【ショートショート】輝け!シルバープラム賞!
都内某会場にて今年のシルバープラム賞の発表が行われている。
司会はフリーアナウンサーの川忠みちお、女優の松沼きりり。
川忠「皆様、本日はお集まりいただき誠にありがとうございます」
松沼「このシルバープラム賞はこの1年間にリリースされたCDの中で最も酸っぱい作品に贈られる賞です」
川忠「この1年も、多くの作品がリリースされ、無駄に地球上の希土類を減らしてきました」
松沼「今回はどんな作品が選ばれるのでしょうか?楽しみですね」
川忠「まずは洋楽部門の発表です」
松沼「洋楽部門は2枚組のコンセプトアルバムをリリースしたメタルバンド、LAバーストです。」
川忠「おめでとうございます」
松沼「《前奏20分は長すぎる》《パーティーロックしかやってこなかった彼等の180度方向転換した新作に感動して新作を含む全てのアルバムをゴミに出した》等多くの声が寄せられています」
ウルフ「バンドメンバーのウルフさんからビデオメッセージが届いています」
松「ハロー、みんな元気かい?こんな伝統のある賞をもらって嬉しいよ。今回は新メンバーのボーカルのジョージも良く頑張ってくれたよ。早くツアーに出て日本のオーディエンスに会いたいね!それまで楽しみに元気で待っててくれよ!じゃあな」
川忠「賞の意図を全く理解していない様で良かったですね。メタル専門誌では誌上初のマイナス点で採点されたそうです。続いては作詞部門の発表です」
松沼「作詞部門はおバカタレントでお馴染みの綺堂しょうさんのアルバム《アゲアゲあげる》の全作詞を担当したご本人、綺堂しょうさんです」
川忠「おめでとうございます」
松沼「こちらにも沢山のお声が届いています《本人作詞と考えると絶対にゴーストは使ってないと思う。そこに感心した》《愛犬との別れを歌うのにサビで【犬が死んだ】を連呼する所が凄い》」
川忠「こちらは綺堂しょう様の所属事務所からメッセージを頂いております」
松沼「当社所属の綺堂しょうのアルバム、《アゲアゲあげる》はセールスやリクエスト等あらゆる面で世間的評価を得ており、この様な賞を頂く根拠は全くございません。この度の不名誉な受賞に対し、法的処置を検討しております」
川忠「批評と中傷を取り違えているのでしょうか?大手なのでこの後が恐ろしいですね。続いては新人部門です」
松沼「はい、史上最年長ラッパーM.C.松次郎さんの《Go! 超寿!若いのよく聞け!俺がM.C.松次郎》です」
川忠「ここでM.C.松次郎様のご家族からメッセージが届いておりますので紹介させていただきます」
松沼「皆様に愛されました淀来松次郎ですが昨年12月に永眠いたしました。晩年は数多くの皆様にお声をかけていただいて幸せに暮らす事ができ家族一同感謝の気持ちでいっぱいです。この様な賞までいただきまして誠にありがとうございます」
川忠「松次郎様のご冥福をお祈りします。こちらは罪悪感でいっぱいです。続いては話題部門です」
松沼「はい、有名俳優との不倫騒動をきっかけに歯に衣着せぬトークで大ブレイクした桐寄ミカさんの写真集付きシングル《愛・ミス・遊》です」
川忠「おめでとうございます」
松沼「《20ページも無いミニ写真集付きCDに6000円は高すぎる》《写真集の不倫相手の俳優を彷彿させるシチュエーションが狙いすぎ》等色々な意見を頂いております」
川忠「なんと、ご本人の登場です」
桐寄「はーい、みんな私の次の写真集予約してくれた?ミカはぁ、なんと!今度はプロレスに挑戦するんだよぉ!少し怖いけど頑張っちゃう!応援よろしくね!あっ、今度のVシネの方もよろしくね!じゃあねぇ」
川忠「宣伝のみで受賞に対してのコメントが全くありませんでしたが、おめでとうございます。そろそろお時間ですね」
松沼「はい、残念ですがお時間です。今年も沢山の作品と触れ合う事が出来て嬉しいです。気になった物は5、6年後あたり中古の100円コーナーで探そうと思います」
川忠「次回はこの場か?はたまた法廷か?という所ですが、また皆様にお目にかかる日を楽しみにしています。それではお元気でさようなら」