![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/74217449/rectangle_large_type_2_32512d6805230c0c3a84cc9b4543a430.jpeg?width=1200)
時空を越えた旅49「儀式を受けたい」
42歳の誕生日を迎えて、
2021年3月20日の宇宙元旦の翌日から、
2週間の予定で旅立った農場滞在の旅。
-
行ってみるとそこは、
いつかのインディアンの土地であり、
いつかの仲間が集まり、
お互いの学びと
束の間の再開をかみ締めたその先には、
いつかのミッションを
締めくくる儀式を行うことになり、
結局3日延長して、
子供とともに14日間、
そして子供なしで3日間、
計17日間の滞在となった。
-
滞在中は思考を止めて
ハートで感じようと決めていた。
だから、
日々のことを日記に記したり、メモしたり、
記事にしようなどとは、これっぽちも思っておらず…
-
何となく覚え書きにと、
投稿していたFacebookの記事…
書いてて良かったー。
-
最初は、
新しい場所と新しい人たちと、
珍しい料理にウキウキしていたものの、
-
そのうちに学びが始まり、
途中から、
毎日毎回少しずつ、
物語が進んでいることに気付いた。
-
そして、
Facebookの投稿を少し手直しして、
まとめたのがこの「時空を超えた旅」
実は、
儀式の内容と薬草のことについては、
そんなに詳しくは触れなかった。
-
それは、
とても神聖なものなので、
面白半分で見られたくない思いと、
私の個人的な体験が、
あまりにもデリケートな体験だったので、
やっぱり興味本位だけの人には
理解されないだろうなぁ…と思いつつ、
それでも、
オープンにすると決めた範囲で、
まぁまぁ詳しく書き記してみた。
でも、
もう少し具体的に話そうと思う。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここから先は、
本気で南米アマゾンのインディアンの儀式について、知りたい方だけ読み進めて下さい。
-
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
旅の最初の週、
会話のあちこちでその言葉を耳にした。
-
まさか?と思いつつも、一番多くその言葉を発していたパウロに尋ねてみた。
「アヤワスカって言ってる?」
すると、「もちろんそうだよ!」と、
さも当たり前のように彼は言った。
-
それから私は、
「アヤワスカ」について色々質問し始めた。
「インディアンの儀式だよね?」
「それはタバコみたいに吸う物なの?」
「アマゾンでしかないと思ってたけどこの辺でもやるの?」
「どの位の時間がかかるの?」
「アヤワスカって植物の名前?」
「個人で買えるものなの?」
私はてっきり「アヤワスカ」とは、
ぐるぐるうねったつるの様な
木から採った何かなのだと思っていた。
-
-
あれは2015年のことだった。
当時、深い闇の中から、
やっとのことで這い出しかけていた私は、
藁をもすがる思いで、
知り合いを通じて知り合ったシャーマンだという日本人男性にメッセージを送った。
最初は、自分の守護アニマルを
教えて欲しいという内容だった。
そのうち、
今世での使命や役割についても、
知りたければ教えるよという話になり、
なんだかんだで、
「あなたの役割はシャーマンで、琴で弾き語りをする」と言われた。
「琴???そんなのブラジルにないでしょ~。」と、そのときはまさかと思いつつも、聞いてしまったものだから放っておく訳にもいかず…
ある訳ないと思いつつ旦那に聞いてみると、「(沖縄舞踊やってる)叔母さんに聞いたら?知ってるんじゃない?」ということで早速電話した。
すると…あれよあれよという間に、
琴一式と先生まで揃ってしまったという話。
あれから6年。最初は全然面白くなくて、
くじけそうになりながらも続けていたのが、
琴と沖縄古典音楽は今では、
私にとってなくてはならないものになった。
-
そんな彼がある日、
聞いてもいないのに私に言った。
「ブラジルにいるなら・・・アヤワスカって知ってる?」
「あれは悪の精霊が付いてるから、あの儀式は受けちゃだめだよ。」
-
そんなのもちろん知らなかった私は、インターネットを使ってすぐに「アヤワスカ」を検索した。
-
日本から見て地球の裏側ブラジルの更にアマゾンの森の中、未だにその伝統的な儀式を執り行っているインディアンのところで、
「アヤワスカ」なるものを体験した人がどのくらいいたのだろう。
当時は、ほんの数記事を見つけただけで、
しかも、そのどれもが結構ヤバイやつだった。
一緒に出てきた写真はぐるぐるうねったつるの様な木の枝だったので、私はてっきりそれが「アヤワスカ」なんだと思い込んでいた。
そして、この儀式を受けるチャンスはまず訪れないだろうけど、あったとしてもこれは受けないほうがいいやつなんだと思った。
-
-
そんなことがあったので、とても嬉しそうに
「アヤワスカ」の話をするパウロに「もし儀式を受けるチャンスがあったらするかい?」と聞かれたときは、一瞬何と答えようか戸惑った。
なぜなら…興味はあったから。
でも、悪の精霊だって言ってたし・・・。
そして私は、その戸惑いの理由をみんなの前で正直に話した。
-
話を聞いていた中の数人は、
すでに「アヤワスカ」経験者だった。
そのほとんどが、「アヤワスカ」の儀式に対して好意的に見えた。でもまだ、そんなにはよく分かってないという風で、私と一緒にパウロの話に聞き入っていた。
-
焚き火を囲んで聞いた
話の内容を詳しくは思い出せない。
ただ「人生のなんたるや」
を淡々と説くパウロの言葉は、すんなりと私の耳に入り、それを理解するのは容易で、
私にとっては当たり前のことに思えた。
だからこの人がいいというなら「アヤワスカ」の儀式はきっと悪いものではないはずと思い始めたのだった。
でもこの時私はまだ、決心も覚悟もできていなかった。
-
それから数日が過ぎた。
その一日一日が偶然の一致と気付きと学びの毎日だった。
最初の週末が終わる頃、「準備ができた」
とはっきりと意識している自分に気付いた。
その間も、パウロ以外の「アヤワスカ」経験者からその体験談や情報を集めていた。
ヒカルド「ぶっちゃけ、そんなにしっかりした効果が得られなくて、中途半端だったからよく分からない。次やるときにはもっと、感じられるといいなぁ。」
アリアニ「もう8回もやったよ。そのうちの数回はあり得ない体験もしたけど、アヤワスカで私の人生が変わった。」
ヒッカ「やったことあるけど・・・よく分からないんだ。アヤワスカはウンダイミという宗教で、ある黒人の大男がある日呼ばれて、アクリ州のアマゾンの森の奥に入っていき、道に迷って辿り着いたのが「アヤワスカ」の儀式をするインディアンの部族だった。彼はそこで学んだ「アヤワスカ」をウンダイミという宗教と統合して街に持ち込んだんだ。でもそれも、様々な他の宗教と合体して、様々な形に変化しながら広がっている。僕がリオデジャネイロで受けたのは、僕の信仰する宗教「ウンバンダ」と「ウンダイミ」がくっついた「ウンバンダイミ」と呼ばれるものだったんだよ。内容は詳しく言えないけど、あまりいい経験ではなかった・・・。」
そんな話を聞きながら、私はまだ見ぬ「アヤワスカ」への想像を膨らましていった。
-
滞在はあと1週間。なんの根拠があった訳でもないけど、なんとなくこの滞在中に「アヤワスカ」の儀式が起こるだろうと思った。
でもここは行動の星「地球」思ってるだけでは
現実にはならないことも知っていた。
時間は間に合うのだろうか?
パウロにそれとなく儀式開催の可能性を聞いてみると、
儀式自体は1日で終わるけど、「アヤワスカ」の薬草を準備しなければならないことや、コロナの影響で人が集まるイベントはキャンセルになっていることなど、
この滞在中の儀式の開催は、あまり現実的ではないような回答だった。
-
私は少しだけ考えてから、やってみなければ分からないと思い、少しの勇気を振り絞って、週明け早々オーナー婦人のジェシカを捕まえて聞いてみた。
「 アヤワスカの儀式について、色々聞いて興味があるんだけど、この滞在中に儀式が出来る可能性はあるかな❓」
彼女は真っ直ぐに私の目を見て、しっかりと私の話を聞いた後、こう言った。
「 実はコロナでこの週末に予定していたアヤワスカの儀式をキャンセルしたんだよ。本来なら2-30人集めてやる儀式。今ここにいるのは8人とスタッフ4人とパウロの13人。人数が少ないから料金が高めになるかも…とりあえずみんなに聞いてみて、沢山の参加者がいて、会費が大丈夫ならまた相談して。儀式をするカップルは友達なんだけど、来れるかどうか聞いてみるから。」 と。
そして彼女の体験談を話しながら、この儀式は自分の運命を変えたとても素晴らしいものだと言った。
「初めてこの儀式を受けた後(現在29歳の彼女は20代始めに初めての儀式を体験した。)、フェリッピ(今のパートナー)と出会ったの。それから私の人生は大きく変わったわ。」
-
それから私はまず、
話に乗ってくれそうなアリアニに相談した。
すると彼女は興奮して、すぐに近くにいたマルセラに聞いてみた。「ゆかがアヤワスカの儀式を受けたいんだって。人が集まれば出来るらしいんだけど、あなたやらない?」
私たち二人は、自分たち以外のメンバーもきっと参加したいだろうと思っていた。
でも彼女は「私そういうのには興味ないの。私には必要ないかな。だから遠慮しとくわ。」と言って、
私たちのテンションを一瞬で下げることに成功したのだった。
それからしばらく、私もアリアニも「アヤワスカ」の儀式のことを誰にも話さなかった。
-
ただでさえ人数が少ないのに、
いきなり一人減ってしまった・・・。
他の人に言い出す勇気をくじけかけながらも、しばらくして落ち着いたら、駄目元で聞いてみよう!という気になり、他のメンバー一人ひとりに話してみた。
すると、
前回の「アヤワスカ」経験が微妙だったから・・・「受けたい気もするけどちょっと考えさせて。」と言ったヒッカ以外、
みんなこの話にとても喜び、
私以上に興奮しやる気満々で驚いた。
残すは一人。
テント組の私たちとは違い、
母屋の1室を借りていた最年長マルシァ。
この滞在中、自分のペースを保つために部屋に篭ったり一人の時間を大切にしていた彼女は、当番の仕事でも神経質な性質が垣間見えた。
最後の一人に話しに行こう・・・と重い腰を上げかけたとき、それはテンション高く、私のところへやって来たミゲルが、「僕が聞いてくるよ~」と言ってマルシアの部屋の方へと消えた。
彼女の答えはNOだったのだけど、そのまま彼は更に奥の部屋にいるジェシカに話に行くと言ってまたあっという間に消えた。
-
それは火曜日の夜だった。毎晩恒例の焚き火を囲んでのミーティングの時間。子供たちがテントに消えたのを確認してから、ジェシカが口を開いた。
「ここにいるメンバーが「アヤワスカ」の儀式を希望していると聞いたのだけど。今日儀式を執り行う友人カップルは確か、昨日からサンパウロの海岸地方にいる。友人の赤ちゃんが生まれたそうで、その家族のところで儀式を行ってるらしいんだけど、多分数日間は海岸地帯に滞在するんじゃないかなと思う。儀式で使う薬草も十分な量あるかどうか分からないし、海岸からここまでは車で約5時間。みんなの滞在中に来れるかどうかは微妙だし、もし薬草が足りなかったら、ここから更に離れたところへ取りに行かなければならないかもしれない。でも可能性がないわけではないので、もしここにいるみんなが強く希望するなら、明日の朝にでも正式に「アヤワスカの儀式」が出来るかどうか連絡を取ってみるわね。」
その時点で、不参加が2名、考え中が1名だった。参加希望は、私を含めた未経験者3名と経験者2名。
オーナー夫妻と教師役のコエーリョ、住み込み手伝いのパウロと、仕事も兼ねてリオから来ていたパウロには聞かなかったけど、
聞くまでもなく、儀式をやるなら「もちろん参加するに決まってる」という雰囲気だった。
-
それから翌日、
水曜日は何事もなく過ぎた。
「連絡取れたの?話はどうなったの?」と聞きたい衝動を抑えていたけど、夜の焚き火ミーティングでも、一言もそれには触れないままだった。
そして木曜日も、当たり前になった当番の仕事も、すっかり慣れた午前の作業も、みんないつも通りこなした。
その日の作業を終え、シャワーを浴びて夕食の準備をしていた。今日もまた、何事もなく終わるんじゃないかと思ったその時、
ジェシカがキッチンに来て言った。
「例の話だけど、子供たちの前で話してもいいかな?一応確認だけ。」
いつかは分かること。もちろん大丈夫と返事すると、「私は夕食後に用事があるから、悪いんだけど夕食前にちょっとミーティングしてもいいかな。友人にメールを送っていたんだけど、今日やっと返事が来て連絡が取れたのよ。」と。
夕食の準備が整ったテーブル、着席したみんなが息を呑んで見守る中、ジェシカは口を開いた。
続く。