過去を悔やまない、未来に不安を感じない野生動物の生き方をリスペクト/野田 奈未さん
自然と動物が大好き!!
人と自然・野生動物がお互いに繁栄しながら生きていける道、真の”共存“への道を一歩ずつ構築されている” 野田奈未さん”にお話を伺いました。
野田さんのプロフィール
出身地:北海道
活動地域:北海道
経歴:一般企業で働きながら獣医を目指すも、野生動物や自然との関わりを持つために専門学校で学びなおす。
その後、知床・軽井沢で熊について学び、野鳥の会で絶滅危惧種の保護の仕事に携わる。
子供の頃から動物の犠牲の上で生きている事に疑問を感じ"共存"について学ぶ中で狩猟を始め、自然を守る"保護"だけでは無く、もっと、人の営みの事、"保護"の対極であるような"駆除"に深く関わる為に「地域おこし協力隊有害駆除員」として駆除を行う。
現在の職業および活動:狩猟や自然ガイドの経験を活かして、野生動物や自然との”共存“や環境教育を一環とした「狩猟のおはなし会」で子供から大人の方にわかりやすく伝えている。
座右の銘"「楽しいことばかりだよ世の中はね。何もないようでも見方によっていろんなものが見えてくる。」
※植物写真家 埴 沙萌(はに しゃぼう)さんの言葉
「"いる"だけで幸せな狸」
※インディアンのラコタ族の寓話より
「“共存”を常に考える」
Q1: 野田さんのこれからの夢やビジョンは何ですか?
野田 奈未さん(以下、野田):野生動物との共存や環境教育を伝えたり、人と一緒に考えていく事がしたいです。
小さい頃から動物が好きで人と自然や野生動物がどうやって共存していけばいいのかをずっと考えていました。
子供の頃、ドラえもんの映画や本、図鑑を見た時、絶滅のページがあって人間が動物を絶滅させていることにショックを受けたんです。温暖化とか酸性雨の勉強があって「人間は生きてるだけで害じゃん。」と子供の頃に思いました。でも死ぬことはできないので、これから先は自分が生きていく上で、汚していく分をきれいにしてから死のうとぼんやり思っていた子供でした。
その思いからか自然や動物と関わる仕事を探していましたね。
今は、自然に対して何かをしてあげようと思うこと自体がおこがましいことだなと思ってきました。地球に寄生して生きていくことしかできないので、自分の出来ることでやれるところから少しずつと言う感じです。
最近、正解・不正解はないんだと言うことがわかったこともあり、その上で人と自然の間に入ってどっちもの繁栄の為に、どうやって“共存”していこうかというのを考え続けています。
「人も寛容に生きれたら…」
Q2:野生動物との共存という夢を実現するために、どんな目標を立てていますか?
野田:理想は、自然には野生動物がいてその動物の事を“悪い奴”だとみんなが思わない状況にしたいです。人間側の動物を憎む心がとても悲しいですね、動物は思うようにやってるだけなので…。
アライグマに農作物を食べられても「別にいいよ、また別の防ぎ方考えよう。」ってそう思えたらいいですし、熊がそこに出てきたけど、「あれは大丈夫。」と言えるように熊の生態を知って、「一緒に生きてるんだ。」って言う感覚がみんなにあるようにしたいです。
もしかしたら、人間の心の変容の方が大きいかもしれないですね。
自然は戦う姿勢で挑んでも太刀打ちできる相手では無いですから、人間も寛容になって生きれたらいいですね。
「人の中に種を撒くように…」
Q3:野生動物との共存という夢に対しての日々の行動はどのようにされていますか?
野田:私の考えを人に押し付けることはできないので、「こういう見方もありますよ。」と紹介していくことかなぁって考えていて、「人の中に種を蒔く」ような感じでやっています。
自然を大事にしようっていう気持ちだったり、動物の事を素敵だなって言う気持ちだったり、芽が出るか・途中で枯れるか、わからないけどいつかどこかで、その人の中で開花するかもしれないって言う可能性を信じて、お話をしています。
「他人に殺してもらう命をいただくことに負い目があった」
Q4:野生動物との共存という夢をもつきっかけは何ですか?
野田:もともと動物が好きで、なぜあんなにかわいいのに食べなきゃいけないのかなあって小さい頃からよく考えてました。
小学校の時にずっと牛や馬がかわいいって言ってたのに何も知らずに食べていたことを知り、親に「動物食べるのなんでだろう?かわいそうじゃない?」と聞くと、「そんなの当たり前でしょ。」って言われて、「えっ?話が通じない。」と思ったんです。
「動物が好きなのに、なんで殺して食べたりしてるんだろう…。」
「かわいそうでしょうがないなら、食べるのをやめたらいいじゃん…。」
だけど、食べるのをやめても普段飲んでる薬は動物実験をしているし、「いい靴履いてるね。」って実はその靴は本皮だった事があったり…。
自分が生きていく上で、動物の命を取り除くことができなかったのです。
ずっと「嫌だなぁ、動物の犠牲の上で生きたくないなぁ。」と言う思いの中で「“共存”とは?」を考えていた時、千松信也さんという猟師の方が講演会で、「他人に殺してもらう命をいただくことに負い目があった。」と仰っていたのを聞いて「私の“もやもや”もそれか!」と思い、「自分がいただく命は自分で獲ろう。」と思ったことが猟師になったきっかけです。
猟師になって野生動物と接するようになり、何かをしてあげようと思っても何もできなくて、対等か対等じゃないかっていうのは彼らは何も考えていないということに気づいて向き合い方を考えるようになりました。
例えば、育児放棄する鳥に「代わりに育てるから、ヒナをください。」と言っても、鳥にしてみたら人間なんて怖いだけですから… 。
「今を生きる野生動物の生き方をリスペクト」
Q5:野生動物との共存という夢を持つきっかけにはどのような思いがあったのですか?
野田:野生動物や犬もそうですけど生き方を尊敬してます。本能に従ってというか、その瞬間しか生きてないじゃないですか。「今日疲れたから仕事行きたくない」とか思ってないですもんね。(笑)
”お腹がすいたから餌を探す、餌を探しきれなかったから死ぬ“
”狐はウサギを取る、ウサギは狐に食べられる”
そういう生き方がかっこいいし、すごいなって思っています。
その瞬間を生きるって人間はすごい難しいです。
”今“と言うタイミングに、先のことを考えたり、過去を振り返ったりしてますから。
彼らは先のことも昨日のことも考えていないし、常に“今”の連続を生きてるっていうのがすごいなって思います。
人と動物が対等になろうとして、「人間と動物って一緒です。」と思った時に同じ関係・対等で向き合おうとしても、私は出会った熊に食べられて死にたくないので鹿の様には生きれないんですけど、そうなってくると鹿とか野生動物と対等ではないですよね。
生きていく目的が違うって捉えると人間と動物の違いもそうかなって思うようになりました。
とにかく彼らの一瞬一瞬が真剣で、それがすごいなぁって思ってます。
カラスがカラスをやってるなぁ、いいなぁってみていますね。
記者:お話を聞いていると、野田さんを通して野生動物から人間に対して生き方を問われてるように感じました。
今日はありがとうございました。
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野田奈未さんの活動、連絡についてはこちらから
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https://www.facebook.com/profile.php?id=100004065377716
【編集後記】インタビューの記者を担当した岩見と山口です。丁寧に言葉を選びながらこちら側がイメージをしやすいようにお話をしてくださる姿勢が印象的で、動物のこと、自然のことはもちろん、ご自身の生き方にも真摯に向き合ってこられたのを感じました。野田さんの夢応援しています!
この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載さいます。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36
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