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修理してほしかった私と分解したいだけの君

こんにちは、まえゆかです。
毎日5分、継続中。

セロリな日々。

突然壊れた体重計

ある日突然、体重計に乗っても体重が2㎏としか表示されなくなった。

さすがに痩せすぎだ。
いや、ありえない。

壊れたのだ。

夫は、マンション内にあるジムに体重計があるから新しいものはなくても大丈夫だという。
私も、毎日計るわけではないから、夫に誘われた時に一緒にジムに行けばいっかと思ったら、全然ジムに行かなかった。
やっぱり、体重計が家に欲しい。

Amazon Saleのタイミングでオイシックス新潟アルビレックスの選手が使っている体重計と同じものを購入した。

たしか、3カ月ほど前の話。

役目を終えた体重計は、ひっそりとリビングの隅に置かれた。

始まりは、マウス。

夫がまだ彼氏だった時、自宅で仕事をしていたらマウスが動かくなった。
スクロールする部分が全く反応しない。

買い替えなきゃ。。。

困っている私を見た夫は嬉々としながら言った。

「来週、分解してあげるよ!」

この時、私は大きな勘違いをした。

翌週、約束通り工具を持って現れた彼。
嬉々としたテンションは変わらず、マウスの隙間に細い工具を差し込み、中の基盤を取り出す。

「なるほど、スクロールする部分の構造ってこうなってるのか…
 ゆかちゃん、みてみて! 基盤が綺麗だよ~」

マウスの中の構造を見るのは初めてだったので、私自身も興味津々
でも、夫は一向に眺めるだけだ。

「・・・で、どこを直した元通りになるの??」

しびれを切らして尋ねた。

「え? 直せないよ~」

直せないほどに致命傷だったのか?! と思うとそうじゃないらしい。

「直すなんて言ってないよ。分解してあげるよって言ったの。」

分解だけ?
何のために・・・分解???

頭にたくさんのハテナが浮かぶ。

「だって、中身がどうなってるのか気になるでしょ~基盤が綺麗だったでしょ?」

そうですか・・・
と、一瞬リアクションに困ってしまった。

まぁ、嬉々として話してるし、マウスは新しいの買えばいいだけだし。
別にいいのだけれど、てっきり修理してくれるんだと思ってた。

夫はただ、機械の構造が見たいだけ。

当時、大手カメラメーカーでハード系の開発職をしていた夫の、ある意味職業病なのかもしれない。

改めて夫は私と”違う人間”なのだと実感した。

壊れた体重計は

その後も、何かハードな物が壊れると、一度夫の分解作業を挟む。
とはいえ、趣味として楽しんでいるというわけでもないようで、次の週末にすぐ分解するというわけでもない。

夫の有休消化期間中に壊れた体重計はすぐに分解されるかと思いきや、そのままリビングに放置された。

掃除をするたびに邪魔なので、徐々に部屋の隅に移動し、ある日私はゴミ箱横に移動した。

「分解しないなら、捨ててもいい?」

いつまでもゴミを置いておきたくはない。
この三連休にようやく重い腰が上がった。

面倒なら捨てればいいのに。
結局、分解はしたいらしい。

工具を取り出してきて、ねじを一本ずつ外しながら中をチェック。

「う~~ん。どうやって体脂肪と体重を割り出してるんだ…ここのセンサーかなぁ。。」

ぶつぶつと独り言を言いながら、満足してバラバラになった体重計は晴れてゴミ捨て場に。

満足げな夫の顔。

やれやれという顔で夫を見つめると、

「これはね、趣味じゃないんだよ。仕事熱心だって言ってもらえる?」

私の言わんとしていることは理解しているらしい。

あらゆる本を読んでみたいとワクワクする私と、あらゆる機械の構造を知りたくてワクワクする夫。

「基盤がキレイ」という感覚はまだよくわからない。
でも、楽しそうな夫を見るのは好きだ。

ワクワクするものがこんなに違うのならば、すれ違いも否めない。
ぶつからないすれ違いなら、あってもいいかもしれないなと思う。


次は何かが壊れた時もまた、夫の嬉々とした姿を見るのが楽しみだ。


おしまい。



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まえゆか/前田有香
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