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楽園ではなくともかけがえのない場所〜「おかえりモネ」から感じる故郷〜

タイトルをすごく迷ったnoteを書く。※一部「おかえりモネ」のネタバレを含みますのでご了承ください。

NHK朝ドラ「おかえりモネ」をご覧だろうか?私はなんと70話あたりからハマってしまい、今や熱心に観ている。過去回は時々サンドイッチマンのまとめ回(土曜放送回)の再放送で追いかけている。ありがとう、サンドイッチマン。土曜が再放送及びまとめになったのは最近と聞いて驚いている。朝ドラ事情、奥深し。

「おかえりモネ」の主人公・百音(ももね)は、宮城県・気仙沼出身。東京で気象予報士として働いていて、テレビにも出演している。さすが主人公。しかし、このnoteを書いている9月29日現在、「おかえりモネ」は放送20周目に突入し、百音は東京を離れ、気仙沼に戻っている。

実家に到着した百音に、百音の母親は光のように明るい笑顔でこう言う。「おかえり、モネ(百音)」と。あーっ!タイトルの「おかえりモネ」ここで回収されたジャン????????リアタイしててよかったー!!!!!!!(パフパフ) 伏線回収って快感ですよね、つい取り乱しました。

百音は愛されていて、百音が東京から気仙沼に戻ってきたことを、家族は心から喜んでいる。そのことがこの「おかえり」で視聴者に伝わる。

そしてシーンは変わる。詳細は省くが、仕事で訪れた場所で自治体職員の男性(おじさん)は、百音にこう言う。「なんで帰ってきたの?」と。百音はちょっと驚いたような、少し痛いところを突かれたようにも見える表情をする。でもすぐに気を取り直し、これから取り組もうとしている仕事について、その人に説明するのだ。戻ってきた理由を、訳を、思いを形にするために。

この一連のシーンは30秒程度で、「なんで帰ってきたの」と言われた時の百音の心情については深く描かれていない。だけど、私には刺さってしまったのだ。百音にかけられた言葉が。なんで、の背景が。

きっとその自治体職員であるおじさんはきっとこう思っていたんじゃないだろうか。

「(せっかく東京にいたのに)なんで帰ってきたの」

「(一体どんな理由や事情があって)帰ってきたの」

「(故郷を離れておいて今更)なんで帰ってきたの」

全部想像なのだが、ちょっとだけ視聴者にもそう思わせようとしたのかな?というトーンの聞き方ではあった、と私は思う。

ああ、故郷って、ウェルカムじゃないんだよなあ。離れた人間には冷たいよなあ。みんなが無条件で手を広げて待っていてくれるわけじゃない。ちょっとチクっとする。なんでだろう、故郷というものに対して私は幻想を抱きすぎなのだろうか。

おじさんは、そんなこと言っていないのに。()の部分は私の被害妄想なのに。

ただ、そのチクっとした痛みすら、尊いものだと私は思う。そんな痛みは、仲の良かった同級生と感動の再会をすれば忘れられる。母親の「おかえり」を思い出すだけで、傷を包み込んでもらえているような気持ちになる。救いの手の方が、余程たくさんあるのだ。そんな何ものにも変えがたい幸せに気づかせてくれるのも、痛みの役目だ。

百音の気持ちなどわかりはしないのに、これは想像なのに。心が動かされるドラマとは、尊いものである。

ここまで書いておいて申し訳ないのだが、実は私には故郷らしい故郷がない。父の転勤の関係で出生地と生まれ育った町、また長く暮らした街がバラバラなこともあり、胸を張って言える「故郷」が私にはない。だから私は反応してしまうのだ、恋焦がれた「故郷」というユートピアに。

そんなふうに感傷的になってしまった、火曜の夜だ。

ここまで書いたところで、テレビに坂口健太郎さんの「午後の紅茶」のCMが映った。明日の「おかえりモネ」も楽しみだ。

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