センチ程度の小さな巣が作られているではないか。ヤツらの姿を見つけ次第スプレーを噴射していたというのに一体いつの間に造設したというのか。幸いにして家主は姿を消していたので、ステンレス製の火ばさみで取り去っておいた。対ムカデ用のつもりで買ったものでもこういう時には役に立つ。
 蜂に飛び回られる危険はないと分かったので雨戸自体は使えるが、雨戸のウラは埃に砂と土とが混ざったようなガンコな汚れが付着していて触れるたびに手が汚れる。それもできれば回避したい。思い立ったが吉日、点検ついでに掃除も行うことにした。なーに自室の雨戸の2枚くらい10分か20分もあれば終わるさハハハハ、などと思っていたら甘かった

 ず雨戸を戸袋から出すのが数年ぶりなら掃除などはそれ以上ぶり、あるいは一度もやったことがないレベルだ。戸袋の内側にかかるレールの部分から汚れていて、フツウの埃や小石などの汚れの他に、去年だか今年だかに死闘を繰り広げた蜂のなきがらが転がっていた。手のひらサイズの箒でそれらを掃き出して、ようやく雨戸(内側)の拭き掃除にとりかかる。積年の汚れは純白のウェットティッシュを瞬く間にチャコールグレーに染め上げ、それを幾度となく捨てては換え、捨てては換えしなくてはならない。しかも季節は夏、立秋も処暑も過ぎたと言えども八月の終わりはまだまだ暑く、雨戸を閉めた状態なものだから風も通らない。茹だる暑さに耐えながらひたすら掃除を続け、終わった頃には当初の想定のほぼ倍の時間、30分から40分が経過していた。こりゃあ一仕事である。何でこんな事しようと思ったのか。あ、台風が来てるからか。

 にかく、掃除は甘く見てはいけない。普段あまりやらない場所ならなおさらだ。日取りを決めて、時間に余裕を持って行うのが最良だろう。
 わざわざ出勤前にやることじゃあなかったよ、ホントに。

いいなと思ったら応援しよう!

神月裕
読んでいただきありがとうございました。よろしければサポートお願いいたします。よりよい作品づくりと情報発信にむけてがんばります。