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棚からぼたもち時々古銭 Jan10.2025
私は元祖父母の家だった築65年近く経つ平屋に一人暮らしをしている。ここに住み始めてかれこれ10年程経つのだが、この家では時々、思いもかけないものが出てくることがある。まるで亡き祖父母からのメッセージかのように、ここぞというタイミングで。
数年前のある休日の午後、毎日のように立っている台所の頭上の棚にある箱がなぜだか気になる。取り出してみると、中から新品未使用の琺瑯の両手鍋がでてきた。図らずも、そのころ琺瑯の鍋が欲しくてネットであれこれ見ていた時期なのだ。まさに棚からぼたもち状態。そして、その日は敬老の日という偶然。
また、昨年末には、普段から何度も開けたことのある戸棚から、なんと金の指輪が出てきた。この金価格の高騰する時代に、ぼたもちどころの騒ぎではない。大層なものではないが、裏には18金の刻印もあるシンプルなゴールドの指輪で、サイズも私の人差し指にぴったり。
今までなぜ気がつかなかったのか不思議でならないのだが、奇しくも私の入籍10日前の出来事なのだ。これはもう天の祖父母からのご祝儀という事で間違いないだろうと大事に身につけさせてもらっている。
ここまで来ると次はどんなぼたもちが…と思わず期待してしまうが、そうは問屋が卸さない。時にはちょっと困ったものも出てくる。
えびす銭。これを発見したのはもう数年前だと思う。床の間の置物を拭いたりした際、台座にこれが置いてあるのに気づいた。寛永通宝と書かれた古銭が十日恵比寿神社の名の入ったチャック袋に入っている。 その時は特に気にも留めず、何かの縁起物だろうかと埃を払ってしまっておいた。それきりその存在すら忘れてしまい、すっかり思い出すこともなかった。
時は流れ令和7年1月8日のこと、十日恵比寿神社の正月大祭が今年も始まったとのニュースを見聞きした。十日恵比寿神社と言えば、商売繁盛の神様。これまではあまり縁がなかったが、今は商売人のはしくれではある訳で、お参りに行こうかとふと神社のHPを眺めていた。そこにあるではないか、あの見覚えのある古銭。しかも、そこにはこうあるではないか。
※えびす銭の授与継続のため、1年経ちましたら必ず当社へお返しください。
10年前に他界した祖父がまだ元気だったころの話だから、少なく見積もっても20年くらい前にお借りしたものではなかろうか。天下の回りものと言われるお金を、まして、神社からの借り物を20年もこの家に滞留させていたとは何たることか。知ってしまったからには居ても立っても居られない。どうしたって縁起が悪い気がする。無精をした祖父の代わりに謝りにいかねば。
翌日、朝からいそいそと当の神社へ向かい、返すのを忘れたまま他界した祖父と、その存在を忘れたまま10年も放置した私自身の非礼を詫び、お参りをした。
こうして無事に古いえびす銭をお返しし、新しく今年の分をお借りした。今のえびす銭は、昨今のプラスティック削減の流れに則ってなのか、紙の袋に入れてあり、表には「来年必ずお守り所へ返却してください。」の文字が。これならば、私のように故人の置き土産を見つけた人も迷わず返しに行かれることだろう。
この日、合わせて厄明けのお礼参りも済ませて、これでようやく晴れやかな2025年を始めることができそうだ。
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