マイペース高2息子と初めてのニューヨークへ親子旅①:ドキドキのフライトとトラブルな幕開け
7月末、マイペース高2息子と2人でニューヨークを旅した。
きっかけは息子のカナダ研修旅行。3年前に行くはずだったのがコロナで延期になり、今年の秋に決行となる。知らない場所が嫌いで、かつ家族と離れるのを不安がる息子は「カナダ怖すぎる、行きたくない」とゴネる。学校が安全を担保すべく手厚く導いてくれるので、これほど安全な海外旅行はないと思うが、息子にとっては不安要素しかない。それは長年の経験から知っている。
だったらとりあえず「外国」がどんなものか見ておけば少しは恐怖が軽減されるのではないかと思った。もともと知らない場所がダメな息子だが、とりあえず聞いてみた。「カナダが嫌なら、海外でここなら行ってみたいという場所はあるか?」と。すると息子は「アメリカは映画でよく見るからちょっとだけ行ってみたい」という。アメリカは広いがどこに?と問うと「スパイダーマンで見ているからニューヨーク」という。
この物価高と円安にニューヨークとはよく言ったものだが、新聞も読まない息子がそんなことは知るまい。わたしも時事問題に弱いけど物価高がヤバイことは知っていた。わたしは悩んだ。知らない場所が全然ダメだった息子が、「アメリカなら行ってみたい」というのだ。鉄は熱いうちに打て、これは息子にとって大きな刺激になるのではないかと思った。
しかしこの円安。うーん、夫に言うのもはばかられる。だがわたしの個人旅行には塩対応だが息子への投資は惜しみなくしてくれる夫。聞くだけ聞いてみようか。
「息子がニューヨークに行ってみたいって言うんだけど、いい経験になるから連れて行ってみたい。だけど費用は飛行機とホテルだけでもなかなかの高コスト。トータルで結構かかると思うからどうしよう」
という相談にふたつ返事で「いいよ、行ってくれば」といってくれた。以前だったら目を吊り上げてたと思うのだけど、今回は何もいうことなく二つ返事で承諾してくれたのは本当にありがたい。ちなみに夫は海外嫌いな上にうるさい都会なんてもってのほかなのでお留守番だ。
海外旅行が好きだったわたしだが、10年以上海外旅行には縁がなかった。夫は英語が一言も話せないからと海外が怖い人だし、息子は息子で知らない場所がダメな上に食べ物も和食以外食べないので、家族で海外はなかなか難しいなと二の足を踏んだまま、毎年夏は夫の実家の北海道に行くのが恒例になっていた。久しぶりに海外に行けるとなって急にウキウキし始めた。
ただ正直わたし自身、自分が旅行先を選ぶときにはニューヨークは選ばない。遺跡とか古いものが好きだし、美しい街並みや景色を見たいので都会は選択肢から外れる。ていうか都会って日本もなかなか都会だし、ビル群なら新宿とか渋谷で良くない??と思っていた。だが今回は息子のリクエストで決まった行き先ニューヨーク、これはこれで縁なのかもと思い、せっかくこの時期に行けることになったのでわたしもわたしで楽しもうとガイドブックを買い込んだ。久々の海外にドキドキする。
いざニューヨークに行くと決めたものの、なんだか怖くなってきた。だって銃社会じゃん。19歳で初めてペンパルの家に居候しにいったのはマサチューセッツのド田舎で銃とは無縁だったし、30代で仕事のツアーで行ったロサンゼルスはパッケージだったし、ニューヨークなんか行って大丈夫だろうか?撃たれやしないか?とか。心配性なわたしがムクムクと登場する。
とはいえこんなチャンスでもなければ海外旅行もできないだろうとホテルと飛行機を手配。昔のようにバッグパック旅行は怖すぎるし、今回は息子連れということもあり、ホテルはとにかく安全そうで新しくて交通の便も絶対いいだろうタイムズスクエア近隣、大手ヒルトン系列のリーズナブルなホテルを選んだ。日系航空会社は高いだろうと思っていたら、なんとJALのツアーが一番安かった。昔は日本の航空会社なんか高くて乗れなかったのに。あーなんか嬉しいけど日本てほんとに安くなったのね・・・。
日本国内の旅行と違い、薬なんかも厚めに持ったり、14時間フライトで足のむくみ対策にメディキュットを買ってみたり、飛行機用の枕を買ってみたりとなんだかんだで荷物は増える。ただ洋服は都会に行くので少なめにした。だってニューヨークってユニクロあるんだもん。困ったらユニクロで買えばいいし。
7月の夏休み前にうっかり息子が学校でコロナをもらってきて、家族全員でかかったこともあり、回復してからは仕事の傍ら海外旅行の準備をずーーっとしていたので、なんか出発までずっとソワソワ。無事出発日を迎えた。
当日は夜便なので朝もゆったり。初めての羽田発だが、北海道に行くときと変わらない時間で空港につくのでめちゃ楽。チェックインは自動、なんだかすべては進化している。息子はわたしが全部やってくれると思ったのか「知らない場所嫌い」なくせに通常モード。私のほうがビビってるじゃないか。なぜか息子は「14時間も飛行機ってどうしたらいいの」と戸惑う。不安になるのってそっち?
北海道にはいつもLCCをつかっていて、機内の娯楽がない環境に慣れていた私たち親子は、読みかけの本だとか見たい映画のダウンロードをしてフライトに備えていたのだが、なんとJALはエコノミーでも4K画質の液晶パネル付き、映画は選び放題で本なんて読んでる暇がないくらいエンタメが充実していた。思わず長尺のミッションインポッシブルを見たよね。
パネルで見るフライト情報もグーグルアースみたいな感じで楽しい。メッカの方向が分かるやつもついていた。
息子もウキウキしながらマン・オブ・スティールを見ていた。マーベルとかDC系のアクション映画が大好きなので、さすがニューヨーク行きたいってだけあるね。
さらに初めての機内食も息子は大興奮。わたしは日系航空会社の機内食が初めてなので期待値が高かったのだが・・・うん、なんというか「機内食」という味だった。
しかも寝て起きたら無印のバターチキンカレーが出るという重さ。おいしいけど、胃が起きてないよ・・・
エコノミーだからか、機内での加熱調理を前提としたメニューに限界があるのか、いろんな国の人に合わせてるのか、理由は分からない。どこかのシェフが考案したらしいのだけど、これならハンバーグ弁当みたいなのでいいのになぁ。
とかなんとか言ってる間にニューヨーク、JFK空港に到着した。目の渇きに備えてコンタクトレンズを外してメガネで寝ていたので目もラクだし、メディキュットを履いていたので足はかなりラク。到着は夜6時半の予定だったが、ロシアの火山爆発の関係で航路が変わり1時間遅れでの到着。
遠くに見えるマンハッタンのビル群!!!きたよニューヨーク!
やっとこさついたねーと進むと入国審査は長蛇の列だった。
そしてゲートは15個くらいあるのに、審査しているゲートは3つしかいない。ひとりひとりにえらく時間がかかっている。うーんこりゃ並ぶなぁ。案内してるおじさんもジュース飲みながらダルそうにやってるし、素早くさばくって感じじゃないなぁ。ここほんとにニューヨーク??とか思いながら並んでいた。
ただ、並んでいる間にも気がかりがあった。夜到着だったのでホテルまでの移動は送迎を頼んであった。日本語対応だと高いので、現地旅行会社での送迎を予約してあった。約款では遅れそうな場合はメッセンジャーで運転手とやり取りしてくださいと書いてあったので、飛行機が遅れることがわかったときに連絡、到着してからも入国審査が長蛇の列で時間がかかりそうだと密に連絡していた。
すると運転手は「次の送迎があるから2時間までしか待てない」と言い出した。あと30分経ったらもうここを去るという。とか言われても乗り継ぎ以外の人は誰も申し出てないし待つしかなさそう。「ここを去るならキャンセル処理してくれ」とメッセージをするけど運転手は「それは会社に連絡してくれ」という。で、結局間に合わずで予定より3時間も長引いて入国審査が終わったのは夜10時近く。予約していた送迎には去られ、とりあえず旅行会社に電話するも「イエローカブに乗ってくれ」と言われる。
おいおい来ていきなりトラブルですか、と疲れた体にボディーブロー。拙い英語で「じゃあこの予約はキャンセルしてくれるんでしょうね?」と言ったのだが具体的な返事はなく「とにかくイエローカブで行くしかない」と言われ、もう仕方ないとタクシー乗り場に行った。だったら最初からタクシーで良かったじゃん。
到着から時間がたちすぎてガラガラな空港、、
というかこの旅行会社に「キャンセル処理してくれ」と延々メールで交渉したが、結局契約不履行のままお金が返ってこなかった。2時間待ったからダメっていうんだけど、約款には遅れそうならドライバーと相談してくださいとしか書いてなかったよ??送迎136ドルだよ?先払いだよ?しょっぱなからやられた。もう二度とここのサービスは使わない。
まぁそれでもイエローカブは並ぶことなく乗れて、マンハッタンまで70ドルと固定だったので少し安心した。どこか訛りの聞き取りにくい英語でおじちゃんがあれこれ話しかけてくれるのだが、訛りがきついのと、運転席と後部座席の間にぶあついパネルがあるのでよく聞こえない。そしておっちゃんはいい人っぽくはあるのだが、とにかくホテルの住所を何度言っても覚えてくれない。ニューヨークは京都のように碁盤の目で縦の通り(アベニュー)と横の通り(ストリート)を伝えれば行けるはずなんだけど、ちょっとボケてるのか何度も確認された。10回は言ったと思うわ。
夜の10時半だというのに空港からマンハッタンへの道は大渋滞。ノロノロと進む車。いったいこの時間帯でこの交通量ってどーなってんだ?息子はフライトの疲れでウトウトと眠りはじめる。おいおい海外怖いって言ってる割にタクシーで寝るって気が抜けてんじゃないのよ。と思いつつ、車から見えてきたビル群にぬおおおおーとテンションがあがるわたし。
息子をたたき起こして「ほらニューヨーク!!!」と見せ、マンハッタンの中心部に車が入っていくと、ネオンサインの光が強くて昼のように明るいことにぶっ飛ぶ。
おっちゃんが「ホテルどこだよ??」とわたしに聞いてくるんだが、初めてなので分かるはずはない。どうも伝えた住所と通り名が違っているようなんだが、そんなこと言われても困る。とにかくここだという交差点で必死に目を凝らしたら、タイムズスクエアのど真ん中にわたしたちが泊まるホテル発見。ほかの看板が明るすぎて全然見えなかったよ。
無事ホテルに到着したのは夜の11時過ぎ。だけどタイムズスクエアは「なんかの祭りですか??」ってくらい人の往来が激しい。電光掲示板は「電気代とか考えてますか?考えてないよね?」ってくらい煌々と明るい。何百インチもありそうなパネルに華やかなサイネージ。これがタイムズスクエアか。これがニューヨークか!!
ニューヨークに降り立った息子も「うわ・・・昼みてぇだ」とつぶやいた。わが家は住宅街で夜は真っ暗。そもそも新宿渋谷でさえ昼間に数回しか行ったことがない息子にとっては、とんでもない刺激だっただろう。
わたし自身も「新宿か渋谷でよくね?」と思っていたのだが、すいませんニューヨークさん、新宿と渋谷を100倍にしたくらい規模。
「眠らない街」ってのは本当だわ。降り立った夜の11時でも行きかう人々は観光客なのか近所から遊びに来た人なのかわからないけど、とにかくベビーカー押してる人やら子連れやらも多いし、「ほんとに11時っすか?」な世界。
これだけ明るく人の往来があれば、外に出ても大丈夫だろうと判断し、まだ夜ご飯を食べてない私たちはとにかく荷物を置きにチェックインしてから外に何か買いに行くことにした。
ホテルは「テンポ・バイ・ヒルトン・ニューヨーク・タイムズスクエア」。ほんとにタイムズスクエアのど真ん中だ。11階のフロントに行くと愛想のよいお姉さんが迎えてくれた。すんなりチェックインして案内された部屋はなんと41階。さすが都会だぜ!とヒューヒュー言いながら部屋へ。すると電動でウイーンとカーテンが開き、ネオンで昼間のような明るいタイムズスクエアが一望できた。部屋はキレイで思ったより広かった。とりあえずよかった。
https://www.hilton.com/en/hotels/nyctepo-tempo-new-york-times-square/
水とか買いたいし、夜中になったが夜ご飯も食べたいのでひとまず外に出る。ウロウロ歩いているとドラッグストア的な店を見つけて水を買い込む。食べ物は時間も遅いし、レストランに入るのもアレなので屋台で売ってるハラルフードの店で息子はハンバーガー、わたしはサンドイッチを買ってホテルで食べた。味はフツー。
とんでもねぇ景色を見ながら息子としみじみいただくパサつき気味のサンドイッチ。時差ぼけと明るさで夜中ということを忘れそうになりながら夜ご飯を済ませた。
入国審査で待たされすぎて送迎を逃し、しょっぱなからえらいトラブルだったが、とりあえずホテルに着いたから良しとしよう、次の日はニューヨーク1日観光を入れている。予定よりかなり遅くなっての到着だし、朝も早めだから早く寝よう。
と思っていたが、眠るどころではない事件が起こってしまった。
息子が「さっきから気になってたんだけど、、、、スマホがない。」というではないか・・・
疲れ切った体に頭はパニック。ゆっくり眠るどころではなく、ここからがドタバタな長い夜の始まりだった。
続く。