第百二十二話:ジェームズとの再会
この初夢を見たあと、見ようとせず封印した気持ちに気付いてしまった自分。もう忘れたはずだったのにと動揺をしながら、久しぶりに「明けましておめでとう!」とジェームズにメッセージを送ってみた。すぐに返信がありチャットを続けるなかで、夢に出てきたんだよねと打ち明けた。そしてどんな夢だったのと聞かれたので、なんかデートしている夢だった!と答えた。すると「じゃあ、デートしようか!」と言われ、翌週にランチをするという約束をしてしまった。あまりの早い展開に動揺をしつつも、なんだか久しぶりに嬉しい気持ちを感じていた。
一週間はあっという間にすぎ、約束の日になった。
ふと付き合っていた6年半前の記憶が蘇った。当時、初日のデートから遅刻してきた彼、それからも約束の時間を守ることは本当に稀だった。2時間後に家に迎えに行くと言いながら、10時間待たされることがざらにあった。そんな苦い思い出を振り返りながら、日本人の感覚が抜けていない私はいつものように約束の時間の10分前には待ち合わせのレストランに到着していた。
今日はここで何時間待たされるのかなー、まあ来なかったらランチを一人で堪能して帰ろうと考えていたら、なんと約束の時間にジェームズは登場した!
1年前くらいに私が以前働いていたガレージに会いに来てくれたことがあり、それ以来の再会となった。その時はあまり落ち着いて話すことができず、今回が久しぶりにゆっくり話す機会となった。いやそもそも、以前付き合っていた際も、ジェームズがカジノでポーカーをしている横で話すことが多く、デートらしいデートをしたこともなかった。
お互いの近況報告をしながら、ご飯を食べた。その中で「別れたあと、ゆかと話ができないことが一番寂しかった。」と言われ、あまり自分の感情を話す人でないのを知っているので、素直な気持ちを聞き嬉しく感じた。
また、「誰と今一緒にいようと幸せでいて欲しい」と言ってくれた。そして「今幸せなのか?」と尋ねられた。私はその質問に、愛想笑いをしながら、YesともNoとも答えられずにいた。
ランチが終わり別れてからも、この質問は私の頭の中をぐるぐると回っていた。今、果たして私は幸せなのか?と。