
短章集 永瀬清子著
毎日一章ずつ、長い時間をかけて、4冊の短章集を読み終えました。
こちらは詩未満の短章の集、ということですが、だからこそ、より生身に近い筆者の声のようで、ひとつひとつが胸に刺さります。
今よりも女性がほんとうの考えや思いを発信することの難しく勇気が必要だった時代。
その時代の女性詩人の言葉には、いつも、叱咤されるのです。
自分の頭で考え、自分の心で感じ、自分の言葉で話せと。
日常、自分がそうできているかといえば、否、としか答えられません。
だから何か、書きたいと思うのかもしれません。
ん。
すべて教育のことばが同じく詩のことばでないのは、一段高い所から語られているからだ。
ことばはくだかれて常に寒中の輝く放水を受けていなければならない。
ことばはくだかれて微塵になって、常に光の中にうまれかわらなければならない。
↑『蝶のめいてい』自分のことばを より抜粋
↓『流れる髪』鉄槌をもつ人へ云うより抜粋
あなたは私の虚像を描き、それと戦っている人なのだ。が人間は自分の形以上のものを描ける筈はないから、あなたは柄杓ですくった海を自然の海と思っていることになる。
…
鉄槌が本当の鉄槌なら一たまりもなく私はついえるであろう。それが空気搥でしかないとすれば芦は風にそよぐ事をすこしもいとわないであろう。