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他者の声を聴くには、まずは自分の声を聴くことから。

前回は、能動的に「聴く」ステップとして、下記の4つがあり、①語り表されることをそのまま受け取り、そのままついていくということと、②離れて、客観的に聴くということについてnoteを書きました。

そして、これらの聴き方は、自分の知識や考え方などを一旦横に置いて聴くことが大切である、ということも記しました。

今回は、③私たち自身の体験、思いとして味わい聴く、④同じ感覚にあるズレを細部に感じ取るについて、まとめていきたいと思います。

③私たち自身の体験、思いとして味わい聴く

このステップは、心理臨床での「理解すること」において大変重要なものである、とこの本では述べられています。

ステップ①語り表されることをそのまま受け取り、そのままついていくことの違いは、相手になりきるというところで、どちらかというと「私」の感覚よりも「相手」の感覚を持つということです。

一方で、ステップ③私たち自身の体験、思いとして味わい聴くということは、相手の体験を自分の体験かのように味わうことです。もし、相手が「心が張り裂けそうな悲しみを感じている」と言っているならば、自分にとっての「心が張り裂けそうな悲しみ」を想起して、感じること。

専門的な支持とは、このような感情が生きて収められている理解が達成するものである。一方で、自身の思いに情感を伴って触れた範囲内でしか、相手の心に触れることはできない、と述べています。

自分自身が、心が張り裂けそうな悲しみを感じたことがなければ、自分の中に想起をさせることができない。だからこそ、自分自身の感情や思いに敏感になり、触れ続けていることがとても重要になります。

④同じ感覚にあるズレを細部に感じ取る

次のステップは、以下のように説明されています。

特にこのステップは、4つのステップの中でも最も熟成した到達点である、と述べています。

目の前の人の感じていることや思いを取り入れて味わうと同時に、私たちの中のそれらと共通する感覚や感情に触れ、かつその共通感覚との微妙な違いも感知していくということ。

言葉にするとめちゃくちゃ難しいことを言っているな、と思います。これは、かなりの訓練を重ねないとなかなかできることではないと思います。

ステップ③と④は、両者が2本の線路が平衡に走る一つの軌道のようで、そうではないそのズレも見えてきます。

ここまで見ると、これほど他者の心に触れ、感情に触れ、味わうということは、自分自身のことも同じように味わうことができないと、実現ができないということがわかります。

他者のことを知ろうとしたいのならば、まずは自分のことを知ること。自分の感情の些細なズレに気づかないのであれば、他者との些細なズレに気づくことはかなり難しいと思います。

改めて、「傾聴する」「聴く」ということは、まず自分の心の声に耳をちゃんと傾けることが欠かせないということを思い知りました。

そして、この4つのステップを達成するには、4-5年で身につくものではない、とこの本では述べています。かなり時間がかかるからこそ、学び続け、自分の心を動かし続け、実践し続けるしかありません。

まだまだ人の話を聴くとは何か、ということへの自分の答えも見つかっていませんが、これからも深めていこうと思います。





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