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第百三十五話:誰との隠し子?

 「ジェームズに2か月の女の子がいる!」
 すぐには実感が湧かなかった。誰の子かと聞くと、すでにジェームズとの間に3人子どもがいて、一緒の敷地に住んでいる女の人だという。それを聞いても、まだ実感が湧かずにいた。
 「それ本当なの?」私は何度も友人に聞き返した。
というのも、常にその女性のことを「学がなくて、普通に話をすることができない!小学校の勉強からやり直す約束で子どもを作ったが、結局ドロップアウトしたから、もう諦めた。だから俺は家では孤独だ。」などと言っていたからだった。
 友人のほうも、「正直私も夫も(夫はジェームズのポーカー仲間)驚いているんだよね。あんなに悪く言ってたのに、新しく子ども作ってて。っていうか、ゆかは?ってなって早く教えようってなったの。」と驚いていた。
電話で伝えて、ショックのあまり自殺でもされたら大変だから、会って話すことにしたのだと言われた。

 話を聞きながら、心も落ち着いてきて、彼にとって私はみんなに見せびらかすためのお出掛け用の彼女だったのだろうなと思った。友人も彼女の夫も、カジノでは常に私の話をみんなにしているのに、他の女性と赤ちゃんを作っている事実に憤慨していた。

 私は怒りや悲しさというよりは、なんだかモヤモヤとした気持ちでいた。と同時に、いい加減に離れろってことだなとも感じていた。旅行中のジェームズに色々言いたい気持ちはあった。
 そんな中私が送ったメッセージは一言「Congrats on your baby girl!」(女の子の誕生おめでとう!)だった。
 その後、クラブに行こうと何度も誘ってくる友人に別れをつげ、家に帰ることにした。友人に、言いにくいことをはっきり言ってくれ、離れる決心がついたことに何度もお礼を言った。

 家に帰って、お手伝いさんにも今聞いてきた話をするとびっくりしていた。自分の精神状態が落ち着いた今、発覚したことに改めて感謝した。これが数か月前だったら、錯乱状態に陥っていたと思う。

 興奮状態からかなかなか寝れずにいると、ジェームズから返信が来た。
返信内容は驚きの顔文字が一つのみだった。馬鹿らしく思い、シカトした。
すると、再度メッセージがあり「そうやって、すぐ決めつけるよね!お前の悪い癖だ!」と来た。いつもなら、これで長文を送ったり、電話してしまうところ。でも、もうこいつのペースにのせられないゾと思い、そのメッセージに「笑」とだけ送った。

 もうそれ以上返信は来なかった。

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