薬剤師はライターを副業にできる?Webライターの仕事内容やできない例も知ろう
「薬剤師の収入、頭打ち…」
「休みの日を上手に活用して推し活のお金を貯めたい!」
薬剤師の資格を活かし、Webライターを副業で始めてみようかと考えているのではないでしょうか。
国家資格を持ち、現場の知識を豊富に持つ薬剤師。Webライターになれば十分にその経験や資格を活かすことができます。
ただし、規則上Webライターができない例や厳しい現実があることも事実です。
わたしは出産を機に現場を離れ、現在は子供が幼稚園と小学校に行っている時間と夜を利用してWebライターをしています。今回は幼稚園に入る前に副業の人と同じくらいの稼働時間でWebライターをしていた経験から、薬剤師の副業ライターについて説明します。
副業の薬剤師がWebライターとして書く記事6選
薬剤師がWebライターとして関われる記事は、さまざまです。ここでは薬剤師の専門性を生かせるジャンルを中心に、以下6つのジャンルを紹介します。
病院・クリニックのサイトに載る医療コラム
OTCの解説記事
サプリメントや健康に関する記事
病気の説明をする記事
化粧品に関する記事
その他:幅広いジャンルの記事
2024年6月現在、私は病院・クリニックのサイトに載る医療コラムを中心にお仕事を頂いています。医療以外のジャンルでも問題ないのですが、私は以下2つの理由から医療系に特化しています。
医療系だと「薬剤師」がアドバンテージになって仕事をとりやすい
医療外のジャンルよりも全体的な単価が高い
どのような記事があるか、実際の記事例も載せるので参考にしてください。
病院・クリニックのサイトに載る医療コラム
病院やクリニックのウェブサイトでは、患者さんや一般の方々向けに健康や医療に関する情報を提供するコラムを掲載することが多くあります。薬剤師の医療知識を直接活かしやすいため、私は現在医療コラムを中心にお仕事を頂いています。
2024年5月に執筆した記事の例を下に紹介します。
https://sanyokai-clinic.com/kokoro/7379/
このコラムは「レキソタン 安全性」とGoogle検索した人の悩みを解決するような記事になっています。
薬剤師さんならすぐ見て分かると思いますが、添付文書やインタビューフォーム、重篤な副作用ガイドラインなどを参照して書くことが求められます。
他の診療科やクリニックさんでも執筆しているのですが、ライターとしての名前を出しての執筆ではない(実績として出す許可が出ていない)ためお見せできないんです。
たとえば、最近は以下のような記事を執筆しています。
赤ちゃんの頭蓋矯正ヘルメットに関する解説記事
医療脱毛の種類や注意点に関する解説記事
AGAの薬に関する注意点
新型コロナウイルスの最新流行株に関する記事
マイコプラズマ肺炎にかかった際の生活上の注意点
保険診療だけでなく、自由診療に関する記事を取り扱う機会が多いのもちょっとした特徴かもしれません。
薬を使わない美容医療は全然知らなかったので、依頼を受けてから一生懸命調べました。笑
ちなみに「コラム」という名称ですが、好き勝手に書くことはできません。
論文やガイドラインを使って、分かりやすく正確な情報を伝えるように注意しています。
OTCの解説記事
OTC医薬品の解説記事も、薬剤師の副業ライターさんが取り組みやすい記事といえます。
私は執筆経験がないものの、知り合いの薬剤師ライターさんは以下のような記事を手掛けていました。
OTC医薬品の選び方
OTC医薬品と医療用医薬品の違い
OTC医薬品の副作用と注意点
OTC医薬品で様子を見ていい期間
近年はスイッチOTCが増えたこともあり、OTCの比較解説記事やOTCと医療用医薬品の違いを解説する記事なども需要があります。
とくにドラッグストアや調剤でOTCに触れる機会の多い薬剤師さんは、狙ってみてはいかがでしょうか。
サプリメントや健康に関する記事
健康意識の高まりとともに、サプリメントや健康食品に関する情報へのニーズも増加しています。薬剤師の知識を活かして、以下のような内容の記事を書くことができます:
ビタミンやミネラルの効果や摂取方法
特定の健康目的(美容・ダイエット・筋力増強)に適したサプリメント紹介
サプリメントと薬の相互作用について
健康食品の効果的な選び方と利用法
健康を維持するための生活習慣について
サプリメントや健康に関する記事は、サプリメントメーカーさんやサプリメントを販売するアフィリエイトサイト(『〇〇におすすめのサプリメントおすすめ20選』のような記事)での需要があります。
簡単そうに見えますが、薬機法という法律の縛りもあるため意外と書くのは大変です。
似たような効果でも「第3類医薬品」と「医薬部外品」では書いていいことが違うため、気を使います。サプリメント系の記事は書いてはいけないことを書くと、罰せられる可能性もあるため慎重に執筆しています。
病気の説明をする記事
薬剤師の医学的知識を活かし、様々な疾患について分かりやすく解説する記事は需要が高いです。
私の場合は『この症状が出たら〇〇かも?』というような、病気の説明や受診を勧めるサイトで執筆したことがあります。
病気全体の説明をする記事は、薬剤師以外に看護師・医師などのライターが関わることも珍しくありません。疾患全体の知識を深められるため、現場に戻った時に役立つなぁと思いながら執筆しています。
化粧品に関する記事
化粧品の記事は、以下の3つに大きく分けられます。化学的な記事よりも、どちらかというと比較記事や魅力を伝える記事の方が案件は多めです。
化粧品の成分に関する化学的な記事
化粧品の比較記事(おすすめランキングなど)
化粧品の魅力を伝える記事(セールスライター)
化粧品は書いていて楽しいのですが、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の知識も非常に重要です。
「効果があります」と書いてはいけない(「効果がある」と書いていいのは医薬品だから)ため、表現の仕方に非常に気を使います。ただし、やはり女性である以上美容系の案件は楽しいので、ちょっと勉強を強化したいジャンルではあります。
その他:幅広いジャンルの記事
特に副業だと「仕事以外でも薬のこと考えたくない」と思う人もいることでしょう。医療に関係ないジャンルの記事を書く薬剤師ライターさんも珍しくありません。
医療以外で薬剤師ライターの需要が多いのはズバリ「転職」!私も数多くの記事を執筆してきました。内容の例をいくつか紹介しますね。
志望動機の書き方
転職回数が多い時、面接をどう乗り切るか
ホワイトな調剤薬局の選び方
ドラッグストアを辞めたい時はどうするのがおすすめか
〇〇(具体的な企業名)ってどう?という口コミまとめ記事
転職する際に、見たことがある方もいるのではないでしょうか?私は、転職サイトを比較するサイトさんや、小規模な転職サイトさんのコラムを執筆していました。
ただ、中には大手サイトのマ〇ナビ・リ〇ナビさんなどで執筆をされる方もいます。転職経験の豊富な方は、実体験を生かした記事を書きやすいかもしれませんね。
それ以外にも、こんなジャンルで書いてたよという紹介です。
幼児教育(こどもちゃれんじ・スマイルゼミなどの比較記事)
地域のお店を紹介する記事
子供用品のおすすめ記事
観葉植物の育て方
医療に特化する前は色々書いていたので、知識が増えました。趣味を生かしたい人は、こんなジャンルもありますよ。
キャンプ好きな人:アウトドア用品やキャンプ場の紹介
アイドル好きな人:韓流やKPOPなどの記事
マンガ好きな人:マンガやアニメの考察記事
知識の幅が広がるので、雑談に役立つかもしれません。笑
参考までに、執筆した記事で公開できるものをいくつかおいておきます。
副業でライターをする場合は「業務委託契約」扱いになる
薬剤師が副業としてWebライターの仕事を行う場合、通常は「業務委託契約」という契約を結びます。これは、正社員や派遣社員とは異なる働き方のため、覚えておきたいポイントを下に紹介します。
契約形態の特徴:
特定の業務(記事の執筆など)の完成を約束する契約で、基本的には「〇時間働いてください」という契約ではない
雇用関係ではないため、労働基準法は適用されない
報酬の支払い方法:
請け負った仕事が完了しないと、報酬はもらえない
給与ではなく「報酬」という名前になる
税金と社会保険:
業務委託契約で得た収入は「確定申告」が必要
得た利益に対して「所得税」がかかる
社会保険(健康保険・厚生年金)は、本業の薬剤師としての加入状況による
仕事の進め方:
納期までに納品すればいつ仕事をしてもOKです
正社員やパートとの一番の違いは「記事を納品しないとお金がもらえない」ことです。
時給や月給制の場合、最悪その場にいれば給料が発生しますが、業務委託の場合は納品物ができないとお金になりません。また、会社の給料とは別にお金が入るため、確定申告も必要になります。
あまり気にならない部分かもしれませんが、働き方が違うことは頭に入れておいてください。
薬剤師がライターの副業をできない例
薬剤師がWebライターとして副業を行う際、職場によっては副業が制限されたり、禁止されたりする場合があります。
薬剤師がライターの副業をできない、あるいは難しい例について詳しく説明します。
管理薬剤師
管理薬剤師は、薬機法(旧薬事法)において基本的に副業が禁じられています。
以下のケースにでは都道府県知事の許可により例外的に認められることもありますが、ライターは記載されていないのが現実です。
学校薬剤師
夜間休日の輪番制救急センターなど
へき地医療
管理薬剤師をしている場合は、規定を確認することをおすすめします。
公務員薬剤師
公務員として働く薬剤師も、国家公務員法もしくは地方公務員法により、原則的に副業が禁止されています。公務員の職務に専念する義務や、公務の公平性を確保するためです。
どちらの法律も「営利を目的とする私企業の営み」はNGとされているため、法律上ではNGと考えるべきでしょう。
以前公立病院の薬剤師さんっぽいライターさんを見かけたこともありますが、詳細は不明です。
公務員として働いている方も、必ず規定を確認してください。
職場で副業が禁止されている薬剤師
就業規則で副業を制限または禁止している場合があります。基本的には「服務」に関する規定の中に盛り込まれれているのですが、手元に就業規則が無い職場もあることでしょう。
平成30年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表したものの、中小企業が多い薬局・病院は改定されていない可能性も十分にあり得ます。
就業規則に反すると、減給や解雇などの処分を受ける可能性もあります。規則は必ず確認してくださいね。
番外編:忙しすぎる薬剤師
法的や規則上の制約はなくても、実際の業務状況によって副業が難しい場合があります。
帰りが遅くて副業するヒマがない
副業で夜更かししすぎて薬剤師業務に支障が出る
仕事で疲れすぎて、適当な記事を書いてしまう
休みを副業に充てすぎて、友達や恋人と微妙な関係になる
引きこもり生活になりがちなので、健康を害する
副業ライターさんは「とにかく忙しい!」の一言です。皆がYouTubeやスマホでマンガを読んでいる間に副業をするわけなので、息抜きをするヒマもありません。
また、副業に打ち込みすぎてプライベートがほとんどなくなってしまう人も…。
特に残業や日曜出勤、夜勤などがある職場の人は副業する余力があるかよく考えることをおすすめします。
副業の薬剤師ライターはどの程度稼げるか
正直、気になるのは稼ぎですよね。
正直言うと、時給に直すと薬剤師の方が高い人がほとんどです。ちょっと収入を増やしたいだけなら、即金性があり、金額が保証されている薬剤師のダブルワークの方が稼げると思います。
ただし「家で働ける」「個人事業主になれる」のは大きな魅力。大きな幅がありますが、薬剤師ライターの稼ぎを簡単に紹介します。
収入の計算方法
まずは、薬剤師ライターの収入を計算する方法から紹介します。おもに以下3つです。
文字単価方式:
計算式:文字単価 × 執筆文字数 × 記事数
例:3円/文字 × 2000文字/記事 × 10記事 = 60,000円
比較的簡単な記事に多い単価方式です。
完成した記事の文字数を数えて、記事の長さに応じて報酬が決定します。なお文字数は基本的にドキュメントソフトが数えるので、余白や目次などの文字数は自分で計算して抜きますが、一文字ずつ数える必要はありません。
医療系の記事だと1.0~5.0円/文字程度、それ以外だと0.5~2.5円/文字程度が多い印象です。
2.記事単価方式:
計算式:記事単価×記事数
例:5000円/記事 × 10記事 = 50,000円
大まかな記事のボリューム(3,000~15,000字などさまざま)が設定されており、「1記事いくら」という方法で発注されます。指定したボリュームより多く書いても、収入は増えません。
ただし、文字数を数えるのは地味に面倒なので、個人的には好きな発注方法です。クライアントも、予算を事前に決められるため双方にメリットがあり、非常に一般的な発注方法です。
3.時給方式:
計算式:時給×作業時間
例:時給1,200円×10時間=12,000円
パートのような時給式の発注も一応あります。ただし、時給式は日中の作業をする案件に多いため、あまり副業では一般的ではないかもしれません。
また最低時給を下回ることもあるため、副業の薬剤師ライターが時給制にする必要はあまりない気がします。
普通のライター:1万円未満~15万円程度
普通の人が副業で薬剤師Webライターをやるなら1~15万円程度が目安です。ただし、最初は時給100円レベルにしかならないケースが多いので注意してください。
初心者レベル(1万円未満~5万円程度):
経験が浅く、専門性をあまり活かせていない段階
一般的な健康記事や生活情報の執筆が中心
単価:1文字0.5円~2円程度
中級者レベル(5万円~10万円程度):
ある程度の実績を積み、専門性を活かせる段階
医療や薬に関する専門的な記事の執筆が可能
単価:1文字2円~5円程度
上級者レベル(10万円~15万円程度):
高い専門性と執筆スキルを持ち、信頼性の高い記事を提供できる段階
医学論文の要約や高度な医療情報の解説なども可能
単価:1文字5円以上、または記事単位で高額の報酬
案件によって大きな差があるため、あくまでも大まかな目安として考えてください。
頑張れば収入は青天井
時間的余裕のない副業だと15万程度で頭打ちになる方もいますが、頑張ればいくらでも稼げるのがWebライターを始めとする個人事業主のいい所です。
例をいくつか紹介します。
高単価案件を安定して獲得している
医療系専門サイトやメディカルライティング業務で高単価を狙う
英語の医学論文の和訳や要約など、高度なスキルを要する仕事に挑戦する
効率化とスキルアップ:
執筆スピードを上げ、同じ時間でより多くの記事を書く
継続的な学習で専門性を高め、より高度な内容の記事を書けるようになる
複数のクライアントの確保:
安定した収入を得るため、複数のクライアントと契約を結ぶ
得意分野を広げ、様々なジャンルの記事に対応できるようになる
オリジナルコンテンツの作成:
自身のブログやYouTubeチャンネルを運営し、広告収入や affiliate マーケティングで収益を得る
電子書籍の執筆・販売など、より大きな収入につながる可能性のある活動に挑戦
チーム化して自分がライターさんを雇う
日中に専業のライターさんに書いてもらう→夜に編集して納品するというパターン。
どの方法も、かなりの勉強量と軌道に乗せるまでの努力が必要です。ただし知っている副業ライターさんには「本業を大幅に超える月200万の収入」「本業を退職して専業ライターへ移行」というライターさんも知っています。
Webライターは、最初はなかなか稼げません。
まずは薬剤師をメインに無理のない範囲で始めて、様子を見るのがおすすめです。
まとめ
薬剤師が副業にライターをするのは、個人的には「アリ」だと思っています。
ただし、時間的・体力的な制約が多いことや人によっては副業ができないことに注意が必要です。薬剤師の医療ライターについて興味がある人は、XのDMいただければ相談にものります。
ちなみにコンサルとかスクールの回し者ではないので、ご安心ください。
ちなみに私は「南尾優香」というライターネームで、医療ライターをやっています。Xでは医療ライター初心者向けの発信や、ライターの日常をつぶやいているので気になる人は見に来てください。
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