鳥取島根民藝旅3日目②〜圧巻のセレクトとストーリーが伝わる「objects」〜
「と、都会にやってきた・・・!!!」
それが松江市の市街地にやってきた最初の印象だ。
鳥取市から出雲まで来て、今日は出雲から鳥取市までUターンの大移動だ。
これまで通ってきたどのまちよりも松江は大きかった。
松江での目的は、民藝のお店でも有名な「objects」に行くことと、和菓子屋さん巡りをすることだ。
松江は城下町でお茶と和菓子文化があるので、茶道をやっている自分としてはとても興味深い。
まずはさっそく「objects」へ。
大きな川沿いにあるその店は、とても眺めがいい。
中に入ると、うつわ・ガラス・漆器など絶妙なセレクトの数々が並べられていた。気になるものがいくつかあったけど、どこかやちむんに似た渋いうつわに目がとまる。
どうしようか悩みながら店内を見ていると、スタッフの方が話しかけてくれてつい色々と話してしまった。さっき湯町窯に行って福間さんにたくさん話しかけてしまったと私がごちゃごちゃ話していると、奥にいた店主さんが
「湯町のおじいちゃんは若い子に話しかけてもらうのはうれしいから〜。」
とにこやかに話しかけてくれた。(若い子と言ってもらったけど、単なる大人げない子供のような私。)
でも、うれしさを抑えきれなくて話しかけまくってしまったので、そう言ってもらえるのはありがたい。
その後も、いろんな作家さんの質問をすると、店主さんが作家さんのストーリーを詳しく話してくれた。その話を聴いているだけでとてもわくわくした。
京都の作家さんのうつわがあったので、詳しく聞いてみたら丹波の窯元で修行されていたとのこと、この前丹波篠山の俊彦窯に行ったことを話したら俊彦さんの窯元で修行して独立された人だったこと。まさかの偶然の出会いに驚きを隠せなかった。
一番印象が強かった作家さんは、お客さんだった人がガラス作家さんになったというお話。
もともと「objects」のお客さんだった方がそこでとあるガラス作家さんの作品を見て「自分も作りたい!」と、一からガラス作家を目指したというなんとも奇跡な話。ガラスを溶かすだけで2年もかかったとかで、もうあきらめようと思ったときにできるようになった作業があって続けることができたと。すごい。
店主さんも、
「まさかお客さんが作家さんになるとは思わなかった。でも、元々何か作りたい気持ちがあったんでしょうね。」
と言っていた。
なんだか心に響く言葉だった。何かを新しく始めるとき、それは突然のものではなくて、潜在的に自分の中に眠っているものなのかもしれない。
元々器用なのかいいものを作るというその作家さんのガラスの作品たちは心惹かれるものが多く、後ろ髪ひかれる想いで今回は断念した。
他にも、岡山の作家さんの漆器がとても美しく、店主さんいわく木目がうっすら見えて他のうつわと合いやすいと聞いて納得した。
漆器は普段使いというよりそれだけで高級に見えてしまうものが多く、木目が見えていることにより木のナチュラルさ・ぬくもりが感じられて他のうつわに合うので私自身も木目が見えるものを選ぶ。
しかし、つい最近木曽漆器を購入してしまったばかりなのでこれも断念した。
その代わり、最初に目についていたうつわをお持ち帰りすることにした。
直感で選んだこの作家さん、なんと沖縄の北窯で修行されていた方で、2〜3年前に独立して島根に来たとか。まだ若いのにクオリティ高いものを作ると言われており、確かにベテランの職人さんが作るような渋いものを作っていた。(その渋さがたまらない。)
なんとなく柄がやちむんに似ているな〜と感じた私の直感は当たっていたことがちょっぴりうれしかった。
作家さんのおはなしをたくさん聞いて、おなかいっぱい。
最後にお会計時にオススメの和菓子屋さんを聞いて、茶道をやっていて〜と話すと「風流ですね。」と言われた。
「たみ」でも鳥取に来て「たくみ割烹店」に行ったと話したときに「渋いですね。」と言われた。
私はやっぱり一般の同年代の人たちより「渋くて古い人間」なのかもしれない。
店主さんの絶妙なセレクトと熱意が伝わる民藝のセレクトショップ「objects」
実際に来てみて思ったけど、本当に来てよかった。
なんというか、圧倒的にセレクトがすばらしかった。プラス、店主さんの熱のこもった作家さんのストーリーと作品の紹介がおもしろい…!!
久々に心震える素敵なお店に出会えてよかった。また行きたい場所が増えてしまった。
③へ続く
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