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治療選択肢が複数ある「肺がん」において、患者さんが“その人らしく”生きるために最適な治療を選ぶには

日本イーライリリー株式会社は、「肺がん患者さんが“その人らしく”生きるために~治療と人生をつなぐ、医療従事者との対話とは~」というテーマで、2024年11月13日(水)に肺がんセミナーを開催しました。

治療選択肢が複数ある肺がんにおいて、患者さんが“その人らしく”生きるために最適な治療を選ぶには、患者さんと医療従事者との適切な対話が欠かせません。

近畿大学病院 がんセンター 特任教授 中川和彦先生

近畿大学病院 がんセンター 特任教授 中川和彦先生はセミナーの中で、肺がん治療において、医師の認識と患者の希望との間に相違点があると指摘。近年、非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer、NSCLC)治療の進歩に伴い、複数の治療が選択できるようになりましたが、初回治療選択時の患者のニーズ及び医師の認識に関する報告はないといいます。

初回治療選択時、患者さんはどのようなことを考えているのでしょうか? また、初回治療選択時、医師はどのようなことを考え、患者にどのような説明をしているのでしょうか?

進行・再発NSCLCの初回治療選択時の説明の実態、並びに患者と医師の認識を調査することを目的とした、患者・医師を対象としたオンライン調査によると、「初回治療選択時の説明に関する文章に、どの程度同意しますか?」 といった質問には、以下の回答が寄せられました。

1.説明を受けることで、自身の病気の治療法について理解を深めたい

・患者(N=182) 95.6% 
・医師(N=217) 79.3%

2.将来の治療の可能性を知ることで、希望を持ったり、前向きに考えたりしたい

・患者(N=182) 94.5% 
・医師(N=217) 78.8%

3.知るべき情報をすべて知った上で治療選択し、あとで後悔しないで済むようにしたい

・患者(N=182) 94.5% 
・医師(N=217) 73.3%

4.がんや転移・再発について受け入れるのに精一杯で、いろんな情報を聞くのは精神的に負担だ

・患者(N=182) 23.6% 
・医師(N=217) 50.2%

5.説明をされても自分には理解できないと思う

・患者(N=182) 11.0%
・医師(N=217) 46.1%

仮に5つの治療選択肢があったら、いくつ説明してほしいですか(対象:患者)、いくつ説明しますか(対象:医師)といった質問には、以下の図ような回答が寄せられました。

説明する選択肢を一つに限定する場合の理由(対象:医師、N=133)としては、以下の図ような結果となりました。

このように、進行・再発NSCLCの初回治療選択時の認識に、患者・医師間で違いがあることが示されました。患者は、「医師にもっと説明してほしい。理解を深めたい。自分も関わりたいと考えている」一方で、医師は患者への様々な配慮ゆえに、情報量を調整している可能性が示唆されました。

中川和彦先生は、患者が後悔せず、より納得して治療に臨めるようにするには、共同意思決定(shared decision making、SDM)を推進していく必要があると述べています。SDMの重要性を理解し促進するためには、患者、医療者、双方の努力が必要であり、SDM推進のための環境・システムの構築も不可欠であると語りました。

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