戦士たちを解放する旅 12 (テマスカウ)
そのうちどこからとなく、
泣き声が聞こえ始めた。
すすり泣くような女性の声だった。
東と北への祈りが終わった頃、
パチャママ(大地)に体と顔をつけてと言われ、
みんながその場で横になった。
ただでさえ狭いドームの中に、
前後二列になって並んでいる。
横になるスペースはほとんどなく😅
あちこちで腕や脚がぶつかった。
しかも下はホントに土…
汗が吹き出した状態で横になり、
泥だらけになった。
テマスカウは耐えられないほど熱いし、
呼吸も出来ないと聞いていたけど、
私は案外大丈夫だった。
一瞬だけ…真っ暗闇の中、
ぎゅうぎゅうに詰まって身動きが取れないのが子宮の中の赤子を思い出させ、
この状態で10か月は嫌だなぁと思った。
よく子宮の羊水の中に浮かんで、
心地好いとか生まれてきたくなくて、
なかなか出て来ないとか聞くけど、
私は恐怖の方を強く感じた。
でもそれも一瞬のことで、
かなり冷静に様子を観察していた。
ひとつだけ後悔したのは…ブラジルの💉率を考えると、こんな集まりだから撃ってない人もいると思うけど、撃ってる人もいるはず…こんな狭く閉ざされた中で深呼吸を繰り返すのは自殺行為にも思えた。
でも私は護られている、大丈夫だろう…と、
そんな心配も一瞬で消えていった。
儀式は思ったより早く終わった。
私は普通にサウナから出てきた感じで、
シャワー代わりにバケツ一杯の水を頭からかけてもらって、焚き火の前で乾かした。
泣き声の主はNYから来たカップルの女性だった。ドームから出た後も彼女はまだ泣き続けていた。
でもその顔は、
以前の彼女とは違って、
すっきり優しい顔に見えた。
翌日彼女と話したら、
悲しみじゃなくて、
ハートが愛と繋がったのだと言っていた。
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