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手術までの時間②

2018年11月10日。かなり乗り気ではない息子と、入院前の妻に振り回されまくりの夫と3人でフォトスタジオに行き写真撮影。家族写真をスタジオで撮るなんて、息子の七五三以来だから、実に7年ぶり。白いシャツとジーンズというお揃いの出で立ちで臨んだ撮影は、息子の笑顔の瞬間をキャッチするのが大変だったけど、約2時間、とても楽しい時間だった。カメラマンを初め、スタッフの皆さんが盛り上げてくれて、飽きずに最後まで笑いに溢れた撮影になった。変顔写真も良い想い出(笑)。両方の乳房を摘出する前の、記念すべき家族写真。その写真を病院に持ち込んで、手術を乗り切るのだ!

そうそう、今回伺ったフォトスタジオ「コノジ」は、乳がん経験者で経営者の川崎貴子さんが作られたスタジオ。彼女のことは、乳がん告知を受けた後にネットで色々調べてた時に知ったのだけど、男前でサバサバしていて、とても共感できた。乳がんになって、家族の思い出を形に残しておきたいという思いが強くなり、フォトスタジオを立ち上げたそう。ちなみに私も、病気がわかった時に同じことを思った。日々の生活や、子どもの成長を、できる限り自分の記憶に焼き付けておきたい、と。

この日の夜は、近所に住む友人女子2人とディナー。17:30から22:30まで喋り倒したのに、まだ喋り足りない勢い。2人のうち、1人には初めて乳がんのことを知らせる。「え、そうなんですか!」と驚いたものの、がんで亡くなった彼女のお母様の話を初め、生きること、死ぬことなど、病気をきっかけに話が広がった。

「乳がんは残念だけど、確実に由加さんの人生のステージが上がりますね!」と言われ、私も確かにそうなのかなと思うけど、どんなステージなのかはまだ不明・・・。残りの人生の時間をどうやって使っていこうか、まだ毎日模索中だしね。手術が無事に終わって、今後の治療方法が決まれば、もう少し落ち着いて考えられるようになるのかも知れない。ただ今思うのは、いつも支えてくれる家族と、できるだけ多くの時間を共有したいということ。今までも家族を大切にしてきたつもりだけど、病気をきっかけに家族のありがたみが身にしみる。いつも自己中心的でわがままな私に振り回されつつ、それを楽しむ余裕さえ見せる我が家の男子達には頭が下がる!

ちなみに、私の手術が終わって、少し温かくなったら温泉に行こう、友人達に誘われた。「ギザギザの胸だから、見るの嫌かもよ」と言ったら、「逆に見たいんですけど!」とのこと。「お見舞いも行きますから!今後、今回の体験を出版するときのために写真が必要になるから、一眼レフ持って行きます!」と。頼もしい友人達は、なんてありがたいのか。

2018年11月11日。11月21日の入院まであと10日。乳がん告知から今日まで、今までにないくらいゆったりグダグダ過ごしてきたけど(プライムビデオでテレビドラマや映画を見まくって、入院中に見るものがなくなるのでは、と不安になるほど)、明日から入院ギリギリまでは相当忙しい。なんなら海外出張もある。ちなみに本当は21日の午前中にラジオ生出演の予定があったのだけど、入院時間を午後にする交渉に失敗し(事前検査があるからどんなに遅くても12:00には来て欲しいと言われてしまった)、申し訳ないと思いつつ、ラジオ番組はキャンセルさせてもらった。ラジオ局から病院に直行しようと思ってたんだけどなー。

そう言えば、今日は息子の模試があった。中学受験に挑戦する彼は、週に5回塾に行っている。勉強は苦ではないらしい。でも、今日の模試の出来はかなりマズかったようで、ちょっと落ち込んでいた。でも模試なんて、中学受験なんて、本当に取るに足りないことなのだ。彼の努力は尊敬に値すると心から思うし、彼が希望する学校に入ってくれたら嬉しいけれども、でも受験や偏差値などという物差しは、彼の人生のほんの小さな通過点でしかない。親の贔屓目があるのは百も承知だけど、息子はたくましく、自分の頭で考えることができる人間に育っていると思う。枠にとらわれなさすぎて、小学校で度々トラブルを起こし、先生にお叱りを受けることもあるけど、このまま伸び伸びと育って欲しいと心から願う。切磋琢磨できる仲間や、尊敬できる先輩達に囲まれて、自分が好きなこと、やりたいこと、社会に貢献できることを模索して行って欲しい。彼がどんな大人になるのか見届けるためにも、病気を直して長生きしなければいけない。私にとっては、子どもはやはり大きな「生きる希望」だ。

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