第百三十三話:初デート
ジムのかっこいい彼に再度名前を聞いたことがきっかけで、連絡先を交換することになった。名前をルトフィーといった。
基本的にタンザニア人は最初から全面的に「愛してるぜ―!」と感情丸出しで来るので、あまりあの人私のこと好きなのだろうかと悩むことはない。彼はタンザニア人だが、移民ということもあってかすごく慎重なイメージを受けた。
かくいう私も、久しぶりに恋愛関係を築くところから始めるため、まったく行動できずにチキンな自分に苛立ちを感じつつも、中学生の恋愛のようなドキドキを楽しんでいた。
連絡先を交換して少し経ったころ、偶然見た新聞に彼を見つけ、大きな会社の社長ということを知ることとなった。それをスタッフのマイケルに言うと、彼の名字を見て、相当な大金持ちだよと驚愕していた。
それと同時に、今までの苦悩を知っている彼は、やっとちゃんとした人と付き合えるんだねと大喜びしていた。それはお手伝いさんも一緒で、二人とも本当に自分のことのように喜んでくれた!
ふとした会話からデートに誘われ、ディナーに行こうとメッセージで誘われた!そのメッセージを受け取ったときにはオフィスにいたのだが、あまりに興奮して叫んでしまった!
そして、ドキドキしながらデートの日を迎えた。
朝、お手伝いさんも張り切って「メイク道具はちゃんと持った?」「着替えは?(ジムの後に行くため)」などと確認してくれ、楽しんできてね!と送り出してくれた。
お互いジムに来ていたため、結局ジムから待ち合わせのレストランまで一緒にいくことになった。ただ駐車場に着くとすぐにレストランの中に行ってしまい、戸惑いながらレストランに入っていくと、すでに席に座っていて立ち上がってハグをしてくれた。
お互いが緊張しているのが分かる中、ずっと会話をリードしてくれて、あっという間にレストランの閉店時間となった。そして、駐車場まで着くと別れ際にまたハグをしてくれた。長いハグだった。
このデートで急激に距離が縮まった訳でもなかったが、徐々に距離が縮まりつつあり、また彼のもう一つの趣味であるというタッチラグビーのチームに招待してくれ、一緒に練習したりと、彼を通して新しい世界を見せてもらった。