見出し画像

早稲田大学の「村上春樹ライブラリー」でコレをやってる人がいたらそいつは間違いなくハルキストだ(3)

やりそうなこと⑦ 羊男と語り合おうとする

LINE_ALBUM_村上春樹ライブラリー_210929_62

ギャラリーラウンジでは、小説『羊をめぐる冒険』に登場する、村上春樹氏が描いた羊男の姿も。
イラストの前のテーブルに座れば、まるで羊男と語り合っているような気分を味わえる。あるいは、羊男と一緒にコーヒーを飲んでいるような。
羊男を見つけ、「羊男だ!」と言って駆け寄り、なでなでしたり一緒に写真を撮ったりしている人がいたらハルキストだ。

LINE_ALBUM_村上春樹ライブラリー_210929_61

“それから羊男は家の中のことはよく心得ているといわんばかりにスリッパをはいてすたすたと歩き、一人でソファーに腰をおろし、やれやれという顔をした”


やりそうなこと⑧ 著作年譜を見ながら自分の半生を振り返る

1階ギャラリーラウンジでは、デビューから2021年10月現在までの単行本、翻訳作品が年代順に掲出されている。日本のみならず、海外での受賞歴も書かれている。
ここで、「あぁ、初めて海辺のカフカを読んだのは高校生の頃だったな、美術の授業中に回し読みしたんだよな」「ノルウェイの森が映画化されて、ドキドキしながら観に行ったんだよな」「春樹氏のエルサレム賞の受賞スピーチを聞いて、勇気をもらって権力者に意見できたんだよな」などと、村上春樹と自分との思い出に浸ってる人がいたら、重度のハルキストだ。そっとしておこう。

やりそうなこと⑨ オーディオルームで「モーズ・アリソンを知っていますか?」と言う

LINE_ALBUM_村上春樹ライブラリー_210929_67


1階のオーディオルームには、村上春樹氏本人のレコードコレクションが並ぶ。現在寄贈されているレコードは360枚ほどで、今後増えていくそう…!なかには、村上氏本人が描いた「ピーターキャット」の猫のイラスト入りレコードも…!

画像4

村上氏の自室で鳴っているサウンドに近づくよう、村上氏のオーディオのアドバイザーである小野寺弘滋氏(オーディオ評論家。元ステレオサウンド編集長)が、同館のオーディオシステムの設定・セッティングを行っているという。

LINE_ALBUM_村上春樹ライブラリー_210929_66

ここで、レコードを管理しているスタッフにやたらと曲をリクエストをしたり、ジャズを語ったりしていたら、それはハルキストかただの音楽好きだ。

やりそうなこと⑩ 坪内逍遥の博物館にもちゃんと立ち寄る

LINE_ALBUM_村上春樹ライブラリー_210929_70

すっかりライブラリーを堪能して外に出ると、入る前とはまるで違う世界へ出てきたような気持ちになる。
ここで、隣接する坪内博士記念演劇博物館(通称エンパク)にも立ち寄るのがハルキスト。大学時代、村上氏が映画のシナリオを読むために通い詰めていたという場所だからだ。
記者会見でも村上氏は、「大学の授業にはほとんど出たことがないが、ここにはよく行っていた」と語っている。

ちなみにこの建物は、1928年、坪内逍遥が70歳になったときに建てられたが、村上春樹ライブラリーの設立が決定したのも村上氏が70歳になった年である2019年。
「本当はこういうの、僕が死んでから建ててほしかったんだけど」と会見で村上氏はもらしていたが、ファンとしてもまさか自分が生きているうちにこんな施設が建てられる日が来るなんて、夢のようだ。

ヨーロピアンな重厚感のある外観のエンパクと、トンネルをモチーフにしたライブラリーの外観の対比も興趣を覚える。新旧の聖地で村上春樹ワールドを存分に味わいたい。

ライブラリーにはこれだけでなく、海外への発信もできる音響設備を設置したスタジオがあったり、隈研吾氏の建築資料を展示した企画展が開催されていたり、見どころがもりだくさん。施設は現在事前予約制となっているので、同館Web サイトから予約をしてから足を運んでみよう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?