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ニッポン47妖怪さんぽ「オマケのおすすめ」2023年6月・福井県/ぼた餅化け物

全日空の機内誌『翼の王国』で連載中の「ニッポン47妖怪さんぽ」、これは47都道府県の各県に伝承のある妖怪を造形して、その妖怪に誘われるがまま旅をするという連載です(webからも全てお読みいただけます)。
こちらではその本編からこぼれたお話をお伝えします。

あんこではなく焼いて固める粘土で作っています
こちら本物のぼた餅

どんな妖怪でも追いかけるうちに美味しいものに辿り着くというこの連載、なんと妖怪自体が美味しいものであるというレアケースです。
とはいえ、実際の伝承では姿は見えない声だけの妖怪で、江戸時代、福井県の民家の床下に潜む自称・ぼた餅化け物なのです。本人(本妖怪?)の自己申告通り、もし見えたらこんな感じなのかな?と作ってみたのがこの姿で、舎弟として急須化け物と湯呑み化け物を従えているのは私の独自解釈です。
詳しい伝承はこちらからご確認ください。

ぼた餅、おはぎはお彼岸のものなので、お店によっては通年置いていないことも多いため、取材と撮影に訪れたのは2023年3月の春分の日。餅屋さんを巡るうちに、我々取材班はあらためて福井の豊かな餅文化に驚嘆そして魅了されることになったのでした。

最初に訪れた「大吉餅」ではぼた餅(トップ画像のあんこ、のり)はもちろん、通年店頭にあるという福井名物のあべかわ餅の美味さにも衝撃を受けたので、その後の餅屋巡りではぼた餅と共にあれば必ずあべかわ餅もいただくことにしました。

店頭で仕上げてくれる大吉餅さんのあべかわ餅
驚異的な柔らかさ、黒蜜のコク、こ、これは……いくらでも食べられる!

「大吉餅」さんの後に行ってみた「喜ね舎」では、時間が少々遅かったためなんとぼた餅ゾーンが正真正銘すっからかん! 事件性はなくお彼岸の福井では本当にこういうことが起こるのです……。しかし翌日開店に合わせて行くと、ちゃんと山のように補充されておりました。ホッ。

本編には「取材中全部で8軒の餅屋さんを訪ねた」と書きましたが、「大吉餅」「喜ね舎」のあとに巡ったのは「あらたま製菓」「あめこ」「ふく家」「村中甘泉堂」「ひげ餅舗」そして「蝋金餅店」です。どのお店も心からおすすめします。もともと私は餅好きだったので、すぐにその場で食べるという妖怪さんぽは至福でしかありませんでした……ありがとうぼた餅化け物!!

青空の下の「蝋金餅店」あべかわ餅は最高! 店により丸型と三角形があります。

また今回は情報豊富で素敵なフリーペーパー、福井新聞グループ「月刊fu」の編集部におじゃましました。福井のみなさんにとってぼた餅とはどのような存在なのか、いったいいつ食べるものなのかなどお聞きしました(本編どうぞご覧ください)。また記事の参考になる資料もたくさんいただき、本当に感謝です……。とっても広くて居心地のいい編集部に、一緒に連れて行ったぼた餅化け物も帰りたくなさそうでした。ありがとうございました!
このときに私がおじゃました様子は、福井の街ネタポータルサイト、『ふーぽ』でもご紹介いただいております。とっても嬉しいです〜〜✨

福井新聞グループ「月刊fu」編集部のみなさんと。左から私、堀さん、川端さん、木曽さん

もちろん今回も素晴らしい地元図書館「福井県立図書館」に伺って郷土史などを紐解きました。設計は幕張メッセや青山スパイラルの巨匠・槇文彦氏。7万㎡の広々とした敷地に蔵書数は100万冊超! ここだけで一日中過ごせます……。

雨降りの妖怪日和でした……

次に来る秋のお彼岸は2023年9月20〜26日。ぜひみなさまもこの日に合わせてぼた餅さんぽ、いえ妖怪さんぽを楽しんでみてください。


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