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一緒に働きたいのは成長マインドセットがある人
近年、ビジネス環境の変化が激しくなる中で、組織の成長を牽引する「人材」の重要性がますます高まっています。そんな中、注目されているのが「成長マインドセット」という考え方です。今回は、組織の成長を加速させる鍵となる「成長マインドセット」についてご紹介します。
1. 「成長マインドセット」とは?
「成長マインドセット」とは、心理学者キャロル・S・ドゥエック氏が提唱した概念で、人間の能力や知性は、努力や経験によって伸ばすことができるという考え方です。反対に、能力は生まれつきのもので固定されていると考えるのが「固定マインドセット」です。
2. なぜ今、「成長マインドセット」が重要なのか?
VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代と呼ばれる現代において、従来のやり方や知識だけでは対応できない場面が増えています。変化に柔軟に対応し、常に新しい知識やスキルを習得し続けることが、個人の成長だけでなく、組織全体の成長にも不可欠です。
「成長マインドセット」を持つ人材は、失敗を恐れずに新しいことに挑戦し、困難な課題にも積極的に取り組むことができます。また、周囲の意見やフィードバックを素直に受け入れ、自己成長を続けることができます。このような人材が組織に増えることで、組織全体の創造性や生産性が向上し、変化への対応力が強化されます。
私は、昨年度ある企業で約80名の新入社員研修に2日間登壇しました。80名というとそれなりの人数なのですが、全体を見渡す中でも、”この新人は成長マインドセットを持っている”というのが不思議と見えてきます。
何がそうさせるのか、と考えてみましたが、講義やワークに取り組む姿勢が前向きであることです。分からないことは積極的に質問したり、難易度の高い課題に対しては、メンバーと協力して知恵を出し合い、時にはメンバーをフォローしながら取り組んだりする姿勢を持っている新人は、全員がそうではないからこそ、その存在が際立って見えるのです。一緒に働きたいという新人はまさにこの成長マインドセットを持っている人だと改めて実感しました。
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3. 人事部が「成長マインドセット」を組織に浸透させるためにできること
人事部が中心となり、組織全体に「成長マインドセット」を浸透させるためには、以下の3つの取り組みが有効です。
1. 採用・育成における「成長マインドセット」の重視
採用選考時に、候補者の成長意欲や学習姿勢を見極める
入社後の研修や育成プログラムに「成長マインドセット」に関する内容を組み込む
失敗を責めるのではなく、そこから学ぶ機会を提供する文化を醸成する
2. 評価制度の見直し
結果だけでなく、プロセスや努力を評価する
挑戦や失敗を奨励し、そこから得られた学びを評価に反映する
定期的なフィードバックを通じて、従業員の成長をサポートする
3. 組織文化の醸成
経営層が「成長マインドセット」を体現し、その重要性を発信する
従業員同士が互いに学び合い、成長を応援し合う文化を作る
失敗を恐れずに挑戦できる心理的安全性の高い環境を整備する
4. 「成長マインドセット」浸透の具体的な効果
「成長マインドセット」が組織に浸透することで、以下のような効果が期待できます。
従業員のモチベーション向上: 自身の成長を実感することで、仕事への意欲が高まる
組織全体のパフォーマンス向上: 新しい知識やスキルを習得することで、業務効率が向上し、イノベーションが促進される
変化への対応力強化: 新しい環境や課題にも柔軟に対応できるようになる
離職率の低下: 成長機会が提供されることで、従業員のエンゲージメントが高まり、離職率が低下する
まとめ
「成長マインドセット」は、組織の成長を加速させるための強力なエンジンです。人事部の皆様が中心となり、「成長マインドセット」を組織に浸透させることで、変化の激しい現代においても、持続的な成長を実現できる組織を築き上げることができるでしょう。