演奏技術の習得で大事なこと
令和6年5月28日
本日は、フルートの演奏技術の習得や人間力を高める上で極めて重要な話をしたいと思います。
基本的に、先生からフルートや他の楽器の演奏技術を学ぶ際は、先生から受けた指摘を元に軌道修正すると思いますが、そのときに重要になってくるのは「素直さ」と「謙虚さ」だと思います。
それは、先生の話を受け入れて自分で試すことによって技術が磨かれるので、先生の話をまずは受け止めてやってみる。それをしばらくやり続けることで、自分なりのその技術についての見解が生まれてくると思うのです。
ただ、残念なことに、質の悪い先生もいらっしゃるのも事実で、そのような先生に当たってしまうと間違えた見解を植え付けられてしまうことが往々にしてあると思います。まして、一人の先生にしか習ったことがないと比較する対象がないため、先生の話を鵜呑みにしてしまうこともおありだと思うのです。ですので、可能であれば、他の先生のレッスンを受けるなり、他の先生の動画で話していることを聞いてみたり、他の先生の書籍を読むなど、「自分の中に判断の軸を増やす」ことをなさるとよろしいのではないかと思います。
演奏技術の習得は孤独な作業でもあり、自分で判断しなくてはならないことも多々ありますよね。楽器の演奏家だけでなく、他の分野の技術習得や人間力を向上させるためにも重要な能力があります。それは「自分の問題点に気づく能力」だと私は考えています。もちろん100%の自分の問題点に気づくというのは難しいですが、なるべく自分の問題に自分で気づいて修正をかける。これを繰り返すことによって、あらゆる物事の習得や鍛錬が向上していくと私は考えていますし、そのように私も実行しております。
人によると思いますが、中には「ちゃんと最初から教えて欲しい」などと仰る方がいらっしゃるのですが、教えたところで、言われた通りに実行せず、何もしないでそのままにしている方がいらっしゃいますね。そのような方は、先生から学ぶ精神的な姿勢や心構えができていないのです。先生から教えを頂くのであれば、それなりのメンタルになっていないといけないと思います。それは作法とも言えることでしょう。ただ、全ての先生の質が良いとは限らないので、自分なりの判断材料を増やす努力も大切なことですね。
能の大成者である「世阿弥(ぜあみ)」の言葉に「離見の見(りけんのけん)」という言葉があります。これは「自分が客席で見ているかのように、自分自身を第三者的に観察する」ということですが、この能力がないと自分の芸が磨かれないということを解いておられると私は解釈しています。「自分は演奏する上でどういうところが苦手で、この曲を演奏するにあたりどこに問題があるのか」このことを自分で探り当てること。それが練習する上で重要なことではないかと私は考えています。そして、そこであぶり出てきた自分の問題点を課題とし、丁寧に練習すること。その繰り返しで上達すると私は考えています。
自分の問題点を客観的に受け止めるためには、まず、自分自身の不要なプライドを削ぎ落とすことが重要です。そして、その上で、他のプロの演奏家(特に、トッププロ奏者と呼ばれる演奏家)の演奏を録音でも良いので聴くこと。良い演奏をたくさん聴くことで、自分の演奏から問題点をあぶり出すのに必要な判断材料が増えていくんですね。良い演奏を真似ることも一つの練習のアイデアではありますが、私は自分の問題点をあぶり出すための判断材料を増やすためにトッププロ奏者の演奏の録音を聴くようにしています。
今回は、演奏技術に重心を置いてお伝えしましたが、これは人間力向上にもつながる話なんですね。自分の人間性の中には、良いところもあればそうでないところもあるでしょう。でも、そのままで良いということはないと思うのです。良くない部分は、少しでも良い方向へ修正をかける努力が不可欠。これを積み重ねていくことで、自分自身の内面や人間性が磨かれて、運勢もかわっていくのです。ただし、自分のダメなところをみて「もうだめだ」と落ち込むのではなくて「これをどういう風に修正したら、より良い生き方ができるかな?」と考えて実行したら良いと思います。大きなことを変えなくていいです。小さなところをその都度気づいたら軌道修正するのを繰り返していく。すると、時間が経過したあるタイミングから関わる人の質もどんどん変わっていきますよ。
必要な方に届きますように。
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