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めんどくさがりやの私が「お弁当箱」のおかげで35年以上お弁当が続いてしまっている話①

スピーチイベント「TEDxKIOICHO」

先日、ご縁あってスピーチイベント「TEDxKIOICHO」にスピーカー登壇させていただく機会がありました。
(TEDx…アメリカに本拠地を置きプレゼンテーションイベントを組織する非営利団体TEDから公式にラインセンスを受けて行われるプレゼンテーションイベント)

2023/11/12に開催されたTEDxKIOICHO(イベントはすでに終了)

様々なジャンルの皆さんとご一緒したこのイベント、当日はチケット完売だったそうです。イベントを支えるボランティアスタッフの皆さんが、とても誠実で、温かくて、何よりもイベントを楽しんでいらして、会場は本当にすてきな熱量でした。

登壇終了後に行われたスピーカー全員での、クロストークセッションが盛り上がりました

いつもは「簡単にできるお弁当のつくりかた」「食品ロスをなくすお弁当の続け方」など、より実践的な講演が多いのですが、この日は抽象度をあげた内容になりました。そして、めんどくさがりやの私が35年以上もお弁当が続いている理由を「お弁当箱」というハードの部分から紐解いてみました。(当日のスピーチは短めにしました。後日英語字幕付きでアーカイブ配信されるそうです)

きっかけは「学校に給食がなかった」から

日々のお弁当サムネイル

中学の時、給食がなかったので自分でお弁当をつくりはじめました。それから家族の分もつくるようになって、かれこれ35年以上つくり続けています。続けて、というと語弊がありますね、毎日欠かさず、じゃないですが、平均して平日3日ぐらいはお弁当を作っていると思います。お弁当が何か特別「難しい」と言われたりしますが、私のは家の普段の食事から詰めやすいものを選んでいるだけで、中身はちっとも特別じゃありません。
手元にあるお弁当箱も気づけば3桁ほど集まってしまい、使ったことのあるお弁当箱は仕事も含めると、400種類ぐらいにはなると思います。

めんどくさいを天秤にかけていたら、お弁当という選択肢が残った

何十年も続けていてすごいですね!と言ってもらうたびに「いやいやいやいや」と言いたくなります。謙遜じゃなくて。

私は続けるのが苦手で、子どもの頃から習い事も塾も続いたことがないです。
そしてめんどくさがりなので、めんどくさい理由をいくつも思い付きます。お昼を食べる時に、お店選ぶのも、並ぶのも、メニュー見て考えるのも面倒、なんならお天気悪い日にそもそも外に出るのが面倒。
そういえば、冷蔵庫に今日明日食べ切らなくちゃいけないものもある。これを残すと生ゴミになってまた罪悪感を背負わないといけないし、生ゴミ増えるのめんどくさいなー、と。
でも食い意地が張っているから、なんとかして楽して食べたいものが食べたい。

こっちのめんどさに比べたらお弁当の方がまあいいか、の繰り返し

こうして、いくつものめんどくさいを天秤にかけて、「めんどくさくない方を選びつづけていたらお弁当が続いちゃった」というのが実は、正直なところです。

お弁当が続いているのは、「お弁当箱」のおかげ?

とはいえ取材で「どうしてお弁当を続けているのですが」「お弁当を続けられるコツは何ですか」と聞かれ続けると、続けるのが苦手な私がなぜお弁当だけ続いちゃったのかをよくよく考えてみるようになりました。そしてある日ふと気づきました、これって「お弁当箱」のおかげじゃないかと。

お弁当は、とかく味や盛り付けの美しさなど、中身の話ばかり先行しますが、食べ物を入れて持ち運べる蓋付き容器、これがあって初めて「お弁当」になります。でもこの「食べ物を持ち運べる蓋付き容器」にこそ価値があるんだなあと。

「容器」は、製造から消費までを一気につなげる

食品容器で古いものというと、遺跡から見つかる土器が思い浮かびますが、あれは蓋がなくて、食べ物の煮炊きや蓄えが、主な目的で使われていました。中身を守ろうと思うと、そこには蓋が必要になります。

土器はもともと煮炊きや貯蔵が主目的なので、大きくて持ちにくい


容器の強度が増して蓋がつくと、中身を守りながら場所を移動させることができるようになります。それに運搬器具、人の足から馬や牛、車輪などを組み合わせると、移動距離や活動範囲が一気に広がります。

その最大化の1つはコンテナ輸送かもしれません。いろんな形の荷物を収めるコンテナ、蓋ができるシンプルな鉄の箱と、船やトラックなどの運搬器具を組み合わせたことで、海上から陸上への輸送がスムーズになり、その中でいろいろな技術革新が起きて。生産と消費のグローバル化を実現させたコンテナは20世紀最大の発明とも言われています。

コンテナは20世紀最大の発明

ヒトの消費活動の広がりと弁当箱の進化

と、大きな話になりましたが、生産から消費の流れは、家のお弁当も同じような仕組みです。
開発はメニューを考える。材料調達は買い物。製造は調理。そして納品。配送は、お弁当箱とそれを運搬する人の組み合わせです。そして運搬する人と中身を食べる人が直結している、実用性の頂点みたいなもんです。

お弁当における生産から消費の流れ

人の移動距離と活動範囲が広がると、活動する時間も増えます。通勤通学を組み入れたライフスタイルの変化に加え、食生活も豊かになっていくと、お弁当箱も変化していきます。

お弁当、おにぎりぐらいなら木の皮や葉っぱで十分でした。だんだん食生活が豊かになって、形の違うおかずが増えてくると、葉っぱじゃあ収まらない。そうなると、蓋付き容器が必要になってきます。最近のお弁当箱を見ると、本体は電子レンジや食洗機が使えたり、魔法瓶構造の保温保冷機能がついたり、保冷剤がふたに内蔵されていたりと様々な機能が備わったものも出ていますが、基本的には「中身を守りながら持ち運べる蓋つき容器」というとても単純なものです。

サイズ、素材、機能…いろいろなお弁当箱が登場している

では、こんなにめんどくさがりな私にお弁当を続けさせている「お弁当箱」には、一体どんな価値があるのでしょうか。ぜひ、続く②と③も読んでいただけたら嬉しいです。

お弁当箱が私たちにどんな価値を提供してくれるのか具体的に紐解いた②

お弁当が「モバイルな食卓」だと思うわけ、そしてお弁当箱論の総括③


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