拝啓リナ=インバース様。
今日はしばらく前に買った『スレイヤーズMEGUMIXXX』を聴いていた。買ったはいいものの、ここ最近は部屋で音楽を聴く習慣がなくて初回版を手に入れた段階で満足しちゃってたのだけど。
しばらくぼんやりと楽曲に耳を傾けて、時おり人知れず熱唱などしつつ歌詞を追ううちに、はたと気付く。
劇場版スレイヤーズ(第一作)のとき、『MIDNIGHT BLUE』の中で
遠く 遠く はるか遠く 旅の果てに 何があるの
……と、夜空の向こう海原の果てに問いかけていたリナちゃん。
それが十数年後の『JUST BEGUN』では
人生(たび)はまだ途中だから 楽しい事も ちょっとつらい事も
これからも続くのだろう
として、自身と旅路の在るがままを、ある種の諦観とともにポジティブに受け入れながら歩き続けてさらに十数年、30周年記念イメージソング『two thumbs up!』になると
再び重なった運命 めくりあげてシャッフル
どれを選んだとこで きっとたどり着ける
それまでの旅を自信として、明確な意志のもと突き進めばどんな道を選んでも必ず目標にたどり着けると(曲調のせいもあろうけども)、高らかに断言するのだ。架空のキャラクターではあるものの、人間的に成長している。
いやもう、最高にカッコいいヒーローだと思いませんか。
スレイヤーズの楽曲は林原めぐみさんが詞を書いているものも多いので、氏の変化や人生観も反映されてのことと思う。けれど、もはや一心同体というか、両者ともが両者ともを形作るのに欠かせない一部分みたいなところがあるので、リナちゃんの成長といっても差し支えない……と、しておきたい。
思い返せばTVシリーズの楽曲、特にOP・EDは、旅の途中には困難や苦労、『壁』が現れるという前提で、それらにぶつかって乗り越えて進んでいくんだ、現実と対峙していくしかないんだ――という詞が多めだ。
傷つくことは怖くない
ながらも、
だけど決して強くない
と、こんな風に続く詞もあった。それが今、壁を越えた先まで見据えて
流した涙だって 迷い選んだ道だって
ちゃんと続いてるから
そう信じていられる、誰かに諭せる彼女は、最初に比べてずっと強くなっている。そしてまた――以前と同じように、我々の背中を思い切りぶっ叩いてくれる。
make a stand with your head high
『カオ上げて堂々としてなさい』なんて言われちゃあ、やらないわけにもいかねえや。30年も前に世に出たキャラが、いまだに前の方を突っ走ってる。気を抜くと置いていかれると思ったのは初めてだ。
追いすがったところで背中すら見えてこないかもしれないが、こうなったらいつかの邂逅……運命の気まぐれに期待を抱けるぐらいには、追いかけていくことにする。敬具。
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