九州民藝旅3日目②
教えてもらった隣の工房にお邪魔する。
入り口ではおばあちゃんがいろんな食材を売っていて、ピーナッツやらいもけんぴやら試食をくれた。普段はまちのくだもの市場や観光案内所的な場所で販売しているらしい。
いもけんぴをいただこうとしたら、「荷物になるから後にしたら?」と言ってくれた。工房内を見てからまた後で買います、ということで先に中に入る。
そこでは反物や反物で作られた服、反物の切れ端などが販売されていた。値段を見るとケタ数に驚きの価格であった。しかし、反物を何mかで買っているお客さんがちらほらいた。
本来、反物は着物1枚を作る長さになっており、1mで切って販売などしないという。もったいないから。そう思うとこちらの工房は1mなどの短い長さでも販売していたので珍しかったのかもしれない。
色々見ていると店主さんらしき人が声をかけてくれた。久留米絣のことを何も知らないと伝えると、一から説明してくれた。なんて親切!
それから「ここで工房を見せてもらえると聞いたんですけど・・・。」と伝えると、別の職人さんが案内してくれた。
狭い道を通って裏の奥へと歩いていくと、工房の小屋らしき古い建物があった。
職人さんが織り機の説明をしてくれたけど、やっぱり今までにも京都でも散々見たり聞いたりしてきたけどわからない。複雑すぎて何がどうなっているのか理解できない。工芸の世界の中でもとりわけ難しい世界だと勝手に思っている。
夏はとてつもなく暑くなるらしく、そんな中で作業していると聞いただけで自分には絶対無理だと思ってしまった。。。
織り機の説明を聞いたあと、その職人さんのことについて質問してみると、すごい勢いで自分のことを語り出したので圧倒されてしまった。「こんな面白い職人さんもいるんだな〜」と今までにないタイプの人だったのでかなり衝撃的だった。とにかくアピールがとてつもなくすごかったのでスキルがすごいということは伝わってきた。
話が止まらない。
「こんな初対面のただの観光客にこんなに色々話していて大丈夫なのだろうか??」
と思っていると、女性の方が呼びに来た。
「話が長いと思って呼びに来てくれたのだろうか?まさかいつもこんな感じで呼びに来られているのだろうか??」
真相はいかに。
そんな感じでお礼を言って、外で待っていてくれたおばあちゃんのいもけんぴを買って帰る。
朝から濃い体験だった。
お昼の時間だったので、山本さんから聞いていたフードコートがある「まちこのおやつ」に行ってみる。
そこにはいくつかのお店があり、山本さんがされている「ナチュラルスープ」のがお店あった。
からだに優しい系のスープやサンド、ドリンクがおいしそうでつぎから次へとお客さんが来ていた。この辺では人気店なのかもしれない。こういう自然派系の食べもののお店って意外とないからこういう田舎な場所でもあるとうれしいなと思った。
この日は猛暑だった。
スープを飲む気になれなかったので、残念だけど他のお店のプレートランチにした。
なんとなくだけど、働いてるスタッフの女性の方々が "まちのお母さん" のような雰囲気の人が多くて、いわゆる都市のお店の雰囲気とは違うローカルな雰囲気を感じた。
私は個人的に都市の形式ばった接客やお店の雰囲気より、こういう田舎や個人店などの人と人とのゆるいやりとりやアットホーム的な雰囲気が好きだ。
おひるごはんのあと、「ナチュラルスープ」に「真面目なジンジャーエール」を買いに行った。しかし、残念ながら今はやっておらず、「真面目なコーラ」であればできるということだった。「真面目なコーラ」を注文し待っていると、
「あ〜、間違えちゃった〜〜!!」
という叫び声が聞こえてきた。
テイクアウトでお願いしていたところ、間違えてグラスの方に入れてしまったので入れかえるということだった。
この姿を見て、ピーン!ときた。
なぜなら前日の夜、山本さんから聞いていたのだ。
「九州の人は急かさない、失敗しても大丈夫、大丈夫!みたいなゆるい感じがある」と。
山本さんは移住者だったので九州に来てからそういう風に感じていたらしい。
私はこういうゆるい感じが大好きな人間なので、こういう雰囲気の中生きていけたら幸せだよな〜と改めて住む環境について考えさせられた。
③へつづく。
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