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『こんな夜更けにバナナかよ』の鹿野さんの"ワガママ"が受け入れられる理由を考えてみた。
12月28日の公開初日に『こんな夜更けにバナナかよ』を観てきました。
今年2本目の映画。
そう。
私はあんまり映画を観ないんです。
嫌いとかじゃなくって、単純に仕事が忙しいのと余暇は本を読む時間にしたいだけのこと。
でも、この映画だけは観たかった。
(しかも、崇拝するゲッターズ飯田さんの五星三心占いにも、28日は映画を観ると良いって書いてあったから!笑 ゲッターズ飯田さんを崇拝するようになった理由はま今度書こう)
まだうまく言語化できない部分もあるのですが、上映中に、何度も色々思い出して泣きました。
感動大作なわけじゃないんですよ。
でも、思うところたくさんあって、たくさん泣きました。
まだ、映画を観ていない人も多いと思うけれど、せっかくだから記憶の新しいうちに心に浮かんだことを文字にしてみようと思います。
ぜひあらすじを把握してから、続きを読んでいただけると嬉しいです。(ちょっとネタバレっぽくでごめんなさい)
あらすじは こちらから。
鹿野さんは筋ジストロフィー。
徐々に筋力が衰えて行く神経の難病で、現代の医学では治す方法が見つかっていません。
筋ジストロフィーの患者さんは病の進行状況によっては24時間の介助が必要なため、多くの方が入院生活や施設での生活を送ります。
自宅で生活をする場合、多くの家庭で家族が介護につきっきりになります。
しかし、鹿野さんは【自立生活】といって障がい者だから施設に入って生活するのではなく、自分の生きたい生活を送ることを選択し実行した方で、実話を元に作品が作られています。
24時間介助が必要ということは多くのサポートがいるということ。
「自立生活なんて絶対無理」と言われていたにもかかわらず成し遂げちゃった人なんです。
その生活がどんなものなのか、というのは映画を観ていただけたらなと思いますが、
タイトルにもなっている
「こんな夜更けにバナナかよ」
この叫び。
深夜2時にバナナを買いに走らせる鹿野さん。
きっと多くの方が同じように思うでしょう。
ただのワガママじゃん。
障がい者だからって、なんでもワガママ言って良いのか?!
って。
そう思うのも当然だと思います。
じゃあなんで、鹿野さんは受け入れられたのか。
なんで多くのボランティアに支えられたのか。
それは2つのポイントがあったんじゃないかなと思っています。
①関係が対等だったから
②"ワガママ”だったから
1つずつまとめたいと思います。
まず1つめの、
「関係が対等だったから」
ボランティア活動をすると多くの人が勘違いをしてしまう関係性。
【ボランティアをする側】 と 【される側】
確かに、鹿野さんはボランティアに生活のあらゆる面をサポートされています。
ボランティアがいなければ、そもそも生きていくことすらできない。
でも、たびたび鹿野さんが口にするのは
「関係は対等だから」
みんなボランティアをやりたくてやっているんだと言います。
なんだそれ、って思うでしょう。笑
そんなわけないだろうって。
やっぱり障がい者ってワガママなのか?ちょっとおかしいのか?って思っちゃうかもしれません。
でも、事実、鹿野ボランティアの皆さんと鹿野さんの関係は対等であり、友人だったと思います。
この関係性が実はすごく大事なんだと思うんです。
鹿野さんとボランティアの関係性が対等ではない場合、鹿野さんのためにバナナを買いにいくことは【やらされていること】になります。
昼間のお買い物ついでにバナナを買うならまだしも、深夜2時はおかしいでしょ、って普通はなりますよね。
でも、ボランティアがやりたくてやっているのであれば、それは【自発的にやったこと】になりますよね。
映画のなかではやらされたことになっていますが、この時の感情ってすごく大事だなと思うんです。
普通だったら、やらされてるって思いますよね。
恋をしているわけでもなく、自分の時間を使って鹿野さんのためにバナナを買いたいって何?って思いますよね。
人によっては、鹿野さんは教祖なんじゃないかって思うかも。笑
でもね、よーく考えてみてください。
深夜2時。
私たちが、バナナ食べたいって思ったら、食べますよね。
別にお菓子でもお茶でも何でもいいんですけど。
人間の生理的な欲求です。
それすらも言葉で伝えて誰かにサポートしてもらわないとできない病気だから、可哀想だよね、と言いたいわけじゃない。
バナナが食べたいはあくまでも鹿野さんの欲求であって、ボランティアはそのバナナを食べたい鹿野さんと一緒にいたいからボランティアをするのであって、「してあげる」って思う人にはできないことなんです。
つまり、鹿野さんのワガママはなんで受け入れられたのかというと、周りに鹿野さんと一緒にいたい人がたくさんいたからなんだと思うんです。
じゃあなんで、自力でほとんど動くことのできない鹿野さんとわざわざ一緒にいたいと思う人がたくさんいたのか。
それが2つめのポイント。
「"ワガママ”だったから」
バナナも含めて、鹿野さんは自分のやりたいことに素直なんです。
デートがしたい、カラオケに行きたい、家で過ごしたい。
すべてのやりたいことにサポートが必要だから、健常者からみれば要求が多いように見えてワガママにも見えるかもしれないけれど、単純に鹿野さんは自分のやりたいことに貪欲で素直で、介助してくれる人を探してるんじゃなくて、一緒にカラオケに行ってくれる人を探しているんです。
だからこそ、最初の【関係性は対等だから】になるんです。
でも実は私たち健常者って、
「◎◎したい」って欲求を素直に表現することが、実は苦手じゃないですか?
小さい頃から、
「人に迷惑をかけてはいけません」
と言われて育ったからこそ、些細なことほどお願いができない。
これがしたい、あれがやりたい。でも自分じゃできないって時。
これがわからない、あれができない。
誰か教えてくれないかな、助けてくれないかな。
大きな困り事なら、ビジネスになっているでしょう。
お金さえ払えば解決してくれる。
でも、本当は頼りたいちょっとしたことを素直に【助けて】というのが苦手なのが健常者なんじゃないかって私は思います。
かくいう私も、人に甘えるのがすごく苦手で。
困ってます
辛いです
助けてください
この3つの言葉を発したいのに声にならなくて、
気付いてよ!!
と周囲のせいにしてしまう。
でも、実際はそのほとんどがエスパーでない限りわからないほど小さなアクションなのに、誰にもわかってもらえない...と勝手に落ち込む始末。
THE 面倒くさいやつ。笑
でもね、きっとみんなそうだと思うんです。(違ったらどうしよう!)
こんなこと言ったら迷惑だよ。
私が我慢すればいいだけだし。
そうそう、やりたいって思ったのも気のせい気のせい。
このままで良いよね。
そんな風に無意識に自分の欲求も見なかったフリをしてしまっているんじゃないでしょうか。(そうですよね?)
だからね、最初は鹿野さんに反発したくなると思うんです。
「ワガママじゃん!!!怒」
って。
でも、その言葉の裏側には
「ワガママじゃん!!!怒」
(私は我慢してるのに!!!)
そんな叫びが隠れていると思うんです。
鹿野さんはそれをわかっていると思うんです。
ボランティアという呼び方だけど、みんな友達だと思っているから。
自分と同じように、あなたにも自由に生きて欲しい。
だからこそ、自らの行動で示していたんだと思います。
鹿野さんは、ボランティアがいなければ生きることすらままなりませんが、
楽しく生きたいという思いに素直でありつづけるためには、
誰よりも人の助けを借りることが必要でした。
でも、障害のあるなしに関わらず、自分の生きたいように生きるには、絶対に誰かのサポートが必要であって、すべてを一人で達成できる人はこの世にいなくって。
だからこそ、鹿野さんは周囲の人に積極的に助けを求めていたんだと思います。
常に、助けてくれる人だと周囲の人を信頼していたとも思います。
だからこそ、鹿野さんの周りにはたくさんのボランティアがいたんだと思うんです。
鹿野さんといると、自分も素直になれて、自分も安心して人を頼ることができるから。
ただね、1つだけ。
鹿野さんが素直じゃなかったところもあると思います。
本当に一緒にいたかった人。
その人の人生を守りたい、その人を愛しているからこそ選んだ自立生活。
一緒にいたい人を守るために一緒にいないことを選んだ生き方は、今の社会だと仕方のないことなのかもしれません。
本当は全然仕方なくないと思うのですが。
仕方ないと諦めなくてもいい社会を作るためにも、私が今やっているパラスポーツ関連の事業も大事だし、それだけでもダメなんだと思いました。
改めて、鹿野さんの【本当の願い】を叶えたいなと思ったら、涙なしでは観れない作品になったのでした。
この映画は、障がい者の人生を感動的に描いたお涙ちょうだい話ではなくって、
人間にとって生きるって、支え合うってどうゆうことなのかを鹿野さんのストーリーを通じて私たちに教えてくれた作品なんだと思うんです。
きっと、周りにいる人は助けてくれる。
もっと、信じてみてもいいんじゃないかな。
そんなことを鹿野さんに言われたような気がします。
私たちも、もうちょっとワガママになっていいんじゃないかな。
これが初note。
年末にスタートするのはちょっとタイミングが悪いような気もするけど。笑
こうゆうのは思い立ったが吉日ですよね。
2019年はもう少し素直に、もう少し甘えて生きてみようと思ったまえゆかでした。
作品観た方ぜひ感想シェアしたいです(^^)
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