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となりのトトロとAYA世代

「今日、トトロやん」
「私がおねえを好きだった頃を思い出すヤツやで」

うちの娘たちは4つ違い。
さつきちゃんとメイちゃんよりは差は少ないとはいえ、幼少期の4歳差はいかんともしがたく。

自分の友だちと遊びたい長女の後を追いかけて仲間に入れてほしい次女。

幼稚園に長女をお迎えに行って先生と話し込んでいたら次女が行方不明に!しれっと全然違うクラスに混じって先生のお話を聞いていたとか。
その間、お手洗いから裏山から必死で捜索していたのに。

なんてこともありました。

おばあちゃんとお留守番のはずが、さみしくなって小学校まで行ってしまうメイちゃん。
さつきちゃんにしがみついて泣く姿に次女のかつての姿を思い出しました。
あんなふうにしがみついて泣いてたな、と。

トトロは娘たちが大好きで、でも当時は(今も)配信などなく、オンエアを録画するかセルビデオを購入するか、レンタルビデオか。

結局クリスマスプレゼントにセルビデオを相方サンタが購入したのですが、予算と一桁違ってたらしく。
当時13000円くらいしてたんですよね、ビデオ。

でもそこから毎日、それこそテープが擦り切れるくらい見て、セリフも最初から最後まで、ヤギの鳴き声まで再現できるほど。
十分元は取れました。

小さい頃あんなにお姉ちゃん大好きだった次女ですが、二人同じ道を進むことになり、そうするとどうしても「お姉ちゃんの妹」として見られてしまう。
名前が似ているので間違えられることもしょっちゅう。
同じ道といっても、タイプが異なるので全くかぶることはないけれど、それでも「まず自分を自分としてみてもらえない」という不満はあったと思います。
そして怒涛の思春期突入。

私は弟二人なので、「姉妹」がとても羨ましい。
でも娘たちは私の描いていた姉妹像とは少し違った絵を描くことになりました。
仲が悪いわけではないけれど、二人で旅行とか、ランチとか、そういう「仲良し姉妹」ではありません。
今は別々の道を歩いているので、姉の名前が自分の道に干渉してくることはなくなり、次女は好きなことを突き詰めようとしています。

二人とも、結婚はしない、子供は持たないという選択をしています。
最終的にどういうことになるかは未定ですが。
それはそれで応援しています。
両親亡きあと、互いに支え合ってくれたらそれで良し。

そんなことを思いながらトトロを見ていて。

電報でお母さんが一時退院できなくなったことを知ったさつきちゃんが
「おかあさんが死んじゃったらどうしよう」と泣きじゃくるシーンでこちらもつい。

私も二人の娘の母で、そしてわりと「死」がそんなに遠く感じられない距離にいます。
その娘たちも、とっくに成人しているとはいえ、「お母さんが死んじゃったらどうしよう」と泣きたいときもあるでしょうね。
大人だから我慢しているだろうけど。

がん患者に対する緩和ケアと同じように、がん患者家族に対するケアも必要な場面ってありますよね。

そして…。
さつきちゃんたちのお母さんは29歳という設定。
戦前に16歳で結婚。
お父さんの出征前に急遽決まった結婚、とかでしょうか。

このお母さんも「AYA世代」なんですよね。

もちろん、うちの娘たちもこのAYA世代に入ります。

がんに罹患していろいろ検索していたら、この世代の方のyoutubeやブログ、Xなどの発信がとても多いのに驚きました。

単純にSNS慣れしている世代だから、発信者の割合が他の年齢層よりもずっと多いということはあります。
でも確実にこの世代を蝕む病です。

拝見して本当に辛いのは、お子さんを残して入院とか、「せめてあと10年生きさせて」と言った叫び。そして、ひとりで旅立たれたという残されたご家族からのご報告。

私は子供を二人授かり、その子どもたちも自立していけるようにはなっています。
生物としての役割はもう果たしたと思います。

でも、これからたくさんの思い出を作っていくはずのAYA世代の方々の貴重な日々が闘病で覆われていく苦しみをネット越しに拝見するのは本当に辛い。

私の余命を少しずつ刻んで、こういった方々に分け与えられるのであればそうしたい。
それは、AYA世代の親世代共通の思いだと思います。

いつのまにか、さつきちゃん、メイちゃんからそのおかあさん世代になった娘たち。
病と無縁であればよいけれど、だからといって慢心はよくない。
特に長女はパーソナルトレーナーという仕事柄、「健康」が財産。
がんは遺伝子のコピーミスなので、食事や生活習慣に気をつけていても罹患するときは罹患する。
そうなったときに、少しでもリスクが減るように、検診や自分の体の変化に気をつけてほしいと思います。

もはや、さつきちゃんたちのお母さん世代から、かんたのばーちゃん世代になった私の、それこそ老婆心。


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