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【本】優れたマネージャーはいかに経験から学んでいるのか。-経験はどのように能力と関係しているかを紐解く-

皆さんの周りには、「このマネージャーは素敵だ!」「ついていきたい!」と思う人はいますか?

今回は、優れたマネージャーといわれる人たちはどんな経験を積み重ねているのか、ということをまとめていきたいと思います。

参考にしたのはこちらの本です。

書籍名:成長する管理職:優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるのか

マネージャーになった方、これからマネージャーを育てる立場にいる方はぜひ読んでほしい本です。


マネージャーの定義

まずは、この本でのマネージャーの定義を紹介します。

組織全体あるいは組織内の明確に区分できる一部分(部署)の業績について責任を持つ人物

『成長する管理職:優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるのか』

マネジメントは、「他の人々を通じて、事を成し遂げること」と考えられている点を踏まえ、この本では部下を持つ課長以上のマネージャー(=ミドルマネージャー)を分析対象にしています。

また、リーダーもマネージャーとの関係がある概念ですが、この本ではマネージャーを「組織によって公式に任命されたリーダー」として考えています。

マネージャーが求められる能力

余談になりますが、日本のミドルマネージャー白書2020によると、勤務先がマネージャーに求める能力の1位が指導力(リーダーシップ)、2位が行動力、3位が管理統率力、4位が人材育成力、5位が企画力となっています。

『日本のミドルマネージャー白書2020』

最多のリーダーシップは2010年より常にトップクラスにあり、マネージャーに求める能力・資質として最重要なものとして位置付けられています。

経験はどのように能力と関係しているのか?


過去の研究においては、成長を促す経験のタイプはわかっているものの、「経験と能力のつながり」が曖昧にされてきたそうです。

そこで、経験はどのように能力と関係しているかを明らかにするために、下記の調査を実施しています。

【第1ステップ 定性調査】
売上高1兆円近い大規模製造業A社の部長および事業部長に対して自由記述調査を実施。彼らに担当者時代、課長時代、部長時代を振り返ってもらい、各時代において「成長を促した経験」「そこから得た能力」「仕事への姿勢」「上司からの支援」などを自由に記述してもらった。

【第2ステップ 定量調査1】
上記データと先行研究を元に質問票を作成、同じくA社の部長・事業部長を対象とした定量的な質問紙調査を実施。

【第3ステップ 定量調査2】
得られた結果がどの程度一般化できるかを検証するために、中堅・大手企業11社に勤務する課長クラスのマネージャー209名に対し、ステップ2と同様の質問紙調査を実施した。

【第4ステップ 事例研究】
ステップ1〜3で明らかになった知見が個人のキャリアをどの程度説明できるかを検証するため、2名のマネージャーが会社に入社してから部長になるまでの仕事経験を分析した。

『成長する管理職:優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるのか』

結果

結果、「部門を越えた連携、変革への参加、部下育成」という3つの経験が複合的に「情報分析力、目標共有力、事業実行力」を高めている、ということがわかったそうです。

特に強い関係が見られたのが「連携→情報分析力」、「育成→目標共有力」、「変革→事業実行力」という対応。

まとめると以下です。

部門を越えて連携した経験を積むほど、社内外の情報を収集・分析する力が身につき、部下を育成した経験を持っているほど、職場で目標を浸透・共有する力を習得する傾向が見られた。また、変革に参加した経験があるほど、自分が担当する事業を開発・推進する能力を獲得していた。

『成長する管理職:優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるのか』


以上の結果から、マネージャーの経験学習には、情報系の学習、目標系の学習、実行系の学習が存在し、これらの3つの系統が組み合わされる形でマネージャーは成長している、といえます。

マネージャーの成長を促す経験は何か、ということだけではなく、経験はどのように能力と関係しているか、ということがわかったのは面白い発見です。


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