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組織開発を進めるためにやりがちなこととは何か?

今回の投稿では組織開発を進めていくにあたりやりがちなことについて実際の支援事例をもとにご紹介したいと思います。


1.組織開発とは何か?

組織開発とは組織で働く人と人との関係性や相互作用によって、組織を活性化させていくことや、そのための支援を行う考え方のことです。 組織開発は、組織の抱える課題を洗い出し、従業員ひとりひとりが当事者として、解決策を考え実行していくことが求められています。

近年、組織の状態を見える化するための組織サーベイに取り組む企業が増えてきています。組織サーベイの結果が良ければ良いのですが、芳しくない場合、「このままではマズイ!」と人事部を中心に現状打破に向けた施策が検討されています。

中でも従業員のマインドセットのために研修を実施しようという流れになるケースがあったりします。私も研修講師の仕事をしているので、研修そのものを否定したくはないのですが、組織開発においては必ずしも研修が適切ではないケースもあります。では、その理由はなぜか?について次章以降でご紹介します。

2.技術課題と適応課題とは何か?

組織開発を進める上で避けては通れない概念があります。それは、ロナルド・ハイフェッツ氏が提唱した技術課題と適応課題です。それぞれの概念については以下に記します。

技術課題は氷山の一角、適応課題は水面下にあると考えられる

前述したとおり、組織開発とは組織で働く人と人との関係性や相互作用によって、組織を活性化させていくことや、そのための支援を行う考え方でした。

人と人との関係性がうまく調和されず、絡まった糸のようになかなかほぐせない組織において、対応すべきは技術課題ではなく適応課題となります。

それにも関わらず、技術課題を解決することで組織が変わる糸口をつかめるのではないかと模索してしまう傾向があります。その一つの事例がインプット中心の研修です。

では、ここで具体的な事例をご紹介します。
以前経営コンサルタントとして支援していた小売業では、業績悪化が止まらず、経営層はその要因の一つに接客を挙げました。お客様が来店しても、「いらっしゃいませ」の声掛けができない、気持ちの良い挨拶ができない、笑顔で対応できないといったことが日常的に繰り返されていたためです。

そこで、経営層は接客改善のために接遇研修の実施を検討するよう幹部層に指示を出されたのですが、その話を受けて私は適応課題と技術課題の概念の解説と共にこのタイミングで接遇研修を実施すべきではないとお伝えしたのです。

もう少し具体的にお伝えすると、接遇研修は過去にも実施してきており、接遇のハウツーは既に従業員は理解している状況でした。しかし、頭では理解していても、現場で対応できない、あるいはその必要性を感じていないということそのものに課題があり、この状況がまさに適応を要する課題であるということです。

3.組織開発に必要なものは対話の場づくり

では、接遇研修の代わりに適応を要する課題を解決するために必要なステップは何だと思いますか?

必ずしもこのステップが良いということではありませんが、以下に一例として記載しました。ポイントは一人一人が本音で対話できる場を作ることにあります。

1.従業員が日頃どんなことを意識して仕事しているのか?何を大切にしているのか?といったことを対話する場を設ける。
2.自社が目指す姿を経営層と共に描くワークショップを行う。
3.目指す姿に近づくために一人一人が行うべきことは何か?を対話する場を設ける。
4.定期的に対話の場を設け、振り返りを行っていく。

どんなことを思い、感じているのかを本音で対話する場が必要不可欠


組織開発は一朝一夕に成果を出すことはできません。なぜなら、長きにわたる過程の中で絡まってしまった人と人との関係性や凝り固まった各々の思考は時間をかけてゆっくりと亀の歩みでしかほぐすことができないからです。

そのため、実践するステップは多岐に渡りますが、本音で語る場を幾度となく繰り返すことで少しずつ前進していくことができます。

「組織をより良く変えていきたい」と思う人が一人でもいればその企業の未来はきっと明るいはずです。もし誰かの力が必要であれば是非一緒にその未来を叶えましょう。


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