珍事件on the road① 初海外旅行でストーカーおじさん
箱入り娘のYUKAです。
これまでの旅行で忘れることのできない珍事件のストーリーをお届け。
今回はアメリカ、カリフォルニア編。
いざ、ロサンゼルスへ
私の初めての海外旅行先は、親友2人と行ったアメリカはロサンゼルス。
親友「M(えむ)み」が運良くロサンゼルス行き航空券が当選し、一緒に行かないと誘われ、私ともう1人の親友「S(えす)の」は某旅行会社の初売りセールで航空券をゲット。
2月初めのロサンゼルスへ、いざ出発!
我々3人の共通の趣味は音楽、ライブに行くこと。そしてこの旅の目的も好きなバンドのライブを観に行くこと。
当時のSNSで知り合い、仲良くなったニューヨークのバンドが西海岸をツアーすると知り、ロサンゼルスから電車で2時間程に位置するベンチュラで彼らのライブを観ることに。
降り立ったベンチュラの駅は無人駅。駅の目の前にはカジノが1件あるのみ。
当時はスマホなんか持ってなかったから、宿泊先ホテルまでの道が分からず、そこのカジノに入りスタッフに道を尋ねると、親切にもタクシーを呼んでくれた。
スタッフの親切でフレンドリーな対応、そしてホテルに行ける安心感から私たちのテンションは上がり始めていた。
おじさんとの出会い
カジノの外でタクシーを待っていると、50代くらいの男性が私たちに話しかけてきた。
「どこから来たの?日本?!海を泳いできたの?」
そんなジョーク混じりで話す面白いおじさんと談笑。
タクシーが到着し、おじさんに別れを告げた時、
「どこのホテルに泊まってるの?」
そうおじさんに聞かれ、完全に心を許してしまっていた我々は、知り合って間もないよく知らないおじさんに、安易にも宿泊先を伝えてしまった。
これが恐怖の始まりだった…。
ついてくる?
ホテルに到着し、くつろいでいると部屋にある電話が鳴った。
「フロントに友達が来てますよ。」
ホテルスタッフからの電話だった。
友達?誰?初めての海外旅行でアメリカには友達なんているはずないのに…?
そんなことを思いながら、我々がフロントに行くと、そこに立っていたのは、さっきカジノ前で話しかけてきた、あのおじさんだった。
呆気にとられる我々。食事に一緒に行こうと迎えにきた、おじさん。
多少の不安はあったものの、親切な人なのかなということで、おじさんの車に乗って近くのレストランへ。
一緒に食事をした後、ライブを観に行くのでもう帰らなくてはいけないことをおじさんに伝えると、
「君たちが好きなバンドなら俺も観に行くよ。」
本格的に不安感が募ってきた私たち。このおじさん、どこまでついてくるんだ…?
結局、おじさんの車でライブ会場に向かい、一緒にライブを観ることに。
会場でニューヨークの友達バンドに会い、おじさんと共にいる経緯を説明すると、メンバー全員、口を揃えて、彼は危険人物なのではないかと。
落ち着いて考えると、マジでメンバー正論。
知らない土地で知らない人に宿泊先を教えて、車に乗せてもらって食事に行くなんて、普段なら絶対しない。知らない人にはついていかない!基本!
初海外でテンションも上がってたせいか、なんの不信感も持たずにそんな痛恨のミスを犯してしまった私たち…。猛反省。
ついてくる…!
ライブ後、我々を心配したバンドがツアーバスでホテルまで送ってくれることになった。
そのことをおじさんに伝えると、会場から姿を消したおじさん。ホッとする私たち。
バンドのバスへの機材搬入が終わり、みんなと一緒にバスに乗り、ホテルへ向かう。
ホテルの駐車場に入った瞬間、大声を上げるメンバー。
「あのおっさん、いる!!」
恐る恐るバスの窓から外を見ると、ホテルの入り口の横に体育座りをする、あのおじさんの姿があった。
もうこれは完全にヤバい。危険人物確定。恐怖でパニくる私たち3人。今更反省しても時すでに遅し。
流石にバンドもヤバいと思ったのか、今晩はこのホテルに泊まらず、バンドが宿泊するハリウッドにある友達の家に一緒に行こうと提案してくれた。
我々はそのありがたい提案を受け入れ、急いでホテルをチェックアウトすることに。
ホテルの裏口から部屋に向かう。犯人に追われる映画の主人公のごとく、恐怖で鍵を持つ手が震え、なかなかドアが開けられない。
ドアが開き、急いで荷物をまとめる私たち。すぐにフロントに向かい、バンドがホテルスタッフに事情を説明してくれてチェックアウト。
裏口からバスに向かい、急いで出発。恐怖感と安堵感から無言のままバスの中でうずくまる私たち。
どのくらいバスが走ったかわからないが、しばらくして運転しているメンバーが雄叫びを上げた。
「よっしゃ!やっとあのおっさん振り切ったー!」
え!?あのおじさん、車でずっと追いかけてきてたの?本気の危険人物だったよ、あの人…。
こうして我々は無事にストーカーおじさんから逃げ切り、バンド共にハリウッドに到着した。
後日談:おじさんの正体とは…
帰国後しばらくして、親友Sのに会った。
ストーカーおじさんと食事に行った時、親友Sのはおじさんから名刺をもらっていたと言う。
「ここ、見て…。」
親友Sのが名刺のある部分を指さした。
おじさんの名前が書かれている上部に店名らしきものが記載されている。それを見て、私は凍りついた。
「Knives and Swords」
ナイフと刀?!それらを扱う店の経営者??サイコパス?もしかしてあのままずっとおじさんと一緒にいたら、どこかに連れて行かれて監禁されて、ナイフで切り刻まれていたかも…?!
と、想像力豊かなスラッシャー映画好きの私は考えずにはいられなかった。
初海外旅行でまさかの恐怖体験をし、一生忘れられない思い出となった。それと同時に、海外旅行に行く時の心得を学んだ旅となった。
知らない人には、どんなに親切でもついて行かない!(当たり前…)
旅行中は、いつでもどこでも目的地に着くまで気の緩みは厳禁!
話しかけてくる人は、9割は危険人物だと思って対応!
困ったら、店や人通りの多い場所へ移動して助けを求める!