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就職決まったと思ったら詐欺だったようだ

カナダで就活詐欺?にあってしまいました。幸い金銭被害/SINナンバー等の流出はありませんが、けっこう入り組んでいて私はまんまと引っかかってしまったので、どなたかの参考になればと思い、恥を忍んで公開します…。長いですのでお暇な時にでもご笑覧ください。

面接しませんか、とのメール

ある火曜日、服飾系の会社のHR Recruiter/Talent acquisition managerを名乗るAから「あなたの In●●dレジュメを見ました。うちのリモートマーケティングスペシャリストの面接をうけてみませんか。このポジションは急ぎで雇いたいので、もし興味があれば今週か来週の前半くらいでオンライン面接できる候補日時をご返信ください」と職務内容や勤務形態(フルリモート)、給与幅を記載したメールが届く。

応募した覚えがない会社からで、マーケティング専攻ではない私になぜ送っ来たのか不思議なメールではあったが、In●●dのレジュメをサーチ可能にしているので、何かのスキルが先方のサーチに引っかかったのだろうと思い、まずは受けてみようと思った。念のため会社名を調べたところ、キャリアサイトもあり、LinkedInにもAのプロフィールがみつかり、HR担当者と書いてあったので、ひとまず存在する会社だと思い、面接を受けてみることにした。

HRのAに数時間後に面接可能日時を返信したところ、「水曜日のこの時間はもううまってしまったのでxx時に面接しましょう」とすぐ返信があり、zoomリンクが届く。

15分の面接

翌日の水曜日、午前中に面接が設定された。面接官はBという方で、human resources representativeを名乗っていた。相手のカメラがずっとオフだったので少し気になったが、オンにしてくださいとも言えず、私だけがオンにしたまま進行していった。面接官Bからは5つ程度、なぜこのポストに興味を持ったのかや、マーケティング知識やソーシャルメディアコンテンツ制作、将来の展望について一般的な質問を受けた。
最後に質問はありますか、と聞かれたので、「この会社で働いていて最も好きなところはどこですか」と聞いたところ「オンラインでも人々が助け合い、フレンドリーだ」という回答。
その後、採用となった場合の希望給与を聞かれた。メールで事前に提示されていた金額帯をよく確認せず、最も低い金額以下を伝えてしまったところ、「最低でもxxCADからお支払いします、その金額でよいですか?」と丁寧に確認された。承知すると、「改めてですが、この職はフルリモートです。採用が決まった場合は、自宅に仕事用のPC機器を設置し、社内イントラネットを活用してチームや上司と連携し、職務を行います。機器の設置や、そういった勤務体制には問題ないですか?また、はじめにはご自身でIT部門と関わりセットアップをお願いすることになりますが、できますか?」と確認された。承知すると、「機器の発送等の詳細は採用確定後に人事からお知らせします」と言われ、面接が終了。

1度の面接で、オファー

翌日の木曜日午前中、オファーを出すとのメールと契約書のPDFがHRのAから届く。「あなたはすべての面接の質問に84%の成功率で答え、これは他の候補者と比べてかなり高いものでした。」等と採用理由、また福利厚生やRRSPがいつから適用になるかなどが書かれていた。続けて、「我々は今繁忙期にあり、ぜひ早く仕事を始めてほしいので、契約書をよく読んだ後に、できるだけ早く返信してほしい」と書かれていた。夕方5時ごろに契約書を送った。

機器設置の詳細

金曜日、朝7:30すぎにHRのAから「契約書を受け取りました。おめでとう!自宅への機器設置にあたり、IT担当者Cと社内ネットワークで連絡をとりあってください。こちらが社内ネットワークですので、登録をお願いします(URL)」と返信があった。

仕事用PCがいつどのように提供されるのかいまだ不明だったのと、社内ネットワークに私用PCからアクセスして良いのか分からなかったため、HRのAにメールで確認したところ、「セットアップとトレーニングのためには、一度私用PCを使用していただく必要があります。機器はITベンダーで予約でき次第、あなたの家に配送されます」との回答。

私はどれくらいの量の機器がいつ届くか、PCの手配にはどのような手続きが必要かをHRのAに質問したところ「機器のリストは、セットアップの過程であなたに送信されます。 また、ITベンダーから必要なホームオフィス機器を購入するための費用は会社によって支払われます。詳細はIT担当者Cから説明します」との回答。

社内イントラネットと呼ばれるサイト 

金曜日午後5時以降、社内イントラネットURLに入ると、IT担当者Cの名前がチャットの「オンライン中の同僚」のようなところに表記されていた。挨拶のメッセージを送るとすぐに返信があり、「自身のプロフィール画像や情報を登録し、終わったら教えてください」と言われる。氏名やアイコンなどの簡単な項目を設定し、IT担当者Cに完了した旨チャットを送る。
すると、ホームオフィス機器一覧が箇条書きでチャット内に提示され、「この内容を、ITベンダーSales Department のD(メールアドレス)にメールで注文してください」と言われる。Mac だったので、「Windowsに変更は可能ですか」とIT担当者Cに聞いたところ、「この機器類はベンダー側でセットになっているので、機器数確保のため、ベンダーにはこの一覧のものを一度注文してもらいたい。機器が確保されてからならWindowsへの交換が可能」と言われる。IT担当者Cは「注文メールを送ったら金額入りの注文書が届くので、支払いのため、それをすぐこちらに送るように」と言われる。

ITベンダーDに注文メールを送り、数分のうちに請求書PDF(4000ドル強)が届いたのでIT担当者Cにチャットで送る。

IT担当者Cから「人事からまもなくあなたに小切手が届くので、入金したら確認のためにモバイルバンキングの写し画面をチャットで見せてほしい。確認後、その金額を使ってご自身でITベンダーDに支払いをしてほしい」と返信がある。

そのまた数分後、HRのAから請求書と同額の小切手PDFのメールが届く。メールには、モバイルバンキングを使用して入金するよう詳細に手続きの方法が書いてあり、入金に支障がある場合はIT担当者Cに相談するようにとのこと。

何か変だなと思い始める

私は、モバイルバンキングを使用して入金し、入金完了画面の写しも送ってしまったが、私の口座は一日の入金に上限(?)があり、一度に4000ドルも入金ができなかった。と同時に、私は小切手がPDFで送られてきたことと、会社からではなく、自分自身でITベンダーDに支払いを行う手続きに違和感があったため、ITベンダーDへの支払い前に、「社名 scam」などで検索をかけた(遅い)。そのところ、LinkedIn に、全く同じ会社で、私と同じ状況の詐欺にあったとポストしている人がおり、詐欺だと気づき青ざめた。

詐欺の小切手を入金してしまったことについて、銀行の時間外チャットサービスに急ぎ相談した。すると「基本、PDFでの小切手は怪しい。PDFを受け取った場合は、モバイルから入金せず窓口に来るほうがよい。また、いまのあなたの入金が悪意のあるものではなく、詐欺に遭ってしまったものだと銀行側に情報を残しておく、口座が凍結されないように図ってみる。詐欺師とはいますぐ連絡をたつように」と言われる。

そこでIT担当者Cに「口座入金に上限があって、全額一度に入金できなかったようです。銀行に問い合わせて上限をあげたいので、窓口が開く時間までしばらく待ってください」とチャットを送った。

するとIT担当者Cから「画面の写しでは入金されたとあるし、このままITベンダーDに支払って問題ない」と来たが、「念のため確認します、支払いができ次第すぐご連絡します」と言ってチャットを終えた。しばらくIT担当者Cはチャット内で私からのITベンダーDへの振り込み完了連絡を待っていたようで、オンラインの表示が出ていたが、夜10時過ぎには消えた。


詐欺に遭ってしまった

幸いなことに支払いはまだしておらず、SINナンバーなどの詳細な個人情報も渡していなかったものの、詐欺に遭ってしまったとひどくショックを受け、恐怖を感じ、学校の信頼している教授とキャリアセンターにメールで今後の対応について相談をした。ただ、すでに金曜の夜であったことから、すぐに返事は期待できず、不安な週末を過ごした。

月曜に教授から以下の対応策が記載された返信があった。
・銀行、警察に連絡する
政府のscam報告センター(Canadian Anti-Fraud Centre)に報告する
・一時的にクレジットカードのセキュリティー保護ソフトウェアを導入する(情報がどこから抜かれているかわからないから、とのこと)

警察への報告方法については金曜にすでに確認していたが、「金銭を失った場合の詐欺」のみを受け付けており、それ以外はCanadian Anti-Fraud Centreへの報告となるようだった。
そこで、政府のScamセンターのウェブサイトに画面キャプチャ等をつけて報告した。ただしこの機関は報告に基づいて情報を集め、必要があれば調査をするといった組織のようで、個々のケースになにか対応してくれるわけではなかった。なお、報告の際、一部の画面キャプチャを改めて撮ろうと思ったところ、社内イントラネットだったURLはすでにアクセス不可(ページは存在しません、404)となっており、詐欺だったことがほぼ確実になった。

銀行口座の一時凍結

金銭的損失はないものの、一部の情報が相手にわたってしまっていることから、とても不安だったし、ひっかかってしまった自分を責める日々を過ごしていた。そんな時、さらに追い打ちをかけるように、水曜の夕方ごろ、前触れもなく、銀行口座にアクセスができなくなった。
私は閉店間際の銀行窓口に駆け込み、理由を聞いた。そのところ、先週金曜に銀行の時間外窓口で対応してくれた方の内容とほぼ同じこと-入金した小切手が不正なものだったために私の口座を一時凍結した-といわれた。小切手の入金審査には数日かかるため、モバイルで金曜に入金してから数日後のいま、不正が発覚したとの話だった。私は、金曜にすでに銀行窓口に問い合わせて事情を説明しており、詐欺に遭ってしまったためだと記録が残っているはずだと伝え、解除を依頼した。
既に営業時間終了の30分前くらいだったと思うが、銀行の方は担当部門に連絡をしてくださり、解除のための手続きを始めてくれた。ただし、最終的には私がマネージャーに今回の事態について申し開きをし、マネージャーが私の話を信じ、マネージャーから許可が出ないと解除できないという。マネージャーは本日はもう退勤しているので、明日私に電話をくれるとのことでその日は終わった。

PCのセキュリティ

翌日、銀行のマネージャーから電話があった。詐欺の顛末を説明すると、「事情は分かった。ただし、あなたのPCは変なサイトにアクセスしていることから、不正なシステムに汚染されている可能性がある。そのPCを使い続けてネットバンキングにアクセスしたら、情報が抜かれるかもしれずとても危険だ。その除去作業が終わるまでは、銀行としては凍結を解除できない。電気屋さんなどでウイルス検知-除去対策をとって、PCがクリーンであるという証明を持ったうえで銀行の窓口に来るように」と言われる。

私はそこまで考えが及ばなかったので、言われて状況の危うさを改めて自覚した。急いで近くの電気屋さんを探し、店に行ってまた詐欺の顛末を説明し、ウイルス除去等すべてが含まれたクリーンアップサービスを購入、急ぎスキャン作業を行ってもらった。

作業は半日かかったが、PCに問題ないことがわかり、ひとまずほっとした。その足でまた銀行に行き、証明書を窓口の方に見せて詐欺のことを説明し、凍結解除を依頼した。するとマネージャーが出てきて「もうやってもらえたの?早かったね」と言われ、ようやく解除の手続きが進んでいった。またしても閉店ギリギリ時刻まで居座ってしまったが、その日のうちになんとか、口座の凍結は解除された。(数週間後、小切手入金失敗の手数料数ドルが口座からひかれていた)


学んだこと

・PDFの小切手は入金しない / 必要がある場合は窓口に行く
・急かされても不安な点は確認を怠らない /  第3者にもきいてみる
・スカウトが来たらその会社のホームページ等をよく確認する(会社本体のウェブサイトの採用ページ、LinkedInにHRの人がいるか、HRの人がその社内の人にフォローされているか、LinkedIn内に同じポジションの人がほかにもいるかなど)
・説明なくカメラオフの面接はちょっと不自然かも

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私の知識の無さもありますが、とても巧妙な詐欺だなと感じました。実は卒業間際のあわただしい時期にこのことがあり、最終課題に追われながらこの対応をしたりしていたので、しばらく落ち込んでおりました。。本っ当に、内定に浮かれて慎重に調べもしなかった自分のアホさに嫌気がさしましたし、この詐欺に引っかかったせいで、同時期に何件か呼ばれていた面接をお断りしてしまったので、後悔しました。

詐欺に遭ったことをいろんな人に説明してそのたび恥をかきましたし、既に自分を責めまくっているのですが、さらに色々な指摘をされる可能性もあるので怖く、今回の件を書くのか迷いました。でも、他の方に同じ目にあってほしくないと思って書きました。
*いつもならツイートするのですが、長すぎてツリーにするのもうっとうしいかなと思ったのでここにまとめました。登場人物が多すぎるのと、勢いで書き残したメモをもとにしてあるのでわかりづらいかもしれませんが…。

今思えば怪しかったところ🤔
・メールの署名が役職名のみ
・コピペしているからなのか?、メール文の途中でフォントが変わることがあった
・キャリアサイトのCSSが乱れており、「準備中」になっていた
・LinkedInで、募集されている職と同じ役職名の人が一人も見つからなかった(現職も過去の在籍者も)
・社内イントラネット内には自分と相手以外、誰のアカウントもなかった
・社内イントラネットのはずなのに、過去の情報や会話が何もなかった(このサイトの使い方、という動画のみがタイムラインのようなところに表示されていた)
・チャットで会話を始めたとき、先方は特に自己紹介がなくいきなり機器注文の話をしてきた
・請求書の支払先に一般的な銀行がなかった
・銀行の入金制限のために支払いが遅れるとチャットで送ったとき、「入金制限のことはdoesn't matterだ」と言われ、言い方がなんとなく雑で、職場の会話っぽくないなと感じた

何回か怪しいなと思ったのに、プライドが邪魔をしてきちんと第3者に相談もできず、突っ走ってしまいこのようなことになったので、似た状況に置かれかけているどなたかが目にしてくださり、すこしでも参考になれば幸いです。

これも良い経験(よくないけど)と思い、引き続き当地でのデザイナー就活を頑張ります!





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