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なんかいい感じ Jan09.2024

作品を作る時、 具体的に何かイメージがある場合と そうでない場合がある。 後者の場合、まずその日気になる色を選ぶ。 気になる色味の石を広げ、 一つひとつ異なる色や形の中から気になるものを選ぶ。そうすると後から見た時に、あぁなんだかいい感じだと思えるものになる。

「なんかいい感じ」この感覚の大切さに気づき始めたのは数年前。いつの間にか社会の線路に載せられて走り続けているうちに、自分の好きなものは何なのかさっぱり分からなくなっていた。いや違う。線路を降りてまで、好きなものを追い求める勇気がなかったのだ。

それでも、このままでは何だかいけないという感じがする。仕事もあり、衣食住に困ることもない、社会的に見れば至って順調。ダメだと感じている自分の方が変なのかもしれない。

だけど、ブレーキの効かなくなった列車に乗って敷かれたレールをどこまでも走っている。誰も行き先を知らないのに、なぜ安心なのかが私には分からない。そんな焦燥感のようなものをずっと感じていた。

幾年かを経て、色んな事があり、思い切って列車を降りてみることにした。いきなり飛び降りるのは怖いから、徐々に徐々に。

とはいえ、どこへ向かったらいいか分からない。まずは「何となく違和感がある」を避けていくことにした。すると「なんかいい感じ」が見えてきた。この感覚を拾い集めて辿って行くことにした。

どこに行き着くのかなんてまだ分からない。最期まで分からないかもしれない。だけど、 今日もレールなどそっちのけで、 道端で見つけたたんぽぽの綿毛を飛ばしたり、昼寝する野良猫をそっと遠くから愛でてみたり、そんな世界を大切に歩いてゆく。

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yuki
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